立ち食いそば店の食べ歩きが趣味で、立ち食いそばムックも執筆したことがあるライター、平島憲一郎さんが気になるお店をレポートするコーナー。今回は、東京・旗の台の「だし家」を紹介します。立ち食いそば店のなかにはつゆにとことんこだわる店がありますが、「だし家」もそんな店のひとつ。
だしの風味が際立つまろやかなつゆが堪能できる!
同店は昆布、本かつお節、宗田節、さば節からだしを取る。かえしは2種類の薄口しょうゆと砂糖、みりんなどを使い、一週間寝かせる。両者を合わせてできあがったつゆは、色が透き通るように薄い。味はコクと風味が濃厚で、しかもまろやか。これに合わせるのはゆで麺で、モチモチと柔らかい食感がつゆとよく合う。同じつゆを使ったうどんも人気だ。
なお、天ぷらはあえて揚げ置きにしている。揚げたてはつゆに油が溶け出しすぎて味がくどくなるそうで、一度揚げ置いて余分な油を切ってから提供するのだという。あくまでもだしを中心にした発想なのである。
人気のトッピングはしょうが天。しょうがと玉ねぎを混ぜたかき揚げで、しょうがの辛さと玉ねぎの甘みが融合して、食べ飽きることがない。
ちなみに、つゆが生まれたきっかけは、初代店主が関西でうどんを食べたとき、だしのおいしさに感銘を受けたことだという。現在、店は主に二代目が切り盛りしているが、つゆへのこだわりは健在。今日も「だし家」は、その名に恥じぬ極上のつゆを提供し続けている。