台湾や下町の名物も激ウマだ!
なお、排骨は台湾の定番料理のひとつ。現地では麺やご飯にのせた形でよく提供されているが、「生駒」には排骨以外にも台湾料理が多い。その理由は、かつて小池さんが台湾出身のコックさんを雇っていたからである。その際に、様々な台湾料理をメニューに取り入れた。家庭の事情で帰国してしまったというが、彼の郷土食はそのまま残ったのである。この従業員がいなければ、前記の大傑作は生まれなかったかもしれない。
台湾料理の代表的なものが「干大根入り 玉子焼き」。卵は4つ使用し、燻製された干しだいこんをねぎとともに加えて焼き上げる料理だ。特筆すべきは食感で、シャキシャキではなくコリコリ。たくあんに近いニュアンスといえるだろう。
同店の多彩な料理のなかには、下町らしい逸品もある。それが純レバだ。これは浅草の街中華「味の工房 菜苑 本店」が元祖といわれており、下町の飲食店で幅広く提供されている。「生駒」の場合は、小池さんが食べ歩くなかで独自のレピシを生み出し、5~6年前にメニュー化したとのこと。
この「純レバ炒め」は生で仕入れた新鮮な鶏のレバーをサクっと揚げ、ねぎ、にんにく、にらとともに炒める料理だ。決め手となっているのが絶妙にピリ辛い味付け。これは特製豆板醤を効かせた、コク深い醤油ダレによるもの。独自手法の調合でトゲトゲしい角をとり、それによって隠し味の甘さを引き立てている。酒や白米が進むことは言うまでもない。
中華料理店でありながら、ときにカレーやカツといった洋食を味わえる自由さが、街中華の魅力のひとつである。そしてなかには「生駒」のように、カレー味のチャーハンに合わせてカツカレーをフュージョンさせる革新派もいる。業態としては古典派で大衆的なものだが、自由のなかから夢のような逸品が生まれるから街中華は面白い!
撮影/我妻慶一
【SHOP DATA】
生駒
住所:東京都墨田区緑4-30-9
アクセス:JR総武線ほか「錦糸町駅」南口徒歩11分
営業時間:11:00~14:00(L.O.13:00)/18:00~22:00(L.O.21:00)、日曜、祝日11:00~14:00/18:00~21:30(L.O.20:30)
定休日:水曜