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2022/5/13 6:15

2000万じゃなくて5000万! いったい老後の資金はいくら必要なのか?『コミック版 やってはいけない老後対策』

2019年6月、金融庁が驚きの発表をしました。いわゆる「老後2000万円問題」と呼ばれるもので、平均的な年金受給者は2000万円の貯蓄がないと生活が破綻してしまうというのです。そんなこと急に言われても、どうしたらいいのかわからないと、誰もが驚いたことでしょう。私も「えっ! そうなの?」と思い、たまらなく不安になりました。『やってはいけない老後対策』は、そんな私たちの「えっ!」に答えてくれる本です。

 

「老後対策」をわかりやすく教えてくれる

著者は、元国税調査官の大村大次郎。国税局に10年勤務した後、経理事務所などを経て、フリーランスのライター・作家として活躍しています。ベストセラー『あらゆる領収書は経費で落とせる』など、多くのヒット作があるので、ご存じの方も多いでしょう。

 

数ある老後対策本の中から、私が『コミック版 やってはいけない老後対策』(大村大次郎・著、西島ユタカ・シナリオ、蒼田山・マンガ/小学館・刊)を選んだのは、著者が国税に詳しいことがいちばん大きな理由ですが、コミック形式の本であることにひかれました。お金の話になると、頭痛がしてくる私としては、読まなければいけないとわかっていながら、税金の本はできれば避けて通りたい難物なのです。けれども、『コミック版 やってはいけない老後対策』は、2018年に出版された『やってはいけない老後対策』をコミック版にしたものなので、私でもなんとか完読できそうだと思ったのです。そして、実際、最後まで一気に読みました。

 

漫画に登場するのは5人。会社員の鈴木浩(59才)、パート従業員として働く妻の美津江(54才)、そして、浩の妹の斎藤明子(48才)、明子の夫の隆一(48才)です。

 

鈴木夫妻はサラリーマンと主婦であり、斎藤夫妻は二人でデザイン事務所を経営しているという設定です。そして、もう一人、鍵となる人物がいます。鈴木夫妻の娘・綾(30才)です。彼女はマネーアドバイザーをしていて、お金の問題に詳しいのです。ストーリーは二組ののんきな夫婦に対して、若い綾が鋭い意見を述べる形で進んでいきます。

 

鈴木夫妻と斎藤夫妻は、老後の生活に不安感を持っていません。まあ、なるようになるだろうと考えています。けれども、綾はそうした甘えを見逃しません。具体的な数字を容赦なく示し、両親や叔母夫妻の生活に警鐘を鳴らします。とくに、叔母夫婦に対しての意見は、手厳しいものとなっています。叔母は「大丈夫」と、言い張りますが、それに根拠などないとわかっているからです。かつては税務署に勤めていた綾の言葉は説得力があります。

 

私にとっても、綾の話は耳に痛いものでした。自分ではなんとかなるさと思ってはいますが、根拠などないのです。自分では頑張って働いているつもりですが、主婦業をしながら原稿を書いてきただけで、会社勤めをしたことがありません。そもそもエッセイストは、原稿の依頼が無くなったら終わる職業です。楽観などできないはずなのに、私は考えないようにしています。

 

ところが、夫は違います。退職して年金生活者になったばかりですが、将来を見据え、考えを巡らせています。彼は40年近く休むことなく働いてきましたから、年金を受け取ることができます。けれども、私とは違い、なんとかなるとは思っていないようです。生活から無駄を省くように工夫をこらしています。さらには、ゆとりある老後のために、準備を怠ってはならないと主張するのです。

 

最近の夫の趣味は、年金生活者の現実を描くYouTubeを見ることです。そこには、ぎりぎりの年金で生活するための知恵がつめこまれています。果たして実話なのか、確かめる術がないものの、年金生活者のひとつの現実を表していると思います。

 

現実を見据えて

『コミック版 やってはいけない老後対策』には、多くの人が目を背けがちな現実がはっきりと描かれています。

 

年金制度そのものがなくなることはあり得ませんが、現行制度がそのまま続くということは考えにくいでしょう。今の年金制度は、これから年金受給対象となるシニア世代だけでなく、年金を納めている若者も、年金だけをあてにしない生き方を真剣に考えなくてはならない時期が来ているのです。

(『コミック版 やってはいけない老後対策』より抜粋)

 

では、いったいいくらあったら、私たちはゆとりある生活ができるのでしょう。著者のシュミレーションによると、「現役時代に5000万円以上の貯蓄が必要」だそうです。もちろん、ケースバイケースだとあり、一概には言えないそうです。それでも、5000万円の貯蓄という具体的な数字にはショックを受けます。

 

もっと貯金するよう努力すべきだったと後悔しますが、こうなったら、今からでも、できることをするしかありません。まずは細々とではあっても、注文がある限り、原稿を書き続けるのが、私の未来への一歩だと考え直しているところです。あとは生活の無駄を省くようにすることでしょうか。

 

『コミック版 やってはいけない老後対策』には、厳しい現実が示されていますが、私たちが何をすべきかについても教えてくれます。

 

そのためにまずすべきことは、生活のダウンサイジングです。1日も早く、早ければ40代、遅くとも50代に入ってからは「生活の無駄」をなくしておきましょう。たったそれだけでもびっくりするような効果が上がります。

(『コミック版 やってはいけない老後対策』より抜粋)

 

それはたとえば、車を手放すことであったり、動画などのサービスを見直し、必要でないものは解約すること、さらには電気・ガスなどの契約を見なおすことだといいます。確かに、なんとなくだらだら使っているものを思い切って辞め、生活の見直しをはかるのは、とても大切なことでしょう。

 

これから考えるべきこと

さらに、引退後の住まいについても、言及しています。私たちにとって、「持ち家が得か、借家が得か」は大きな問題です。週刊誌などでも頻繁に特集されています。果たしてどちらが得か? は悩むところです。

 

持ち家の最大のメリットは、「お金がなくなっても、いつまででも住める」「何歳まで生きても住むところには困らない」ということです。

(『コミック版 やってはいけない老後対策』より抜粋)

 

さらには、高齢の単身者に大家さんは家を貸したがらないそうです。一人暮らしの高齢者は、自然死したり孤独死したりするリスクがついてくるからです。残酷な現実ではありますが、考えておかなければならないでしょう。

 

けれども、絶望しすぎないでください。『コミック版 やってはいけない老後対策』は、定年退職するときの注意やちょっとしたコツも伝授してくれます。とくに「繰り上げ受給」にするか、「繰り下げ受給」にするか、迷っている人がいたら、参考になる指摘がなされています。

 

当面、お金に不自由していないのなら、年金はなるべく遅くもらうほうがいいと、著者は言います。様々なケースが挙げられていますから、それを参考にしましょう。どれも「なるほど」と、思えることばかりですが、とくに、定年後のアルバイトは、お金が戻ってくるケースが多い」というのは知りませんでした。アルバイトは、年末調整をしていないため、税金が払いすぎになっているのです。税金の納めすぎは自分で申告しない限り、戻ってこないというのですから、ぼやぼやしてはいられません。

 

『コミック版 やってはいけない老後対策』によって、私は自分の老後について、様々な知恵を授けられました。のんきにかまえていないで、自分で考え、工夫すべきだとも知りました。方法は一つではないので、自分はどのケースに当てはまるのかよく考えてみなければなりません。けれども、ボヤボヤしていてはいけないと思うようになったのは、ひとつの大きな収穫です。

 

【書籍紹介】

コミック版 やってはいけない老後対策

著者:大村大次郎(著)西島ユタカ(シナリオ)蒼田山(マンガ)
発行:小学館

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