グルメ
2019/12/8 11:00

「玉ネギ=辛い」を過去のものにしたいーーイグ・ノーベル受賞の研究成果がジュースになった

いくつもの国民的カレーやシチューブランドをはじめ、「オー・ザック」「とんがりコーン」「ウコンの力」「うまかっちゃん」「フルーチェ」なども生み出しているハウス食品グループ。これらオンリーワンの名作を生み出すモノづくり精神には注目ですが、ユニークな発明品も開発していることをご存知でしょうか。それが「スマイルボール」という、辛くない玉ネギ。

 

↑「スマイルボール」は2015年よりテスト販売をスタート。一部のスーパーや百貨店のほか、マルシェ系の催事や「LOHACO」などで、1個あたり100円程度(サイズによる)で買えるそうです

 

辛くないということは、切っても涙が出ないということ。この実力は折り紙付きで、開発のベースとなった研究“催涙因子合成酵素の発見”は、2013年にイグ・ノーベル化学賞を受賞。それが発展し、「オニオネード」というジュースが11月5日から発売されています。味は? 価格は? といったことをレポートしていきましょう。

 

レトルトカレーの製造をきっかけに誕生

入手する方法は、新しいモノや体験の応援購入サイト「Makuake」での先行予約にて。6本3000円などいくつかのプランが設けられ、支援することで後日(2020年2月ごろ)届くというプロジェクトになっています。

 

↑「オニオネード」。内容量は180mlで、原材料は玉ネギ、水、ハチミツ、レモンとなっています

 

まず気になったのが、主軸は野菜などの農作物ではなく加工食品のメーカーであるハウスが、なぜ「スマイルボール」を開発したのかということ。聞くと、それは偶然。きっかけはハウスの主力商品のひとつ、レトルトカレーだったそう。製造時に玉ネギとニンニクを炒めるとまれに、アメ色ではなく緑色になってしまう現象が発生。この原因解明の研究が1990年代から行われていました。

 

↑開発の歴史。「オニオネード」の発売までは、20年以上の歳月がかかっており、年間1000サンプル。10年で1万個の玉ネギを分析したとか

 

研究の過程で、アミノ酸がアリイナーゼという酵素と、新たに発見した催涙因子合成酵素「LFS」と2段階で反応することで、涙の出る原因となる辛み成分が生成されることを解明。そこからこの仕組みを応用した辛みのない玉ネギ作りがスタートし、10年かけて品種改良を重ねアリイナーゼの量がきわめて少ない「スマイルボール」の販売に至ったのです。

 

↑ほかの玉ネギとの比較。辛味を感じないぶん、その裏に隠れていた甘味を楽しめるのが「スマイルボール」です

 

辛くないから生のままおいしく食べられる。そんな「スマイルボール」のメリットは栄養素にも。普通の玉ネギは水に浸すことなどで辛味を飛ばせますが、そうすると有効成分までもが溶出してしまいがち。でも「スマイルボール」は水に浸す必要がないので、抗酸化作用に期待できるケルセチンなどを丸ごと摂取できるのです。

 

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