グルメ
2019/3/7 11:15

伝説の家政婦 タサン志麻さんに教わる“肩の荷が下りる”フランス家庭料理の極意

“伝説の家政婦”として、テレビ番組などで活躍中のタサン志麻さん。出演するテレビ番組では、3時間で10品以上の作り置きメニューを作る様子が紹介されていて、この人は魔法使いか、と! しかも、どの料理もおいしいと評判です。見た目もおしゃれだから、自宅のディナーはもちろん、人を招くときふるまう料理としても、重宝しそうですね。今回はご本人に、志麻さん流フレンチのポイントと、とっておきのレシピを教えていただきました。

 

家政婦 / タサン志麻

大阪・あべの/辻調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業。ミシュランの三ツ星レストランで研修後、都内の有名フレンチレストラン等で15年勤務。その後、結婚を機に家政婦として活動開始。冷蔵庫にある食材で、和洋中バラエティに富んだ料理を作り出す。13万部のベストセラー『志麻さんのプレミアムな作りおき』(ダイヤモンド社)に続き、2月14日には、『厨房から台所へ 志麻さんの思い出レシピ31』(ダイヤモンド社)が発売予定。
https://shima.themedia.jp/

 

フランスの家庭に学ぶ、“楽”をしながら料理する方法

━━━志麻さんは、さまざまな料理の中でも、フランスの家庭料理が得意だとか。フレンチのなかでもとくに家庭料理を選んだというのは、何かきっかけがあったのでしょうか?

 


志麻さん「もともとは和食の料理人になりたくて、料理学校に入学しました。いろいろなジャンルの料理の授業を受ける中で、フランス料理のおいしさと、歴史の深さに惹かれたのです。その延長から、本場フランスの家庭にお邪魔して“お母さんの味”を教えてもらったのが、フランス家庭料理にハマったきっかけですね」

 

━━━フランスで学んだ家庭料理は、どういったものだったんでしょうか?

 


志麻さん「とにかく簡単で、味付けも塩とコショウのみと、シンプルなものが多いです。あと、日本の家庭料理と違うのは、肩の力を抜いて調理していること。フランスの家庭料理はオーブンを使ったものが多いのですが、焼いている間にワインを飲みながらおしゃべりしたりすることも。楽しく食事をすることを大切にしているので、日本のお母さんみたいに台所にこもりっきり、ということがないのです」

 

━━━たしかに食事の準備をする間は、家族との会話もおざなりになりがちですよね……。では、具体的に調理について聞かせてください。フランスの家庭料理に欠かせない調味料って、あるんでしょうか?

 


志麻さん「コンソメは味をまとめてくれるので、欠かせないですね。ハーブなら、タイムとローリエをよく使います。料理は味のメリハリが重要なので、お肉などコクのあるものにはしっかりと塩をふって、逆にあったりした野菜などは塩味を薄くするといいですよ。両方を同じくらいの塩味にすると、料理全体の味がぼやけてしまうんです」

 

 

━━━つい薄味がいいと思ってしまいますが、食材によってさじ加減を変えるのがポイントなんですね。それから、志麻さんお気に入りのキッチンツールを教えてください!

 


志麻さん「実は……こだわりがないんです(笑)。あえて言うなら“使い回しができるもの”を選ぶことがこだわりかもしれませんね。食材を裏ごしするのも野菜を洗うザルでやっちゃうし、菜箸が1本あれば混ぜる・返す・盛る、全部の工程ができます」

 

━━━ふだん、キッチンで使っているものを使い回す、ということが、実は一番楽なのかもしれませんね!

 


志麻さん「家政婦として働いているときは、依頼先にあるもので調理しないといけないですし、“これは何で代用しようかな?”と考える時間も楽しいですよ」

 

━━━なるほど! では、家政婦として呼ばれたお宅などでは、どういった料理を作ることが多いのでしょうか? 志麻さんは“作り置き料理”がお得意なイメージです。ぜひ、おすすめのレシピを教えてください!

 


志麻さん「レストランでも、作り置きは珍しくありません。ぜひ、作り置き料理のコツを覚えて、少しでも時間を有効に使って、楽に過ごしてほしいです。今日は、人気の作り置きメニューから『アッシ・パルマンティエ』を教えますね」

 

 

━━━アッシ・パルマンティエ……初めて聞きました。それはどういう料理なんでしょう?

 


志麻さん「煮込んだひき肉と、じゃがいものピュレのグラタンです。フランスでは、子どもから大人まで大人気のメニューなんですよ。煮込んだミートソースはそのままパスタの具にもなるし、じゃがいものピュレはハンバーグの付け合わせにぴったりです」

 

━━━おいしそうですね! でもグラタンというと、ちょっと作るのが面倒なイメージですよね……。

 


志麻さん「グラタンは難しい料理だと思われがちですが、ミートソースもじゃがいもピュレも面倒な工程はありません。ピュレするじゃがいもは、しっとりとしたメークインを使うとなめらかな食感になって高級感が増しますよ。じゃがいもじゃなくても、かぼちゃやさつまいもでも代用可能です」

 

━━━メークインを使うのがポイントなんですね。スーパーですぐ手に入りますし、これは今晩にでも作らなければ! 志麻さん、ありがとうございました!

 

フランスのグラタン「アッシ・パルマンティエ」

【材料(5~6人前)】

じゃがいも6個
バター…40g
牛乳…350ml
合びき肉…300g

<A>
玉ねぎ(みじん切り)…1/2個
にんじん(みじん切り)…1/4本
にんにく(みじん切り)…1かけ

トマト缶…1缶(400g)
オリーブ油…適量
塩・コショウ…各適量

<B>
コンソメキューブ…1個
タイム、ローリエ…各適量

赤ワイン…100cc
ケチャップ…大さじ2
ピザ用チーズ…適量

 

【作り方】


①皮を剥いてカットしたじゃがいもをお湯でゆでる。柔らかくなったらザルに上げ、熱いうちにスプーンなどで裏ごし。バターを加えたら、弱火で牛乳を少しずつ加えてなめらかになるまで、火を通す。【食材A】の完成。

 


②鍋にオリーブ油と<A>を入れ、塩を加えてしんなりするまで炒める。トマト缶を加えて潰しながらあくを取ったら<B>を加え、トマトを潰すようにへらで混ぜながら煮込む。煮詰まってきたらケチャップを加える。肉の色が変わったら、塩・コショウと赤ワインを加えてアルコールを飛ばす。【食材B】の完成。

 


③【食材A】→【食材B】を順番に敷き詰めて、一番上にピザ用チーズをたっぷりのせる。

 


④230度のオーブンで約10分焼く。こんがり焼き色がついたら出来上がり!

 

【前半のまとめ】

あっという間に完成した「アッシ・パルマンティエ」は、なめらかなじゃがいもと食べ応えのあるミートソースの相性が抜群。子どもが大好きな味で、いろんなアレンジができそうです。続いて後半では、ちょっぴり大人な「鶏もも肉のマスタード焼き」を教えていただくのでお楽しみに。

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