成人男性は900kcal。成人女性は700kcal。理想的なランチメニュー(昼食)の摂取カロリー量だ。厚生労働省による「日本人の食事摂取基準 2015年版」のデータを参考にしている。
朝食や夕食は、カロリーや栄養をコントロールしやすい。自宅に帰れば炊飯器や冷蔵庫があるので自炊ができるからだ。忙しく働いていると昼食がおろそかになりがちなのでスピード重視になってしまう。しかも外食が多くなるので炭水化物(糖質)過多になりやすい。
現役の管理栄養士が書いた『痩せる外食生活』(佐々木由樹・著/インプレス・刊)によれば、ランチメニューの黄金比は「主食1、主菜1、副菜2」を心がけると良いそうだ。
■心がけたい食事の黄金比率
主食とは、ご飯やパンや麺類を使った料理のこと。炭水化物がメインの食品だ。活動するためのエネルギーになる。
主菜とは、肉や魚や卵を使った料理のこと。たんぱく質と脂質を摂取できる。血と肉を作るために必要だ。
副菜とは、野菜やきのこ類、海藻を使った料理のこと。ビタミンと各種ミネラルや食物繊維が摂取できる。体の調子を整える働きがある。
忙しいときは「副菜」が欠けた食事になりがちだ。ランチが外食ばかりでも健康を損なわないようにするためのテクニックがある。
■コンビニ食品をカロリー表記で選ぶ
健康を維持するためには十分な栄養が必要だ。しかし、栄養(カロリー)を摂りすぎると健康を損ねてしまう。
健康を維持するためにはカロリー計算が欠かせない。コンビニ食品はカロリーコントロールしやすい。パッケージにカロリー量が記載されているからだ。不健康なイメージを払拭するためなのか、これでもかというくらいベジタブルメニューが充実しているのもありがたい。
【10~100kcal】の商品
漬物
野菜サラダ
おでん(揚げ物や肉類でないもの)
【101~200kcal】の商品
おにぎり(具材が揚げ物や肉類でないもの)
おでん(揚げ物や肉類)
野菜おかず
【201~300kcal】の商品
肉まん
フランクフルト
から揚げ
スープ類
【301~400kcal】の商品
サンドウィッチ
そば
うどん
菓子パン
ミニカップ麺
【401~500kcal】の商品
パスタ
お好み焼き
焼きそば
【501~700kcal】の商品
お弁当(幕の内)
お寿司
カレーライス
カップ麺
【701kcal】以上の商品
カツ丼
カツカレー
肉・揚げ物メインのお弁当
ランチをコンビニ食にするならば「10~100kcalの商品」と「101~200kcalの商品」をうまく使って副菜を確保すればいい。野菜サラダは飽きるので、おでんの大根や白滝(しらたき)を食べるという選択肢もある。1人前の食べきり惣菜パウチシリーズ(ひじき煮・きんぴら・ごぼうサラダ等)も使える。
■1週間のランチメニューを採点する
『痩せる外食生活』では、実際のビジネスマン男性(40代・デスクワーク中心)のランチメニューを採点している。
1日目のランチは「カツ煮弁当」だった。主食と主菜のみ。副菜が足りない。
2日目のランチは「おろしハンバーグ定食」だった。大根おろし、キャベツの千切り、トッピングのかいわれ大根などが副菜として数えられる。漬物も添えられている。合格点。
3日目のランチは「五目ごはん定食」だった。主菜はオムレツのみ。冷奴(豆腐)とポテトサラダの小鉢。じゃがいもは野菜だが、副菜というよりも主食寄りの食材だ。
4日目のランチは「冷やし中華」だった。キュウリ、もやしナムル、チャーシュー、ゆでたまご。副菜が足りないものの、栄養バランスは悪くない。
5日目のランチは「ホッケ定食」だった。焼き魚にそえられた大根おろし、細切り大根とにんじんの煮びたし、漬物。もうすこし副菜があったら……。
6日目のランチは「中華バイキング」だった。主食、主菜、副菜のバランスが良い。野菜をとりたいときには大衆中華料理がおすすめだ。キャベツやもやしなどをたくさん使った炒めものが多い。たまに八宝菜を食べたくなる。
7日目のランチは「高菜の焼きラーメン(焼きそば)」だった。コンビニで買ったものだ。包装には457kcalとある。主菜と副菜が足りないものの、成人男性の昼食としてはカロリーを抑えている。腹八分目は良いことだ。
■1人前の冷凍枝豆はいかがでしょう
実体験としてオススメなのはコンビニで売っている枝豆だ。冷凍・冷蔵いずれも1人前のパッケージが用意されている。冷凍のものは、弁当同様に電子レンジでチンしてもらえばすぐ食べられる。
枝豆といえばビールのおつまみと決めつけがちだが、ちょっとした天然サプリメントの役割を果たす。なぜなら枝豆は、大豆と野菜の良い部分をあわせもっているからだ。植物性たんぱく質だけでなく、ビタミンや各種ミネラル(鉄分・マグネシウム)と食物繊維を含んでいる。
わたしは根が糞詰まり気質にできてるものだから、毎日いかに食物繊維を摂取するか頭を悩ませてきた。枝豆ならば飽きがこない。1パック150円以内で買えるので小腹がすいたときのおやつとしても使える。冷凍枝豆を食べるようになってから、わたしの毎日のお通じは改善のきざしを見せている。(文:忌川タツヤ)
【参考文献】
痩せる外食生活
著者:佐々木由樹
出版社:インプレス
いつかは、いつかは、なんて言っているうちに、お腹はブヨブヨ、血液ドロドロ、薬が手放せない、仕事もアグレッシブになれない…、なんて生活になってしまうかも。そうなってからでは、食事の大幅な修正が必要なことも。でも、今から始めれば、ほんの少しの変化で、一生ものの健康な体を維持できます。ポイントはそう多くはないんです。いちいちカロリー計算なんかもしません。カロリーは、大ざっぱに把握しておけばいいんです。また、ある特定の食べ物だけを食べたり、食べなかったりするような無理なダイエットをするわけでもありません。