「切れてます!」
これは、ボディビルの大会で観客からボディビルダーに向けて発せられるかけ声だ。テレビなどでこのかけ声を耳にしたことがある人も多いのではないだろうか。
なかなかユニークなボディビルのかけ声
僕は実際にボディビルの大会を観戦したことはないが、友人が観戦したところ、客席からは「切れてます!」「切れてるよ!」のほかにも、さまざまなかけ声があるようだ。しかも、それが結構おもしろいらしいのだ。まるで大喜利のようだとも。
そこで『ボディビルのかけ声辞典』(公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟・監修/スモール出版・刊)を手に取ってみた。
大胸筋が歩いてる!
この本には、実際に大会の会場で発せられたかけ声を集めたもの。これがなかなか味わい深い。もちろん「切れてるよ!」がド定番なのだが、そのほかにもいろいろなものがある。
「ほめる系」は、ポーズを決めているボディビルダーをほめるかけ声。「キレイ」や「美しい」などのシンプルなものから、「詰まってる」「出ました! キマリ!」といったちょっと変わったものまでがある。
「例える系」は、鍛え上げれらた筋肉をいろいろなものに例えたかけ声。「肩メロン!」「大胸筋が歩いている」「腹筋がカニの裏!」というように、ちょっと大喜利要素が入ってきている。
超上級編は言葉のボディビル
超上級編になると、かなりひねったかけ声になってくる。
「新時代の幕開けだ!」
今まで見たことがないくらいにすごい身体を表します。その肉体は、新時代を築くのです。「石油王!」
褐色に染め上げた肉体は、まさに世界を席巻する石油王のよう。圧倒的な肉体を意味します。「肩にちっちゃいジープのせてんのかい」
肩や大胸筋上部が、4WDのゴツゴツとした車体のように盛り上がっていることを意味します。「そこまで仕上げるために眠れない夜もあっただろうに」
肉体を作る苦しさ、絞る辛さを知っているからこそ、選手にかけられる言葉なのです。(『ボディビルのかけ声辞典』より引用)
ここまで来ると、かけ声をかけるほうのセンスがかなり問われるだろう。とっさにこんなかけ声を思いつくようになるには、ボディビルダーが肉体を鍛える以上にボキャブラリーを鍛えておく必要があるだろう。
誰かを褒めるときに使えそう
この本を読んでみて、人をほめる言葉にはさまざまなバリエーションがあるのだなと感じた。
そして、これらのかけ声はボディビルダーだけにではなく、日常的にも使えるのではないかと思う。もちろんそのままではないが、ちょっとアレンジを加えたり、考え方を拝借すれば、より相手にささる褒め言葉が生まれそうだ。
例えば、100点を取った小学生の子どもを褒めるとき。「よく頑張ったね」ではなく、「才能が開花した音が聞こえてきたぞ!」とでも言ってあげれば、楽しいのではないだろうか。
この本を読んでいたら、なんだかボディビルの大会を観戦したくなってきた。今度、友人に連れて行ってもらおう。
【書籍紹介】
ボディビルのかけ声辞典
著者:公益社団法人 日本ボディビル・フィットネス連盟
発行:スモール出版
“肩にちっちゃいジープのせてんのかい”ボディビルコンテストで飛び交う「かけ声」は、鍛え抜かれた肉体美への称賛メッセージだ! かけ声から紐解く、ボディビルの世界。
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