まだまだ冷え込むこの時期、鍋パーティを計画している人は多いはず。そこで重宝するのが、全国各地の味を手軽に楽しめるお取り寄せのご当地鍋だ。おすすめ商品や、鍋の歴史をご紹介!
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煮込みながら食べるスタイルは江戸時代の末期ごろに確立した
鍋は、日本の冬を代表する料理のひとつ。全国にその地ならではの郷土鍋が存在するが、そもそも鍋という料理はどのようにして生まれたのか、歴史を紐解いてみよう。
煮炊きを目的とした調理器具は、縄文時代の土器にも見られるが、鍋状のツールが出現したのは鉄器が伝来した弥生時代。ただし作る料理は汁物や煮物であり、調理しながら食べたり、直接箸でつついたりするようになったのは江戸時代の末期ごろといわれている。
食べ方が進化した背景として有力なのは、江戸時代に中国から長崎に伝来した卓袱料理の普及が影響しているという説だ。その特徴のひとつが、食卓中央に置いた大皿のごちそうを取り分けて味わう作法。この食べ方が徐々に広まり、ひとつの皿や鍋を囲むスタイルが浸透していったといわれている。
一方、大都市・江戸の庶民の多くは、狭い長屋暮らしのため、台所の火床が囲炉裏からコンパクトで持ち運びできる七輪に変化。調理器具も大鍋より小鍋が主流になり、煮込みながら味わう食べ方が定着していく。また、街には湯やっこ(湯豆腐のような料理)や、どじょう鍋などの専門店も現れ、江戸の外食文化も発展していった。
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大人数で鍋を囲む食べ方は、明治時代の牛鍋ブームが先駆け
ちなみに、交通網も情報伝達手段も発達していなかった江戸時代に、どのようにして都会の文化が全国へ広がったのか。そこには、当時の社会情勢が関係している。
全国から単身赴任していた武士や出稼ぎの商売人などが都市と地方を往来。また、伊勢参りなどの周遊旅行のほか、梅見に七福神巡りなどのプチ旅行が一般化。つまり江戸時代は、ヒトとモノの移動が盛んだったのだ。加えて、現代のグルメランキングのような人気店の番付表も存在し、口コミとともに都市の食文化が各地へ広がっていった。
江戸時代は「小鍋立て」といい少人数もしくはひとりで小鍋をつつく形式が主流で、座敷やテーブルに置かれた大鍋を複数人で囲み食べるという、現在のスタイルが確立したのは明治時代。現在のすき焼きに似た、牛鍋の登場がきっかけだ。日本では長年肉食が禁止されていたが、文明開化や富国強兵を契機に国が肉食を推奨。この解禁も追い風となり、横浜や東京を中心に牛鍋が流行したのである。
奥深い歴史を経ていまに至るわけだが、各地で独自に発展した郷土鍋は現代でも魅力的な料理。代表的なものをいくつか紹介していこう。今回は北日本、東日本に絞ってお伝えする。
具材もタレもオール北海道産味噌仕立てで、心とカラダをポカポカに
【北海道・石狩鍋】ふるさと産直村/石狩鍋セット
3980円/4~5人前
秋鮭をはじめ、すべてが北海道産。タレはこんぶのうまみが効いた味噌味で、体の芯まで温めてくれる。最後に山椒を加えたり、隠し味に酒粕や牛乳、バターを加えたりと、道産子風に食べるのもおすすめ。
【セット内容】
鮭切り身 5切/タラ切り身 5切/ほたて 5個/ 秋鮭つみれ団子 5個/海鮮鍋のタレ/おいしい作り方説明書
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【ほっとひと息・鍋知識】漁師料理を石狩川河口近くの割烹が商品化
石狩鍋の元祖は、石狩川河口近くにある1880(明治13)年創業の割烹「金大亭」といわれている。石狩川は古くから鮭の名漁地で、漁師のまかない料理だった鮭入りの味噌鍋を同店が商品化したとか。
贅沢&手軽だから贈答にも◎オールインワンの鍋セット
【秋田県・きりたんぽ鍋】秋田活性化/本場大館 きりたんぽ玉手箱
5035円/2人前
日本三大地鶏のひとつである比内地鶏をはじめ、ほとんどの具材は秋田産。なおかつ必要な材料がすべてセットになっているため食材を買い足す必要がなく、鍋に移して約10分で絶品鍋が完成する。
【セット内容】
きりたんぽ 90g×3本/比内地鶏 40g/スープ/糸こんにゃく/野菜
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【ほっとひと息 鍋知識】きりたんぽ鍋には名産の比内地鶏が必須
「きりたんぽ」とは、すりつぶしたごはんを木の串に刺して焼いた秋田や山形に伝わる郷土料理「たんぽ餅」を棒から外し、食べやすく切った食品のこと。なお、肉は比内地鶏を使うのがセオリーだ。
山形が誇る一大イベントに里芋を提供する農園がプロデュース
【山形県・芋煮鍋】さとう農園/山形名物 特選米沢牛 芋煮セット
1万5000円 ※数量限定/4~5人前
さとう農園は、「日本一の芋煮会フェスティバル」に里芋を提供している、明治33年創業の農園。自社栽培の里芋と米沢牛、ねぎ、こんにゃくに加え、隠し味に山形県の地酒を使った特製のタレも付いている。
【セット内容】
特選洗い里芋(さとう農園山形県産) 500g×2袋/特選米沢牛 350g/芋煮こんにゃく/ねぎ/特選芋煮のたれ
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【ほっとひと息 鍋知識】芋煮会フェスティバルはギネスにも認定されたビッグイベント
大鍋をユンボがかき混ぜる姿で有名な「日本一の芋煮会フェスティバル」は、1989年に初開催。2018年の第30回には1万2695人が集まり「8時間で最も多く提供されたスープ」としてギネス世界記録に認定された。
郷土鍋を名物とする和食店が仕立てた、あん肝入り濃厚スープが絶品
【茨城県・あんこう鍋】寿多庵/あんこう鍋セット(野菜・うどん付き)
1万550円/2人前
仕立てるのは、大洗で1926(大正15)年から続くあんこう鍋が名物料理の和食店。脂ののったあん肝を持ちながらも、身が引き締まったあんこうのみを厳選して使用している。秘伝の味噌にあん肝を混ぜて作られたスープは、コク深い垂涎の味だ。
【セット内容】
あんこう 400g/スープ/野菜/豆腐/うどん
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【ほっとひと息 鍋知識】あんこう鍋は漁師料理の「どぶ汁」がルーツ
大洗をはじめ北茨城エリアの郷土食として知られるあんこう鍋だが、そのルーツは「どぶ汁」と呼ばれる漁師料理だったとか。名称の由来は、あん肝がたっぷりとけてスープが濁る様だとする説が有力だ。
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※「GetNavi」2025月2・3月合併号に掲載された記事を再編集したものです