グルメ
2016/7/26 17:40

また1歩ウナギに近づいた! 「近大ナマズ」は土曜の丑の日の救世主となれるか?

数年前、“世界で初めてクロマグロの完全養殖に成功した”と話題になった「近大マグロ」をご存知でしょうか。近大というのは近畿大学のことで、いまや受験者数は3年連続日本一。クロマグロは、同大の水産研究所による快挙でしたが、いま話題となっているのがウナギ味の「近大ナマズ」です。クロマグロと同じく、世界的に枯渇の危機にあるウナギを救う存在になるのでしょうか。土用の丑の日を目前にして行われた、試食会のレポートとともにお伝えしていきましょう!

 

水とエサにこだわって格段に美味しくなった!

ニュースでも度々取り上げられますが、ウナギはいま世界的に枯渇した状態。そのため、もともと高価だったうな重やうな丼は、さらに値上げ傾向にあります。

 

20160726-a06 (12)

 

ただ、日本人にとってウナギは伝統食。しかも土用の丑の日にウナギを食べることは、古くからの食習慣のひとつです。そこで近大は、日本産のマナマズに注目。種苗生産技術が確立されているため完全養殖が可能で、ウナギのような資源的問題がないナマズを、ウナギのようにおいしく食べるための研究を2009年からはじめたのです。

20160726-a06 (13)

 

研究と開発で注力したのは水とエサのふたつ。確かにナマズはその見た目から「泥臭さそう」「ヌルっとしてそう」というイメージがあります。しかし、養殖場の清らかな井戸水で育て、複数の飼料を独自の配合でブレンドしたエサを使うことで、泥臭さを抑えつつ脂ののりや皮のやわらかさを進化させることに成功したのです。

 ↑開発にあたった「近大世界経済研究所」の有路昌彦教授。「海外ではウナギよりもナマズのほうがポピュラーな食べ物。しかも、養殖魚の中で世界で3番目に消費されています。フライやソテーにも適しており、アメリカ、アジア、アフリカでは日常的。食べないのは日本くらいですね」と力説
↑開発にあたった「近大世界経済研究所」の有路昌彦教授。「海外ではウナギよりもナマズのほうがポピュラーな食べ物。しかも、養殖魚の中で世界で3番目に消費されています。フライやソテーにも適しており、アメリカ、アジア、アフリカでは日常的。食べないのは日本くらいですね」と力説

 

そんな近大ナマズですが、お披露目してからまだ2年目。昨年はいま以上に供給量が少なく、食べられた人はごくわずかだったとか。でもそのなかでアンケートを実施し、好印象となる結果を得られたそうです。

20160726-a06 (15)

 

しかも、今年はそのおいしさをさらにブラッシュアップ。これまで「もう限界!」とされていた脂ののり(脂質)を、12.9%から15.1%へと増加させることに成功しました。国産の養殖ウナギの脂質が平均19.7gなので、射程圏内まで近づいたといえるでしょう。

20160726-a06 (5)

 

“マズ”は食べてみるべし!

開発の背景からこれまでの経緯など、データに基づく様々なうんちくを述べてきましたが、やはり食べてみないと味の詳細やおいしさはわかりません。ということで、いざ試食してみました。なお調理に関しては、実際に商品として提供する銀座・コリドー通りにある近大のオフィシャルレストラン「近畿大学水産研究所 銀座店」のシェフたちが担当。

20160726-a06 (6)

 

味付けは、素材の特性を最大限に生かしたタレによる蒲焼き。外側はパリっと香ばしく、なかはふんわりとした食感ですね。うなぎの専門店ではないにしろ、きわめて丁寧に調理されていることがわかります。

↑ランチで提供される「近大発ナマズ重」(2200円)。一食に使用される大きさは、個体差があるものの175g前後とのこと
↑ランチで提供される「近大発ナマズ重」(2200円)。一食に使用される大きさは、個体差があるものの175g前後とのこと

 

そして、脂ののり具合やうまみに関しては想像していたよりさっぱりした印象。でも身の分厚さは十分で、素材の味そのものは抜群においしかったです。本物のウナギと食べ比べてしまうと区別できてしまうかもしれませんが、再現度はかなり高いといえるでしょう。

 ↑ディナーで提供される「近大発ナマズ蒲焼」(2000円)。身のサイズはランチと同等です
↑ディナーで提供される「近大発ナマズ蒲焼」(2000円)。身のサイズはランチと同等です

 

ちなみに「近畿大学水産研究所」は銀座店のほか大阪店にもありますが、銀座は蒸してから焼く関東風。一方、大阪は蒸さずに香ばしく焼き上げる関西風で提供するとのこと。提供されるのは、土用の丑の日にあたる7月30日限定で、各店昼夜限定50食のみ。

 

↑近畿大学水産研究所 銀座店の入口
↑近畿大学水産研究所 銀座店の入口

 

ウナギ味が話題となって“うなぎ”のぼりの注目度!

ただ50食限定というのは、あまりにも競争率が高すぎです。そこで、ほかにも近大ナマズを食べられる情報をつきとめたのでお教えしましょう。なんと、北海道と沖縄を除く全国の「イオン」と「イオンスタイル」計121店舗から、7月30日限定で「近大発なまずの蒲焼」が発売されます。

↑半身1枚で1598円。各店25~30枚程度の数量限定販売
↑半身1枚で1598円。各店25~30枚程度の数量限定販売

 

また、イトーヨーカドーや一部のデパートでも販売予定。さらには、大手牛丼チェーンから商品化の打診が来ているようで、味をウナギに似せたこともあってうなぎのぼりの注目度です!

↑近畿大学広報部の土山真佑実さん
↑近畿大学広報部の土山真佑実さん

 

いまはまだ生産量が少ないため輸送などにコストがかかるようですが、量産体制が整えばもっと安く提供できるとのこと! 近大としても夢はワンコインの「ナマズ丼」実現とのことで、これからも大いに期待したいですね。

 

【URL】

近畿大学水産研究所 http://kindaifish.com/