筆者はこれまで、さまざまなお酒の新商品をレポートしてきましたが、本稿でご紹介するのは、そのなかでも唯一無二。またとないビッグネームのコラボかつ、超希少な逸品です。それが、スコッチウイスキーの名門「シーバスリーガル」と、老舗の酒蔵「満寿泉」がコラボして生まれた日本酒「リンク8888」。いったいどんなお酒なのでしょうか?メディア向けお披露目会の様子から、その特徴をお伝えしていきます。
どちらも超老舗。一流の酒の作り手がタッグを組んだ
創業1801年のシーバス・ブラザーズ社の旗艦ブランド「シーバスリーガル」。そのリッチでまろやかな味わいは世界中で愛され、いまや150か国以上に展開するブレンデッドスコッチウイスキーのトップメーカーです。
その「シーバスリーガル」と今回タッグを組んだのは、創業1893年、富山を代表する老舗蔵元「桝田酒造店」の銘酒「満寿泉」。綺麗ななかに旨みののった豊かな味わいは、国際的なコンテストでの入賞実績も豊富。吟醸酒のパイオニアとして、国内だけでなく海外でも高い評価を受ける一流ブランドです。
そして、両者のキューピッド役になったのは、あの中田英寿さん。彼を介して出逢った両者は、お互いに共通するクラフトマンシップを感じ、距離や文化の壁を超えた絆が生まれたそうです。
桝田酒造店の代表取締役社長・桝田隆一朗さんは、お披露目会のトークセッションでこのように語っていました。
「シーバスリーガルにはたくさんの人、しかもいろいろな国籍の人が関わっていて、このプロジェクトを進めていく過程で、スコットランドと日本、という枠組みを超えて、もっと広い意味でのインターナショナルな“人とのリンク”を感じました。そして、彼らとの対話を通じて、これまでの日本酒造りにおける既成概念を見直すきっかけにもなりました。今回、とても香りが強いウイスキー樽に負けないパワフルな日本酒の原酒を作るために、従来の酒米や製法ではあまり見られない試行錯誤もしました」
そして誕生したのが、「リンク8888」。数字は、スコットランドの蒸溜所と、富山県の醸造所、このふたつの距離が8888kmであることに由来しています。
「シーバスリーガル」の掲げる“アート・オブ・ブレンディング(ブレンディングの芸術)”を日本酒造りに融合させ、酒造好適米としてメジャーな山田錦のお母さんにあたる希少種「山田穂」や、黒米(玄米)を使った複数の原酒を用い、シーバスリーガルの熟成に使われるアメリカンオーク(バーボン樽)で4か月ほど熟成。その特徴が異なる「満寿泉」をブレンドすることで、このイノベーティブな日本酒が完成しました。
フレッシュな甘みがありつつも、ミルキーなまろやかさ、スコッチの樽香が感じられ、しっかりしたボディ感もある複層的な味わい。これまでに体験したことのない、スペシャルな日本酒です。