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2018/12/30 11:00

これさえ覚えておけば居酒屋で注文できる! 日本酒を楽しむための4つのステップ

日本酒に興味があるけれど、専門用語が多く難しそうと敬遠している人も多いはず。まずは日本酒の基本を知りましょう。ここで紹介する4ステップを踏めば、味が違う理由がわかり、今日から店での注文も余裕です!

 

【STEP 1】

日本酒の種類を覚えよう

純米酒、吟醸酒に純米大吟醸……日本酒は、原料や製造方法などの違いにより、その種類が細かく分類されています。まずは日本酒の種類を勉強しよう!

 

【1】醸造用アルコールを加えたもの

庶民の強い味方「普通酒」

特定名称酒に含まれない日本酒はすべて普通酒。酒税法の特定名称酒の条件を満たさないだけで、普通酒もおいしい酒は多いです。(特定名称酒とは「吟醸酒」「純米酒」「本醸造酒」のこと。原料や製造方法により、さらに8種類に分類されます)

 

スタンダートな日本酒「本醸造酒」

原料は米、米麹、水、醸造用アルコール。精米歩合は70%以下で、本造り、本仕込みともいいます。飲み飽きしないのが特徴で、日本酒のスタンダードといってもよい酒です。

 

精米歩合に注目したい「特別本醸造酒」

本醸造と同じく、原料は米、米麹、水、醸造用アルコール。精米歩合が60%以下と本醸造酒よりも高いです。米を磨いて、特別な製造方法で丁寧に造られています。

 

華やかな吟醸香が特徴「吟醸酒」

原料は米、米麹、水、醸造用アルコール。精米歩合は60%以下で、低温でじっくりと時間をかけて発酵させる吟醸造りの酒。吟醸香というフルーティな香りが特徴です。

 

香り高くすっきりとした酒質「大吟醸酒」

吟醸酒と同じ原料で、精米歩合が50%以下。酒米を磨きに磨き、吟醸造りをさらに徹底させて醸しだします。香り高く、すっきりとした酒質の極上の酒。

 

【2】醸造用アルコールを加えないもの

米の旨みを味わう本格派「純米酒」

醸造用アルコールを使わないで、米、米麹、水だけで造った酒。精米歩合の条件はとくにありません。米の旨みやコクが感じられ、燗にも向いています。本格派の日本酒ファンに人気。

 

純米酒をグレードアップ「特別純米酒」

純米酒と同じく原料は米、米麹、水だけ。精米歩合は60%以下。純米酒と違うのは精米歩合に関する規定があること。米を磨いて、特別な造りで醸した純米酒。

 

華やかな香りにきれいな酒質「純米吟醸酒」

米、米麹、水だけが原料で、精米歩合は60%以下。吟醸造りの製法によって丁寧に造られます。華やかな吟醸香、きれいな酒質が特徴です。

 

穏やかな香りの最高峰の酒「純米大吟醸酒」

純米吟醸酒と同じく、米、米麹、水だけを原料に、精米歩合を50%以下とさらに高くした酒。醸造用アルコールを使った大吟醸酒よりも穏やかな香りです。

 

【補足説明!】

Q.醸造用アルコールって?

A.純度が高くて無味無臭

日本酒を造る過程で添加する蒸留酒。サトウキビなどが原料で、純度が高く無味無臭。増量できるだけでなく、酒質が安定し、味がクリアになる、香りが良くなるなどのメリットがあります。ちなみに、これを加えない酒が純米酒です。

 

Q.精米歩合って?

A.米を削った割合のこと

精米したあとに残った酒米を%で表したもの。例えば精米歩合35%とは、65%を削って残りの35%を原料にしたという意味。精米歩合を高くすると香り高くすっきりとした酒質に、低くすると濃厚な酒になります。

 

【STEP 2】

日本酒用語を覚えよう

初心者を悩ませるのが、日常生活ではまず登場しない独特の「日本酒用語」。一見難しい言葉も、日本酒の製造工程やその後の処理方法を知れば、簡単に理解できます。用語を覚えれば、どんな酒か想像できるようになります。

 

●火入れ【ひいれ】

酒が変質、腐敗しないように行う加熱処理。常温保存できる日本酒は、貯蔵前と瓶詰め前の2回行うのが基本です。

●生酒【なまざけ】

通常2回行う火入れをせずに商品化した酒。瓶内で酵素が生きているためフレッシュな味わい。ちなみに1回目のみ火入れした酒は「生詰」、反対に2回目のみ火入れした酒は「生貯蔵酒」といいます。

●山廃仕込み【やまはいじこみ】

明治時代末期に開発された、酒母造りの製法のひとつ。生酛仕込みから山おろしという米をつぶす重労働をはいししたため、この名がつきました。生酛と同様に、酸がしっかりとした、骨太な酒になります。

●にごり酒【にごりざけ】

もろみを搾るときに、粗い布で搾り、あえてオリを残した酒のこと。白いにごりが入り、もろみの濃厚な香りや味わいが楽しめます。女性からも人気の高い酒です。

●熟成酒・古酒【じゅくせいしゅ・こしゅ】

最近は熟成酒や古酒がブーム。酒質にもよりますが、搾りたてのときは若く荒々しかった酒が、寝かせることで味が熟成して旨みが増し、格段においしくなることがあります。

●原酒【げんしゅ】

日本酒はアルコール度数調整のために、加水することも。加水をしない、そのままの酒を原酒といいます。

 

【STEP 3】

ラベルの読み方を覚えよう

ラベルは蔵元や杜氏からのメッセージ。主に酒瓶の胴、肩、裏面の3か所に貼られています。胴には酒の銘柄、肩には「無濾過原酒」など酒のタイプが書かれていますが、特に参考になるのは裏面のラベル。その酒の特徴を示すデータが記されています。

 

●使用米

使った酒米の種類。1種類だけでなく、麹米、もろみの掛け米と、製造工程ごとの酒米を表示する場合もあります。

●精米歩合

精米して、残った酒米の割合を%で表します。米の磨ぎ具合によって、酒の味わいが変化します。

●日本酒度

甘辛の度合いを+−と数字で表します。辛口が+、甘口が−。+5以上は辛口、−5以下は甘口とされますが、アルコール度数、酸度によっても変わるため目安にすぎません。

●アルコール度数

日本酒のアルコール度数は15〜16度くらい。加水していない原酒はもっと高く、高いほど濃い味わいになります。

●使用酵母

酒母造りに使用した酵母の種類。「K」とある場合は協会酵母のこと。酵母によって香りと酸に個性が表れます。

●酸度

乳酸、コハク酸、リンゴ酸など酸の含有量を%で表示。通常は1.3〜1.5%で、酸度が高いと味が濃く、低いと淡麗になります。酸が高いと加熱しても味が崩れにくく、燗酒向きともいえます。

 

【STEP 4】

香りと味の4分類を覚えよう!

ここでは、飲食店で役立つ日本酒の分類法を紹介。味と香りで分けた4つの分類を覚えておくと、店員さんとのやりとりに役立つはずです。

熟成古酒系(表右上のゾーン)

濃厚な旨みと、力強い香りが魅力。芳醇な熟成古酒がこの部類です。常温か熱燗で、または食後酒として単独で個性を楽しみたいタイプ。

 

純米・山廃系(表右下のゾーン)

米の旨みが強く、酸がしっかりある力強い酒。どんな料理にも負けないタイプで、脂っこい中華や洋風料理にも合います。珍味系との相性も抜群。

 

吟醸系(表左上のゾーン)

華やかな吟醸香があり、軽快ですっきりとした飲み口のタイプ。食前酒として楽しむほか、刺身などの淡白な料理と合わせるのがオススメ。

 

淡麗系(表左下のゾーン)

甘みや酸が少なくキレがあり、さっぱりと飲めるタイプ。クセがなく、料理の邪魔をする要素が少ないため、合わせる料理を選びません。

 

【プラスワンSTEP】

日本酒の造り方を知ろう

日本酒がどのように造られるかを知ると、一滴一滴がより愛しくなります。複雑で手の込んだ工程を経て、極上の酒が醸し出されるのです。

日本酒造りは「一麹、二酛、三造り」。酒米を精米、洗米して蒸し上げ、麹菌を加えて麹米を作るのが最も重要な工程です。次に、酒母(酛)造りで優秀な酵母を育てています。最後に酛、水、蒸米、麹を加えてもろみを造り、じっくりと発酵させて搾るとできあがります。

 

文/大黒静郎(コバルト・アワー)、小堀真子、ゲットナビ編集部 撮影/我妻慶一 イラスト/zinbei