海が見える農園の素晴らしいロケーションには理由があった
ちなみに、先述の原田会長は自身でもレモン栽培を行っており、農園を所有しているとのこと。案内してくださるとのご厚意に甘え、JA三原せとだ支店からクルマで約10分の場所に位置する農園を訪れた。
到着すると、思わず「老後はここに住みたい……」と考えてしまうほどの素晴らしいオーシャンビュー。海と道路を隔ててすぐの場所に傾斜のある丘が広がっており、丘の斜面にはレモンの木がびっしり。ここだけで年間6万トンものレモンが収穫できるという。
ちなみに、眼前に海があり、斜面であることはレモン栽培に適した条件のひとつだそう。なぜなら、海面が陽光を反射することで、斜面に届く光の量が増えるから。また、斜面だと太陽の光を受ける面積が増え、海から反射される熱も浴びやすい。もうひとつ、傾斜地は水が溜まらずに流れるのもメリット。降雨が少ないことも手伝って、果実が水分を蓄えようとするため、おいしいレモンができるという。
減農薬・防腐剤不使用ゆえの苦労も多い
ふと軽トラックの荷台に目をやると、カゴに入った収穫したばかりのレモンが。どれもハリ、ツヤがあり、ワックスがついていないのが信じられないほど。これほどのレモンを育てるには、多くの苦労が伴うはずだ。
「除草剤をまかないわけですから、こまめに雑草を刈らなきゃいけない。こうしないと、土のなかにある栄養が木にいきわたらんのです。あとは先ほどもお話しした『かいよう病』対策ですね。強い風で木のトゲが実や葉を傷つけないように、また、傷ついてしまった場合は、かいよう病が広まらないように、しっかりと対策をすることが大切です」(原田会長)