街中華の魅力のひとつにメニューの自由さが挙げられるが、まれに独創的かつ絶品な料理に出合うことがある。今回紹介する東中野の「大盛軒」も、オリジナリティにあふれた美食がある名店だ。その名も「鉄板麺」。
お客の約7割が注文するというこの看板メニュー。お品書きを見ると「東中野名物」とまである。誕生エピソードや味の特徴などに触れながら、同店の魅力を紹介していこう。
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味と量に加えアレンジもできて満足度がハンパない
「大盛軒」は1982年に創業。読み仮名は「たいせいけん」ではなく「おおもりけん」だ。これには、“お腹いっぱいに”という創業者のメッセージが込められている。その想いから生まれたメニューのひとつが「鉄板麺」で、さらなる大盛りをはじめ、カスタマイズや具材のバリエーションが豊富なのも特徴だ。
ちなみに「鉄板麺」というネーミングからは、メインの料理に麺が入っていると想像するかもしれないが、そうではない。これは鉄板焼き+ラーメンのことで、鉄板焼きはたっぷりの野菜に肉類の具と特製ダレがかかった料理となる。
トッピングのほかに、推奨とされているのがタバスコのプラスオンだ。そのため同店の卓上には大サイズのタバスコが置いてあり、自由にかけられる。また、お品書きには鉄板麺の紹介やオススメの食べ方などものっていて、思いおもいの手法で味わうことができるのだ。
好みの要素を加えたら全体をよく混ぜていただこう。そうして豪快に口へ放り込むと、この料理の奥深い魅力が明らかになる。というのも、想像するほどこってりした味ではないからだ。とはいえ物足りなさは皆無で、箸は止まらない。たっぷりの野菜のうまみが肉とひとつになり、またタレはドレッシングのように甘味と酸味が豊かで、きわめてジューシーなのである。
そしてセットの半ラーメンも、ハーフとはいえしっかりとした存在感。それもそのはず。同店のラーメンは1玉180gが通常なので、半でも90gある。これは、細麺の博多ラーメンの1玉に近しい量。トータルの味もボリュームも申し分のない、満足度の高い逸品となっているのだ。
味はもちろん立地的にも魅力が満載
注文の7割は「鉄板麺」と述べたが、残りの3割は各自の好む料理が決まっており、メニュー決めで悩む人はほぼいないそう。その多くはワンプレート系のご飯ものやラーメン類となり、特に人気が高いのは「タンメン」だ。
たっぷりの野菜を炒め、中華スープとともに煮込んで絶妙なタイミングで麺とブレンド。野菜は豊かな甘味を醸し出し、塩ダレと合わさってやさしい味わいに。また、シャキシャキとした食感が、もちもちの平打ち麺との美味なるコントラストを生み出す。
定食やラーメンのお供に、またつまみにも最適で人気なのが餃子だ。単品のほか「餃子麺」は750円、「餃子ライス」は700円で味わえる。
皮も製麺所に発注しており、麺と同じくもちもち。そして大ぶり。あんは肉と野菜が半々で、キャベツ、にら、にんにく、しょうがが材料だ。肉汁と野菜の甘味が好バランスでひとつになり、ジューシーなおいしさが口いっぱいに広がる。
なお、同店は駅から至近距離にあるのも魅力。東中野駅の東口目の前は現在コンビニとなっているが、昔はそれがなかったため、インパクトはいま以上だった。
ランチとディナー間の中休みがなく、ぶらりと途中下車するにも最適。とにかくお腹がすいたときは、「大盛軒」で至福のひとときを過ごそう。
撮影/我妻慶一
【SHOP DATA】
大盛軒
住所:東京都中野区東中野1-51-1 村上ビル 1F
アクセス:JR総武本線ほか「東中野駅」東口徒歩1分
営業時間:11:00~22:00
定休日:なし