健康需要がますます高まる昨今。食品分野では以前から乳酸菌が注目され、多くのメーカーから乳酸菌商品が発売されていますが、今回取り上げるのはその最新トピック。キリンホールディングスの「iMUSE」が、免疫機能をうたう機能性表示商品として初めて消費者庁に受理され、装い新たに新発売されることとなりました。背景や受理への経緯とともに、発売される商品情報をお伝えしていきましょう。
免疫表示食品がなかった理由はハードルの高さにある
機能性表示商品とは、トクホで有名な「特定保健用食品」と並ぶ、「保健機能食品」カテゴリーのひとつ。原則として食品は機能を訴求することができませんが、様々な研究結果や科学的根拠などを提出し、受理されることで保健機能食品として発売することができます。ただ、やはり受理へのハードルは高く、審査期間に数年かかることも珍しくありません。
今回の「iMUSE」の最大のポイントは、“免疫”機能表示食品の第一号となったことですが、免疫はほかの保健機能よりも表示が難しいとされていたそう。なぜなら、免疫は脂肪や血糖値のように食が原因となる機能だけでなく、医療や医薬品に深く関わる機能として扱われるからです。
また、たとえば脂肪の吸収は体重との関係性が強いですが、免疫はそういった関係性が多岐にわたる機能なので、特定の科学的根拠を示すことが難しいのです。こういったハードルの高さが、これまで免疫表示の食品がなかった理由でした。
どのバロメーターを測れば、体調が維持されることがわかるのか――そんな客観指標と主観指標の関係性をクリアにしたのが「プラズマ乳酸菌」です。プラズマ乳酸菌、は「pDC(プラズマサイトイド樹状細胞)」に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告された乳酸菌。免疫細胞の司令塔の役割を果たす「pDC」を活性化させ、外敵に対する対抗を作る「B細胞」などの数々の細胞も活性化させるのです。
11月から6つの「iMUSE」が装い新たに発売
改めて発売される「iMUSE」商品は6つ。まずはキリンホールディングスから発売されるサプリメントから紹介します。
「キリン iMUSE professional プラズマ乳酸菌サプリメント」は、医療関係者をはじめとした専門家のアドバイスから生まれた、毎日続けやすいヨーグルト風味の、水なしで噛んで食べるチュアブルタブレット。11月上旬から、全国の調剤薬局など医療機関で販売されます。
「キリン iMUSE プラズマ乳酸菌 サプリメント」は、プラズマ乳酸菌とオリゴ糖を配合。水と一緒に飲む小粒タイプのサプリメントです。60粒入りは11月11日から、28粒入り(7日分/税抜905円)もあり、こちらは11月24日から発売。
「iMUSE」で、よりおなじみの商品はペットボトル入りのドリンクでしょう。こちらはキリンビバレッジから。「健康な人の免疫機能の維持をサポート」と分かりやすく表現したパッケージで、11月24日から発売されます。
2020年は新型コロナの影響もあり、Googleワードにおける「免疫」の検索数は対前年比(4月)で4倍強となるなど興味関心が高まっているとか。これに伴い、近年は横ばいだった乳酸菌市場も伸長していて、「iMUSE」の飲料売上も1〜8月累計で2倍以上増加しているそうです。
2019年最大のヒット食品といえばタピオカですが、二大ブランドのひとつ「春水堂」は今夏腸活ティーを発売し、もうひとつの「ゴンチャ」は果実発酵のビネガードリンクを発売。ドリンクだけを見ても、乳酸菌や健康トレンドはさらに高まっています。その小売商品の一大ブランドが「iMUSE」といえるでしょう。今回の免疫表示がトレンドにどう影響するのか、注目していきたいと思います。
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