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2023/10/13 19:30

のび太のように−−これからの「ビジネス×テクノロジー」社会を生き抜くためのマインドセットとは?

いつもの会議室にギャルが数人乱入。初対面なのにタメ口で言いたいことを言われる。やがて、その場のみんなが「アゲ」とか「バイブス」とか言い始める。見た目はカオス以外の何物でもないが、会議は確実にポジティブな方向に転がっていく。

 

存在しなかったことがスタンダードになる時代

「ギャル式ブレスト」は、直感的かつ忖度一切なしのギャル流コミュニケーションで、会議の閉塞感を打破する方法論だ。誰も思いつかなかったメソッドだが、実効性があることは数々の事例によって裏付けられている。

 

この原稿で紹介する『空想が実現する時代のビジネス地図』(齊田興哉・著/サンマーク出版・刊)は、さらに先を行く未知のレベルのコンセプトに基づいて記された一冊だ。これまで存在しなかったものが日常の一部になる時代で栄えるのは、どんなビジネスか。

 

5つのジャンルの“ビジネス地図”

章立てを見てみよう。

 

第1章 空想が実現する時代のビジネス地図
第2章 病や障害から自由になる時代のビジネス地図
第3章 移動の概念が拡張し続ける時代のビジネス地図
第4章 地球規模のコントロールが可能になる時代のビジネス地図
第5章 宇宙が人類の行動範囲になる時代のビジネス地図

 

すべて、これまでとはまったく違う時代を背景に展開していくビジネスの形だ。もうちょっと具体的にイメージしてみよう。最初のページに「交通事故」「寿命」「スマートフォン」「政治家」「食糧難」という言葉が並べられている。向き合うページに綴られているのは、こんな文章だ。

 

近い将来、これらの物や言葉は日常的に見なくなったり、死語になったりするだろう。それは、SFに描かれてきた技術が、現実のものとなりつつあるからだ。この本は、そんな時代を迎えるあなたにとっての未来を見通す「地図」となる。

『空想が実現する時代のビジネス地図』より引用

 

テクノロジーとビジネスの掛け算

10年前は空想の産物でしかなかったストーリーが、いくつも現実になっている。

 

実現している技術はこうして私たちが日常的に触れたり、話題を目にしたりするものだけではない。着るだけで空を飛べるスーツや忙しい親に代わって育児をしてくれるロボット、表情から人の心理を読み取るテクノロジーなど、さまざまな技術が実現しているのだ。

『空想が実現する時代のビジネス地図』より引用

 

本書の立脚点である「テクノロジー×ビジネス」という公式に乗せて、30以上の実例が紹介される。いずれも実現しているか、実現の可能性が極めて高いものだ。ものごとの新しいあり方にどのように対処していくか。本質が地図である本書は、確実に道筋を示してくれる。

 

3Dホログラム、デザイナーベイビー、気象コントロール

いくつか実例を紹介しておこう。

 

3D(立体)ホログラムにより、オンライン会議やオンラインプレゼンは立体映像を介して行われるようになる。50年も先の話ではない。10~20年というきわめて近い未来に実現されるのだ。3Dホログラムテクノロジーは、すでに部分的に実現している。このまま進化すれば、コンサートやスポーツイベントなどのコンテンツにも使われるようなアプリケーションが無限に考えられる。

 

倫理面の問題は別として、親が望む外見や能力を持つように遺伝子操作され、生まれてくる「デザイナーベイビー」もほぼ実現している。2018年11月、賀建奎(が・けんけい)という中国人科学者が遺伝子改変受精卵から双子の女児を誕生させたというニュースが世界中を駆け巡った。彼はその後逮捕され、今は上香港でまったく別分野の研究をしているが、基本的なデータはすべて揃っている。

 

今年は地球全体が異常気象に襲われ、考えられないレベルでの水害や山火事が各国で続発した。しかし、こうした天災とは無関係の地球が実現しつつある。なぜなら、宇宙から地球上の気象をコントロールするシステムが構築されつつあるからだ。端的な例を挙げるなら、2008年の北京オリンピックの際に工場の操業を止めて空を晴れ渡らせ、さらに開会式が行われるナショナルスタジアムに近づく雨雲に対処するため小型機でヨウ化銀を空中散布した。ヨウ化銀は空気中の水蒸気と化学反応を起こし、その場で強制的に雨を降らせてしまうのだ。これから先は、こうしたテクノロジーがさらに広い範囲で使われていくことだろう。

 

のび太のような生き方

テクノロジーの進化を妨げているのは「そんなことはできるわけがない」という人間の勝手な思い込みなのかもしれない。ならば、その枷を取り除いてこそ、来るべき時代の正しい姿が見えてくる。そうあるためには、どのように生きればいいのだろうか。

 

『ドラえもん』の「のび太」のように生きるのだ。のび太はドラえもんが4次元ポケットから取り出す「ひみつ道具」を開発することはできない。しかし、利用することにおいては、天才的な才能がある。テクノロジーを作り出す必要はない。積極的に使うことこそが大切なのだ。

『空想が実現する時代のビジネス地図』より引用

 

こうした生き方もまた、地図の一部として盛り込まれるべきもののひとつに違いない。

 

【書籍紹介】

空想が実現する時代のビジネス地図

著:齊田興哉
発行:サンマーク出版

本書では、元JAXAの宇宙ビジネスコンサルタントである著者が、進化するテクノロジーと変わるビジネスの未来を徹底予測。新しいビジネスを創出するヒントと、最先端技術の動向を見通す1冊。

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