本・書籍
2022/5/25 6:15

感情がグッチャグチャになる……コロチキ、ナダルのエッセイ『いい人でいる必要なんてない』

グズ芸人としても名高い(!?)コロコロチキチキペッパーズのナダルさん。そんな彼が、エッセイを出したのはご存知でしょうか? 中学時代にいじめにあっていた話やどのようにして芸人になったのかなど、テレビでの活躍だけでは知ることのできない赤裸々な人生が描かれたエッセイです。

 

ナダルさんの声で脳内再生しながら読み進めていくうちに、同情したり、腹が立ったり、笑ったり、悲しくなったり、愛おしくなったり……。自分は試されているか!? ってくらい感情をグッチャグチャにされます。今回は、いつの間にかナダルさんワールドに引き込まれてしまう一冊、『いい人でいる必要なんてない』(ナダル・著/KADOKAWA・刊)をご紹介します。

相方・西野さんへの想い

コロコロチキチキペッパーズといえば、2015年のキングオブコントの卓球ネタで優勝したお笑いコンビ。2012年に結成して3年での優勝は史上最速。まだ結成10年のコンビなんですよね。

 

今やドッキリ番組の常連として人気のナダルさんですが、NSC時代のお笑いレベルはワースト級。組んでいたコンビは続かず、挫折を味わっていたそうです。そんな中、一緒にお笑いをやろうと声をかけてくれたのが、今の相方でコロチキのネタ作りを担当する西野さん。彼への想いをこんなふうに綴っています。

 

西野に誘われてコンビを組み、西野が決めた芸名を名乗り、西野の書いたネタで笑いをとる。まるで操り人形だと思う人もいるかもしれないが、僕はこれでいい。実力がない僕をここまで連れてきてくれたのは、間違いなく西野だ。西野がいなかったら、コロチキは生まれなかったし、ナダルという芸人も生まれなかった。

(『いい人でいる必要なんてない』より引用)

 

ここだけ読むと「本当にナダルが書いたの!?」と思わず呼び捨てで言いたくなっちゃう気持ちもわかります。私もそうでした(笑)。

 

この本がすごいのは、西野さん直筆のナダルさんへのお手紙も掲載されていること。お互いが相思相愛で、仲良しな感じが伝わってくるので、正直驚いてしまいました。けれど、2人で出演しているYouTubeやラジオ番組などをあらためて聞いてみると、この本の内容も納得。「ナダルって本当はいい奴なのかも……」そんなことも思わせてくれます(度々、呼び捨てですみません!)。

 

中高生時代、血まみれになるほどパンチングマシーンを殴っていた?

いい人エピソードを紹介しましたが、「ナダルって、ナダルなんだな」と思うエピソードも満載です(笑)。

 

NSCには、「消防士になる」と嘘をついて会社を辞め、入所したそう。どんな社会人だったか、どうしてお笑いを目指したか、芸人から「クズ芸人」になるまでにどんなことがあったのか、みんなの知っている「ナダル」の要素もたくさん語られています。

 

また子どものころのナダルさんを両親とともに振り返る『おかんとおとんと実家で話す』コラムも必読。実はナダルさん、中学時代にあることがきっかけでいじめに発展し、傷ついた経験があるのだとか。その頃の様子も語られていました。

 

母 いじめられたとかケンカしたとか家ではなんも話さないけど、パンチングマシーンを殴り続けている姿が怖くて怖くて(笑)。手が血だらけになったり壁に穴が開いたり。

ナ 自分では覚えてへんけど、血が出るほど殴ってたんや(笑)。そういえば握りこぶしにまだ傷があるもんな。その時のやつかもしれん。

(『いい人でいる必要なんてない』より引用)

 

今だから笑えますが、当時は怖かったですよね。私が母親だったら……と想像しただけでもゾワゾワします。本当に一人の人間なのかな? と思うほど、次々と驚きのエピソードが出てくるので、テレビで見ているナダルさんを見て「え〜苦手」「なんか無理」と思っている人にこそ読んでもらいたいと感じました。

 

生き方がかっこいいと思えた一言

紹介したエピソードだけでも、感情が追いつかなくなるのですが、『いい人でいる必要なんてない』を読むと、「ナダルさん、かっこいいっす!」と今まで感じたことのない感情も生まれます。個人的に一番好きだったのは、第3章にある『誰かのせいにして生きていく』のこの文章。

 

物事がうまくいかない時に「自分の努力が足りない」「すべて自分の責任です」という態度でいるのが、世間的には潔いとかカッコいいとか言われたりする。でも、僕は「すべて誰かの責任です」と思っている。

(『いい人でいる必要なんてない』より引用)

 

周りからどう思われようが、自分が生きやすいように、自分の心身を守るために開き直るってなかなかできませんよね。実は、やりたくても多くの人ができていないことなのかも? と感じます。

 

テレビに出てくるナダルさんは、確かにムカつくし、イライラします。この本だって、どこまでが本当で嘘なのか、正直読み取れないくらいミステリアスな一冊でした。でも、この本を読むとナダルさんが気になってしまうことは間違いなし。いろんな感情をかき乱されて、最終的にナダルさんをどう思うか、どう感じるかは読んだ人にしかわかりません。

 

私の場合、読んで「かっこいい」と思っても、テレビを見たら「やっぱりムカつく!」と感じました(笑)。そんなナダルさんがイライラするし、気になるし、応援したくなる、不思議な気持ちです。お笑い好きな人はもちろんのこと、肩書きやレッテルだけで判断してしまいがちな人に読んでもらえると新しい気づきをたくさん得られると思います。やっべぇぞ! な一冊、ぜひ楽しみながら読んでみてください。

 

 

【書籍紹介】

いい人でいる必要なんてない

著者:ナダル
発行:KADOKAWA

子ども時代のいじめ、お笑いへの愛と苦悩、守るべき家族の存在…。稀代のモンスター芸人は誰よりも“人間”だったー今最も本音で生きる男の人生哲学。コロチキ・ナダル初のエッセイ。

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