GetNavi web×新日本プロレス コラボ連載
プロレスラー・矢野通選手が10本のなかから「店に置きたい日本酒」を選ぶ!
今回の新日本プロレスとのコラボ連載は、東京・水道橋でスポーツバー「EBRIETAS」を営む矢野通選手へのインタビュー企画第4弾。矢野選手の「飲みの哲学」を語ってもらった第1回に次いで、第2回、第3回では、編集部が厳選した1升2000円台の高コスパな日本酒10本を試飲してもらいました。今回は、ほろ酔いを通り越した矢野選手の提案で、さらに10本を「お燗」で飲むというエクストララウンドへ突入! 何と、お燗のベスト3は、常温ベスト3とまた違った結果になりました! さらに、今回のお燗の味も加味したところ、「本気でお店に置きたいお酒」の総合順位にも変動があった模様。以下で一気に見ていきましょう!
PROFILE
矢野 通(やの・とおる) 矢野選手のTwitterはコチラ
東京都荒川区出身。新日本プロレス所属。第51代、第59代IWGPヘビー級タッグ王者。新日本プロレスを代表する曲者として知られ、「Y・T・R」「崇高なる大泥棒」「酒飲み日本代表」などのニックネームを持つ。身長186cm、体重115kgの体格を生かした得意技は鬼殺し、裏霞、赤霧、黒霧島、大吟醸など酒に由来するものが多い。お約束のポーズは、自らの頭を両手親指で指す「Y・T・Rポーズ」、両手のひらを見せて肩をすくめる「デニーロポーズ」など。反則技を繰り返すヒールスタイルだが、そのキャラクターが熱狂的なファンに支持されている。自らスポーツバー「EBRIETAS」を経営するなど実業家としても手腕を振るう。
【今回訪れたお店】
矢野さんが経営する東京・水道橋のスポーツバー。大型スクリーンが設置され、プロレスをはじめとするスポーツを楽しむにはもってこい。提供する料理は、生ハムとサラミの盛り合わせ(1000円)、おでん盛り合わせ(650円)、肉の塊・牛肉(500g 3200円)など。握手や写真撮影など、矢野選手と交流できるのも魅力です。
住所:東京都千代田区三崎町2-11-12 アイロン三崎町ビル2F
営業時間:19:00 ~ midnight 不定休
矢野選手の意向で「お燗」編が急遽スタート!
――さて、ここまで10本を飲んでいただいたわけですが、いかがでしたか?
矢野 奥が深くて面白いですね。より深く日本酒を知ることができた気がします。これ、熱燗でも飲んでみたいですね。ぜひ、常温との差を比べてみたい!
――えっ! お燗にして、さらに10本飲むってことですか。けっこう酔っていらっしゃいますが……。
矢野 ちょっと酔ってますけど、大丈夫です! なかなかこれだけの種類を試飲できる機会はそうそうないので。いきましょう!
――ということで矢野選手の意向により、エクストララウンド「お燗」編が急遽スタートすることになりました。ちなみに矢野選手は、お燗は結構飲まれるんですか?
矢野 結構飲みますね。カンカンに熱いのが好きです。熱くてゴホッってなるくらいのものがいいですね。
常温1位の「守破離」は燗には向かないかも
――まずは先ほど矢野選手が店に置きたい1位に選んだ京都の「澤屋まつもと 守破離(しゅはり) 五百万石」(720mℓ 1182円、1.8ℓ 2365 円)から飲んでいきましょう。
矢野 これはお燗に向かないかもしれないですね……。常温で飲んだほうが間違いなくうまいです。炭酸のシュワッとした感じが無くなってしまって、ちょっともったいないですね。こういうのが好きな人もいると思うんですけど。
――続いて、大分の「ちえびじん 純米生 ひとめぼれ」(720mℓ 1296円、1.8ℓ 2268円)です。フレッシュ感が強いお酒で、先ほど常温を飲んだ際は「自然の味がする」「酵母を感じる」と評価されていました。
矢野 これも常温の方が僕は好きですね。さっきの「守破離」よりは燗が合っていますが、自然な風味が薄まるというか。あと、常温だと女性が好み、温めると男性が好むような印象です。
――燗の温度についてはいかがですか?
矢野 いまは熱めで飲んでいますけど、これはぬる燗がいいのかもしれないですね。
「松の司」は燗にするとバランスがよくなった
――次は滋賀県の「松の司 生酛純米酒」(720ml 1334円、1.8ℓ 2776円)です。先ほど矢野選手が店に置きたい2位に選んだお酒ですね。
矢野 んっ、これはうまいですね! いやあ、うまい! うまいっ!! これ、本当にうまいっ!
――絶賛ですね(笑)。具体的にどこが良かったですか? 常温で飲んだときは「酒の玉が舌に乗る」と表現されてましたが。
矢野 常温よりもバランスがよくなった気がしますね。お燗にすると玉じゃなくなる感じです。シャープ? シャープになったのか!? いや、そういうわけでもないんですよね~!! わははは。
――表現が難しそうですね!
矢野 常温のときに舌に乗ってきてた玉がなくなるというか。コラーゲンボールを温めると溶けるのといっしょですよ! わははは。
――なかなか理解が難しい表現です(笑)。
矢野 ですよね! でも本当にうまいんですって! あと、あくまで個人的にですけど、七味唐辛子を入れたくなりますね。香ばしさと辛さが合う気がする。
――それも独特の感性ですね。確かに独特の甘みがあるので、スパイシーなものが合うかもしれません。
「長珍」は温めたほうが絶対うまい!
――さて、次は愛知県の「長珍(ちょうちん) 本醸造」(1.8ℓ 2100円)です。
矢野 うまいっ! これもうまいですね!! さっきの「松の司 生酛純米酒」を抜きました。
――常温で飲んだときに「つまみといっしょに飲んでいる感覚」と表現されていましたが、比べてみていかがですか?
矢野 お燗にすることで鰹節がだしになったっていうか。わはは、自分でもなに言ってるかわかんないですけど(笑)。
――なるほど。燗にして本領発揮、ということですね。
矢野 確かに、これは温めたほうが絶対にうまい! 今のところ熱燗ランキングはこれが1位ですね。
おっさんが好きそうな酒は間違いなくお燗に合う!
――続いて東京の「喜正(きしょう)純米酒」(720mℓ 1188円、1.8ℓ 2376円)。常温では、「昔ながらの日本酒」とおっしゃっていたお酒ですね。
矢野 いわゆる「おっさんの酒」ですね。うん、やっぱりこれも燗がうまい! でも、やっぱり、個人的には長珍の方が好みです。ランキングでいうと、今のところ長珍が1位、松の司が2位で、3位にこの喜正ですね。
――次は山口県の「貴(たか) 濃醇辛口 純米80」(720ml 1240円、1.8ℓ 2480円)です。先ほどは梨のようなフルーティな味がすると評価されていました。
矢野 これも常温のほうがいい気がします。燗だと、フルーティさが若干抜けちゃうんですよね。フルーツだったら温めたら味が増すこともあるのに、お酒だとそれが抜けてしまうのが面白いです。
――さて、次は群馬県の「群馬泉 山廃本醸造」(720mℓ 980円、1.8ℓ 1960円)です。常温で飲んだときは喜正と同じ系統の「ザ・日本酒」と表現されていました。
矢野 うん、うまい! やっぱおっさんが好きそうな酒は、間違いなくお燗に合いますね。常温では寿司に合いそうといいましたが、お燗にすると、今度は肉とか味の濃いモノに合う気がします。
喜久醉は燗にしても本当に飲みやすい!
――続いて静岡県の「喜久醉(きくよい) 特別本醸造」(720mℓ 1080円、1.8ℓ 2160 円)を飲んでみましょう。
矢野 これも僕のなかではお燗の期待値が高いですね。何でもない飲みやすい酒。本当に引っ掛かりが何もないし、パンチもない。もちろん、いい意味ですよ!
――いい意味で、ですか(笑)。
矢野 いや、本当にいい意味なんですよ。クセがなくてごくごく飲めちゃう感じっていうか。飲みやすすぎて、つい飲みすぎちゃうタイプですね。
――常温では「水のようだ」と評価されていましたが、それが際立つ感じですか?
矢野 はい。こんなに飲みやすい酒はないぐらい。儲けだけ考えて置くなら一番いいですね。たくさん飲んでもらえるから。ただ、あまり飲まない人に日本酒のうまさを伝えるという部分では、いま一歩かな。
――では次は常温で「平均的にうまい」と評価されてた岡山県の「竹林 ふかまり 純米」(720ml 1296円、1.8ℓ 2695 円)です。
矢野 うん、これはお燗にしてもめっちゃ普通。でも、めっちゃうまいですね! 喜久醉よりもさらに普通! 喜久醉と比べると、コカコーラとペプシコーラぐらいの差というか。
――微妙な差ですが、飲む人にとっては差を感じる、と。
矢野 飲み口は喜久醉のほうが万人に受けるかも知れませんが、竹林のほうがより「日本酒の熱燗」という感じ。熱燗好きに人気が出るのはこっちでしょうか。みんなが好きなお燗の味ですね。でも個人的には喜久醉が好きかな。
七本鎗は「ぬか感」より米本来の香りが引き立つ
――最後は滋賀県の「七本鎗(しちほんやり) 純米80 火入れ」(720ml 1350円、1.8ℓ 2700円)です。
矢野 常温で3位だったお酒ですね。香りを嗅いでいる印象ではかなり1位です(笑)。
――かなり1位(笑)。ハードルが上がっていますね。
矢野 うん、うまい! これはやっぱり1位かも!
――常温で感じた「ぬか感」はどうですか?
矢野 「ぬか感」よりも、米本来の香りが立つ印象ですね。これはうまい。でも長珍の衝撃と比べると長珍が上のような気もするな。両方、もう一回飲んでみて決めていいですか? へへへ~。
お燗の1位はゴマの風味がするあの銘柄!
――というわけで最後にトップ2をもう一度飲み比べてもらいました。ではお燗部門のベスト3を発表してください!
矢野 長珍が1位。七本鎗が2位。3位が松の司ですね。もう一度飲んでわかったんですけど、長珍はお燗にすることでゴマの風味がするんですよね。
――ゴマの風味…というと、香ばしさが出たということでしょうか?
矢野 米の裏に、ゴマやナッツなどの香ばしさ、まろやかさを感じるんですよ。それが常温で感じた「つまみ感」なんですけど、それがお燗にしたことで際立ったというか、味が明確になったというか。
――燗にして、ようやくつまみの正体がわかるようになったと(笑)。
矢野 そう。「ゴマだったのかよ!」ってね(笑)。もう、自分でもなに言ってるかわかんなくなってきました(笑)。2位の七本鎗は味がさらに引き立つ感じ。「米をあまり削っていない酒は、燗もうまいんだよ」と、うんちくが言えそうなのもいいですね。松の司は、常温も燗も両方いける印象です。
すぐにでも店に置きたい日本酒4本が決定!
――ひょっとして、常温と燗を合わせると、総合順位が変わりますか? では、最後に総合順位をお願いします!
矢野 ……(目を閉じて動かない)。
――……矢野さん! クライマックスです!
矢野 …わはは~、寝てないですよ(笑)! 1位は長珍、2位は澤屋まつもと、3位は七本鎗。本当はね、#○×△※~。
――もう呂律がまわらなくなってますよ! あと少し、頑張ってください!
矢野 貴を入れたいかな~。個人的には。
――では、3位のほかに、番外のような位置づけで「貴」が入る形ですね!
矢野 もうこの4本は、すぐに店に置きたいです!
――もしかしたら、今後、お店に来たらこのお酒が置いてある可能性があるわけですね。さて、最後に、今回10本の日本酒を試飲してみていかがでしたか。かなりの量を飲んでいただきましたが……。
矢野 ……単純に酔いましたね~。まだまだ飲めますけど~(笑)。でも真面目な話、今回は本当に勉強になりました。もっともっと日本酒のことが知りたくなりましたね!
矢野選手、10本の日本酒の常温、燗とたくさん飲んでいただき、ありがとうございました! それにしてもさすがは飲食店経営者、コメントは的確で、随所に独特の表現があり、こちらも勉強になりました。次回はまた別のお酒で取材をお願いしたいですね。さて、次回はガラッと趣向を変えて、矢野選手がかねてから興味を持っていたという、革製品のものづくり体験をお届けします。お楽しみに!
今回の連載の流れをおさらいするなら以下をチェック!
第1回:飲みの席で気が利くヤツが出世する! 飲食店経営の酒豪レスラー矢野通が語る「飲み」の流儀
第2回:飲食店経営の酒豪プロレスラーが「本気で店に置きたい日本酒」は? 一升約2000円の日本酒レビュー10本ノック!
第3回:飲食店経営のプロレスラーが大絶賛した日本酒とは? ついに「本気で店に置きたい高コスパ酒」ベスト3が決定!
※試合の最新情報は新日本プロレス オフィシャルサイトへ
撮影/石上 彰