グルメ
2020/10/13 21:00

斬新メニューばかりが出る「味噌汁専門店」で見つけた「未来の味噌汁」の楽しみ方

和食のルーツとなる本膳料理「一汁三菜」の一つ「汁」でありながら、現代では料理の脇役的に扱われがちな味噌汁。しかし、この味噌汁の素晴らしさを改めて見直し、同時にこれまでのセオリーに捉われないメニューを出すという前例のない「味噌汁専門店」が浅草にオープンしました。その名もMISOJYU。

 

書道家の武田双雲氏が主宰する、楽しい食事の場をシェアするプロジェクト・TEAM地球が手がけた店で、今回は同プロジェクトのブランドディレクターのエドワード・ヘイムスさんに、味噌汁専門店オープンに至った経緯から、「未来の味噌汁の楽しみ方」について話を聞きました。

↑エドワード・ヘイムスさん。東京で生まれ、18歳で渡米。ミュージシャン、編集者などを経た後、写真家に転向。世界中を旅しながら写真を撮り続けるうちに料理に目覚め、カリフォルニアで8年間シェフとして活動。帰国し、MISOJYUだけでなく、数多くの飲食店をオープンさせ、ブランド構築を行っている

 

味噌汁はもっと自由で贅沢に楽しむべき料理

ーー「味噌汁専門店」という前例がないお店をオープンさせた経緯を教えてください。

エドワード・ヘイムスさん(以下、エドワード) もしかしたら過去にも「味噌汁専門店」ってあったかもしれないですけど、たしかに聞き慣れないですよね。でも、「前例がないから心配」とかは考えずにオープンしました。最初に味噌汁の前に「発酵」というキーワードがあったんです。「発酵」は日本もそうだし世界中で再評価されているほど、人間にとって有益なもの。食べ物の美味しさや栄養価を高めるだけでなく保存性もある。腸内環境も良くなるし、抗酸化作用もあります。

 

特にアメリカでは料理のジャンルを超えて、多くのシェフが「発酵」の研究を重ねているんですけど、日本を見直してみると、「味噌」という絶好の発酵食品があります。もちろん僕も味噌汁が大好きなので、だったらこの浅草に専門店があっても良いんじゃないかと思い、お店を出したんです。

 

ーーただ、「味噌汁専門店」と聞くと、正直「味噌汁だけで食事を持たせられるのか」とも思いました。

エドワード よく言われることですね。「味噌汁をメインディッシュ」と考え、どのメニューも具沢山にしているから食事としては十分だと思います。日本人にとっての味噌汁は、控えめな食材を使うことが多いですよね? お出汁を取って、味噌を入れて、あとはお豆腐だけ。または、ほんの少しの野菜だけとか。聞くところによると、500年くらい味噌汁のメニューって変わってないらしいですよ。

 

それって「ちょっと勘弁してくださいよ」と思います(笑)。だって味噌汁がもったいないじゃないですか。味噌自体がもともと旨味成分なのだし、どんな食材も合うはず。これまで日本人が考えてきた具材だけでない、アレンジした味噌汁もあって良いと思うし、これが広まれば、もっと世界に広まる料理だと思い、MISOJYUでは既成概念に捉われない味噌汁を作り、それをメインディッシュとして出しているんです。

↑浅草の街角に今年オープンしたMISOJYU。取材時は比較的若い女性客で賑わっていました

 

生クリームや豆乳を入れた味噌汁も考案

ーー「味噌汁」を主食として考えたということですけど、一般的な味噌汁よりもパンチが出るよう、何か工夫されていることがあれば教えてください。

エドワード まず味噌。最初から「有機味噌を使う」ということは決めていて、全国各地から様々なものを取り寄せて試しました。どれも良い味噌ばかりでしたけど、そのうち島根県の山奥のやさか味噌さんの白味噌をはじめ、料理ごとに様々なものをブレンドして使っています。この味噌に加えて、お出汁をしっかりとることは大事にしています。これは従来の和風出汁だけではなくて、季節限定メニューなどでは鶏ガラなども使う味噌汁もあります。

 

ーー鶏ガラですか?

エドワード はい。魚のアラを使う味噌汁もあるし、豚汁もある。鶏ガラの味噌汁があってもいいじゃないかという理由です。あとは、味噌汁を「スープ」として考えて、生クリームとか豆乳を入れて出すメニューもあります。

 

ーー……全く味の想像がつきませんね。

エドワード だけど、すごく美味しいですよ。味噌汁をクラムチャウダーとかポトフにアレンジすることもそれほど難しくないです。日本人に新しい味噌汁を提案していきたいと思っていますから。個人的に毎朝味噌汁を飲んでるけど、残り物だろうがなんだろうが、色々入れています。味噌は人それぞれ好みがあるから「これが一番」とは言えないんですけど、具材は本当になんでも良いと思います。飽きないと思いますしね。それに日本はお米もすごく美味しいし、あとは漬物くらいあれば十分だと僕は思います。ダメですか(笑)?

 

ーーいや、ダメではないんですけど、目からウロコというか、味噌汁をそのように考えたことがなかったので意外でした。

エドワード だけど、MISOJYUで出しているような味噌汁は、家で作っても十分美味しいはずですよ。是非やっていただきたいです。

↑MISOJYUで食べられるスペシャルセット。スペシャル味噌汁、1380円(税別)。写真は「ごろごろ野菜と角煮のすんごいとん汁」+おにぎり1個+煮卵ハーフ+お新香+サイド2品

 

↑スペシャルセットについてくるお新香+サイド2品。取材時のサイド2品は、大山鶏のグリルと冷奴でした

 

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