人生100年時代について、また仕事について悩んだ時に、ぜひお勧めしたいのがケンタッキー・フライドチキンを創業したカーネル・サンダースの人生を知ることです。彼がフライドチキンのレシピで人生に再挑戦したのは、65歳だったのです。
遅咲きだからこそ頑張れる
『遅咲きの成功者に学ぶ逆転の法則』(佐藤光浩・著/文響社・刊)では、遅咲きで成功した17人が紹介されています。もちろんそこにはカーネル・サンダースも載っています。倒産や挫折を経験し、それでも立ち上がった人も少なくありません。これを読むと、「人生はまだまだこれからだ」と励まされる人も多いでしょう。
成功の陰に失敗もある
カーネル・サンダースが、フライドチキンのフランチャイズビジネスをスタートさせたのが65歳。65歳といったら、年金を受給し始めてもおかしくない、日本で言えば前期高齢者の年齢です。それなのにカーネル・サンダースは事業を興したのですから、大変なエネルギーの持ち主と言えるでしょう。人生は65歳になってもまだリスタートできるのだと大いに勇気づけられます。
フライドチキンを売るのではなく、フライドチキンのレシピを伝え、チキンが1つ売れたら歩合を受け取るという方式を考えついた彼の作戦は当たり、ケンタッキーフライドチキンは世界で約1万8000、日本でも1000を超える店舗数となっています(公式サイトより)。けれど、創業当時彼の財産はほとんどなかったのだそうです。あてにしていた年金の額も生活していけないほど少なく、仕事をするしかなかったのだと。
カーネル・サンダースの人生にはいろいろな事件がありました。経営していたレストランが火事で全焼したり、離婚したりと、決して順風満帆ではなかったのです。けれど最終的には事業で成功し、再婚して幸せにもなり、世界中に愛される存在となりました。あきらめず、前向きに歩んでいく姿勢には、大いに勇気づけられます。
人生は50を過ぎてから
50歳を超えると「もう最前線は若い人たちに」などと口走り、老後への準備を始める人が出てきます。けれどその逆に、「人生これから」と起業する人もいます。日本政策金融公庫総合研究所の「新規開業実態調査」(2019)によると50歳以上での起業は25.7%と全体の4分の1以上を占めるようになりました。20年前より倍以上の割合に増えているそうです。だからなのか、起業時の平均年齢も全体で43.5歳と高めです。
私も、50歳を過ぎてから起業した男性を知っています。彼はその年齢で赤ちゃんが生まれることになり、一念発起して店を開きました。新たに迎える小さな可愛い命のために、生き生きと働くようになり、その姿に周囲も驚き、感動させられました。本書にも、家族やパートナーのために頑張るようになった人たちのエピソードが詰まっています。人間は愛する人や大切な商品のためには、想像以上のパワーを出せるのでしょう。
偉人たちの半生は名言の宝庫
本書には偉人たちの名言も数多く掲載されています。たとえば、カーネル・サンダースがレストランが火事になった時に「失ったのは店だけじゃないか」と語るシーンは素敵でした。チキンラーメンやカップヌードルを開発した日清の安藤百福さんの項でも財産を失った時に「失ったのは財産だけではないか」と、似たような発言があったのも印象的です。
自分の心の奥底で燃えている根本的な部分さえ失わなければ、何度でも人生に立ち向かっていくことができる。本書ではそんな人生との向き合いかたを教えられます。カーネル・サンダースの「あの時、諦めなくてよかった」という言葉も、実際に諦めずに頑張ったからこその重みをひしひしと感じました。
そして改めて、自分自身の核となっているものはなんだろう、偉人のように人生を賭けられる何かを持っている人でありたい、と考えさせられるのです。
【書籍紹介】
遅咲きの成功者に学ぶ逆転の法則
著者:佐藤光浩
発行:文響社
『夢をかなえるゾウ』の水野敬也氏推薦!仕事も家も失い41歳でブランドを立ち上げたクリスチャン・ディオール。47歳の無一文からただ独りでインスタントラーメンを開発した安藤百福。酒と薬に溺れた男がコンプレックスを武器に52歳でメジャーデビューしたスキャットマン・ジョン。自分の店を失い、レシピ一つで再スタートした65歳のカーネルサンダース。彼らの業績は、40代で迎えた転機が始まりだった!全てを捨て、ゼロから這い上がった不屈の男たちのドラマ!ビジネス・芸術・学問の世界にその名を残した遅咲きの巨人たちから、人生の逆転する法則を学ぶ。