応援しているタレントを「推し」と呼ぶことがいつのまにか定着しています。なかにはその「推し」が好きすぎて「神」や「尊い」などの言葉を連発する人もいますが、これはどういう意味があるのでしょうか。
ありえない感動を「尊い」と表現
実は私にも「推し」がいます。好きなマンガが舞台化され、観に行き、彼が登場した瞬間に「推し」となりました。私が大好きなキャラが、漫画のイメージを全く損ねることなく、立体化してそこにいたのです。それは、感動以上のなにものでもありませんでした。「尊い」。そう感じましたし、彼を仰ぎ見る時は「拝む」というワードを自然と使っていました。
私の場合、キャラクターがリアルになった姿を1ミリもブレずに実現してくれたことに純粋に感動したのです。もちろんこれは彼だけの力ではなく、原作漫画の素晴らしさ、そしてヘアメイクさんの腕、それから衣装さんの再現度、すべてが美しいハーモニーを奏でたからこそできた偉業だと感じました。それはまさに「神」ワザであり、彼が若いうちしかできない限られた期間しか拝観できないものだからこそ「尊い」と感じたのです。私にとって、決して大げさな表現などではありません。
「推し」を讃えるための類語集
『推しが尊すぎてしんどいのに語彙力がなさすぎてしんどい ―腐女子の感情類語辞典―』(ポストメディア編集部・著/一迅社・刊)」は、愛する推し(応援しているタレントやキャラクターなど)がステキすぎて言葉に詰まった時のための類語集で、「カッコいい」「悔しい」など、伝えたい感情について、別の言い回しを教えてくれる大変便利な本です。
たとえば「カッコいい」の言い換えとして「最高」「大歓喜」などが、それから「悔しい」の言い換えだと「後悔しかない」「人生返して」など、エネルギー値が高いワードがいくつも並んでいるので、この本を片手に想いを吐露するようにすれば、ボキャブラとパッション豊かなファンになれそうです。
「尊い」の類語を探してみると……
この本では「尊い」はどのように描かれているでしょうか。カテゴリとしては「美しい/カッコいい」の言い換えワードとして載っていました。意味は「とても希少で、大切に保護するべき価値があると感じさせる美しさ」だそうです。例文として「キャラが全員尊い……」というものが載っていました。
特にイケメンを応援する時に感じるのですが、人間には老いも寿命もあるため、その美しさは永遠に続くわけではありません。限られた期間の稀有な美を、たまたま同じ時代に生まれたために味わうことができたこと。それは貴重なお宝を拝観できたのと似たような感動すら感じるのです。そして限られた美しさだとわかっているからこそ、そのグッズや写真を集め、自分の手元に残しておきたいのです。もちろん後々じっくりと愛でるためです。
「尊い」を言い換えてみる
私も「推し」の「尊い」姿を拝んだ時は、興奮のあまり「尊い」以外の言葉が出てこなくなります。実は「推し」の握手会にも参加したことがありますが、その時は、有難い存在を目の前にし、感動で言葉を発することすら忘れてしまい、ただただ3秒ほど彼と見つめあっただけで終わってしまいました。今となってはせめて「こんな素敵に扮してくださりありがとうございます」とお礼を伝えたかったとも思うのですが、声が出なかったのだからしかたありません。
私もバリエーションを身に付けたいので、この類語辞典で「尊い」を言い換えてみることにします。
まずは「天使」。「天が遣わしたとしか思えない。神々しくて直視できない」という意味で、これは同意です。この世のものとは思えない有り難みがあるため「天使」と言っても違和感がありません。
それから「たまらん」。意味は「あまりにも良すぎて我慢できない」。これも心からそう思います。なんだか叫びたくなるし色々な人に彼の素晴らしさを伝えたくなってしまうのです。
この本のおかげで私は「天使」と「たまらん」というワードを新たに加えることができました。これからも「推し」に感謝しつつ、次に握手していただける時には「尊いです」くらいは言えるような心臓の強さを手に入れたいと思います。
【書籍紹介】
推しが尊すぎてしんどいのに語彙力がなさすぎてしんどい -腐女子の感情類語辞典-
編集:ポストメディア編集部
発行:一迅社
1000以上の“あるある”例文やオタクエピソードまんがetc.特別企画も盛りだくさん。うれしい、悲しい、興奮…感情別「逆引き類語辞典」に約800語収録。
楽天koboで詳しく見る
楽天ブックスで詳しく見る
kindleストアで詳しく見る