本・書籍
2022/10/12 21:30

秋の行楽シーズン、古都を歩いてついでに健康になろう!−−『健康さんぽ 京都』

「京都に行きたい、京都を知らないなんて異国に住む日本人として恥ずかしい」と、フランスから帰省した娘が言うので、この夏、娘ははじめて、私としても数十年ぶりに京都に出かけた。猛暑の中だったが、古都の魅力を満喫。やはり京都は何度でも行きたい街だと思った。そして今、季節は移り、秋になった。これからの京都は紅葉に染まり一年で最も美しい姿をみせることだろう。そこで紹介したいのがこのガイド本、『健康さんぽ 京都』(朝日新聞出版・刊)。

 

歩いて街を楽しむという主旨の観光ガイドで、4000歩、6000歩、8000歩、10000歩という歩数から選ぶ34のコースが紹介されていると共に、足が痛くならず、また疲れにくい歩き方も教えてくれるありがたい一冊なのだ。

歩数と距離と時間の関係

本書には、さんぽデータ早見表があり、それによると1000歩で歩ける距離は0.7kmで所要時間は10分だそうだ。京都のどこを、どういうルートで歩くかをこの本では歩数で分けている。

 

さくっと4000歩コース”では、約3000~4500歩、歩行時間は約30~45分、歩行距離は約2~3kmの7つのコース。

ほどよく6000歩コース”では、約5000~7000歩以内で、歩行時間は1時間前後、歩行距離は約4~5kmの9つのコース。

しっかり8000歩コース”では、約7000~9000歩以内で、歩行時間は1時間半以内、歩行距離は約5~6kmの11のコース。

がんばる10000歩コース”では、約9000~13000歩、歩行時間は2時間前後、歩行距離は約6.5~9kmの7つのコース。

 

また、各コースには消費カロリーも明記されている。そしてガイド本に欠かせない、地図はもちろんスマホでコースと現在地がわかるGoogleマップ付きのQRコードもそれぞれのページにあるので迷わずに散歩が楽しめるはずだ。

 

まずは体に負担をかけない歩き方を身につける

巻頭には動作学研究家の木寺英史先生による正しい歩き方の解説が詳しく書かれている。まず、歩くことで関節の痛みや疲れにつながる3大動作を知り、これを修正する必要があるそうだ。

 

現代人に多くなっていると感じるのが、足首やひざの関節を伸ばして歩く人。これは自分の体を持ち上げながら歩いているのと同じこと。それだけ筋力を使う歩きになるのです。蹴る動作、体をひねる動作も体への負担になります。こうした体に負担がかかる歩行を「伸ばす歩き」としておきましょう。

(『健康さんぽ 京都』から引用)

 

木寺先生による歩行メソッドは筋力に頼らない「曲げる歩き」だ。胸を張った姿勢で立ち、上半身をやや前に傾け、ひざを曲げて足を前に送る。このとき、つま先とひざはやや外に向けていると負担軽減になるそうだ。これを基本に、長時間歩くときのリズム、階段の上がり方、ダイエット効果のある歩き方など、それぞれがイラスト付きでわかりやすく解説されている。さらに、ひざや腰に痛みを抱えている場合はこれを改善する方法も記されている。

 

新撰組の聖地巡礼、壬生を3748歩

では、京都を楽しむ散歩コースの一部を紹介してみよう。まずは、さくっと4000歩コースのひとつで、幕末ファンならぜひ歩いてみたいのが壬生。スタート地点は市バス、壬生寺道停留所。ここから徒歩2分で新撰組結成の地である八木邸に着く。そこから、さらに2分歩くと近藤勇の銅像がある壬生寺に。さらに8分歩いて光縁寺で当時を偲ぶ。そこからは17分かけて飲食店の並ぶ通りを抜けて、坂本竜馬ゆかりの武信稲荷神社を訪ねる。最後に昔ながらの商店が残る三条会商店街を歩き、人気のカフェもあるので休憩しならがゆっくり見て回りたい。そして終点は市バス、堀川三条の停留所。このコースの歩行距離は約2.6km、歩行時間は約37分、消費カロリーは約107kcalとなる。

 

源氏物語の舞台、宇治を6709歩

雄大な宇治川の清流を眺めつつ歩くコース。スタートは京阪・宇治駅で、ここから4分歩くと紫式部像のある夢浮橋之古蹟に着く。さらに5分歩くと、10円硬貨でおなじみの平等院、ここの鳳凰堂は息をのむ美しさだ。次は8分歩いて、宇治市営茶室・対鳳庵で抹茶文化に触れる。その後は2分歩いて十三重石塔、13分歩いて茶筅塚、そこからすぐの興聖寺は紅葉の名所なのでこれからの季節は見逃せない。さらに13分歩いて宇治神社、2分歩いて世界遺産の宇治上神社を訪ねる。そして徒歩17分、このコースの最後は抹茶の老舗、中村藤吉本店。ここで抹茶スイーツを味わうのもいい。そして2分歩いてゴールJR・宇治駅に着く。歩行距離は4.7km、歩行時間は約1時間7分、消費カロリーは約193kcalだ。

 

嵐山の王道観光コースを7185歩

何度訪れても心を奪われる京都随一の景勝地をしっかりと歩くコース。スタートは阪急・嵐山駅。ここから徒歩11分で法輪寺へ。ここの舞台からは嵯峨野が一望できる。さらに11分歩いて渡月橋に向かう。橋の上からは桂川の流れ、そして嵐山の景色を堪能する。次は9分歩いて世界遺産の天龍寺を訪ねる。そしてそこから5分歩くとインスタ映えする竹林の小径に着く。そのあとは、徒歩4分で大河内山荘庭園、徒歩9分で御髪神社、徒歩4分で常寂光寺、徒歩11分で野宮神社などの見どころを回り、ゴールは嵐電・嵐山駅となる。観光名所をたっぷりと楽しめるこのコースの歩行距離は約5km 、歩行時間は約1時間12分、消費カロリーは約208kcalとなる。

 

幻の都・長岡京をがんばって1万1317歩

平城京から平安京へ遷都されるまで10年間だけ存在した長岡京は四季折々の美しさにあふれた町、ここを1万歩以上歩くコースを紹介しよう。スタートは阪急・長岡天神駅、ここの西出口を出て徒歩14分で菅原道真を祀る長岡天満宮に着く。ここは春になると樹齢170年のキリシマツツジが真紅に色づく。そこから28分歩くと泉の清流水が涌き出る長法寺へ、冬には寒椿、早春にはヤマブキが境内を彩りとても美しい。さらに20分歩くと、紅葉の隠れ名所・光明寺だ。これからの季節、数百本のもみじが赤く染まり、参道は散りもみじで赤い絨毯を敷き詰めたようになり幻想的な美しさを見せる。そして27分歩くと乙訓寺に、ここは別名牡丹寺とも呼ばれ4月下旬には2000株の牡丹が見頃となる。最後は徒歩24分でゴールの阪急・長岡天神駅に戻ってくる。四季折々の花を愛でる本コースの歩行距離は約7.9km、歩行時間は約1時間53分、消費カロリーは約326kcalだ。

 

 

その他のコースもどれもこれも魅力的で迷ってしまうほど。「ああ、また京都に行きたい!」誰もがそう思う一冊で、しかも健康づくりのウォーキングを古都で楽しめるのだからこんなにいいことはない。さあ、本書を片手に紅葉の京都へ出掛けてみては?

 

【書籍紹介】

 

健康さんぽ 京都

著者:朝日新聞出版
発行:朝日新聞出版

楽しく街を歩いて健康に! 詳細地図で歩きやすい、手のひらサイズのおさんぽガイド。京都版が登場! 4千歩、6千歩、8千歩、1万歩の歩数切りで、ユニークな34コースを設定。歩数、歩行時間、歩行距離、高低差までひと目でわかるコースチャート付き。

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