ローヌ 〜地中海へとつながるローヌ河流域のワイン産地〜
ヨーロッパでは、古くからのブドウ畑の多くは、川沿いに位置してきました。ボルドーにおけるジロンド河、ドイツのライン河、そしてヨーロッパを横断するドナウ。これは流通のほか、水面の照り返しや水はけといったさまざまな面で人々の営み、ブドウの生育をサポートする役割を担ってきたことに起因します。
ロワール河とローヌ河というフランスの二大河川は、それぞれ銘醸ワインを育んできましたが、前者の多くは白ワイン、後者のほとんどは赤ワインと、性格のまったく違う兄弟のような存在です。一般的には、ローヌ河流域はエルミタージュを中心とした北ローヌと、シャトーヌフ・デュ・パプを中心とした南ローヌに分けられます。
ここでは、生産量の大半を占める南ローヌのワインをご紹介しようと思います。おそらく日本においても、ワインショップやスーパーマーケットに並ぶローヌワインの大半が、“Cote du Rhone”と印字されたボトルではないかと思うのです。これは、南ローヌの幅広いエリアで栽培されるブドウから造られるワインに与えられる原産地呼称ですが、ボルドー全域に匹敵する量が生産されており、高いアルコール度数、渋みよりも濃密な果実感のあるグルナッシュに、シラーやムールヴェードルなどがブレンドされます。著名な生産者のもので群を抜いた高品質なものもありますし、好みによってはしまうのですが個人的には広域アペラシオンということで、低価格帯ワインが多い割にハズレの少ないワインのように感じています。
南ローヌの街アヴィニヨンには、教皇庁があった歴史があり、14世紀に建てられた宮殿はユネスコの世界遺産に登録され、その美しいゴシック様式の圧倒的なスケール感を現在に至るまで残しています。そしてアヴィニヨンから北に10数km、ローヌ河の東に位置するのが、この地域のワインの中心部であり、教皇の夏の宮殿のあった丘、シャトーヌフ・デュ・パプです。南ローヌではこのシャトー・ヌフ・デュ・パプを中心に、周囲に衛星的に村の名前を原産地呼称として許された、ジゴンダスやヴァケイラス、コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュがあり、前述のコート・デュ・ローヌと上位階層の位置づけでワインが表現されています。ほかの産地よりも、コート・デュ・ローヌ、特にコート・デュ・ローヌ・ヴィラージュといった比較的手に取りやすいワインにも魅力的なワインがあるのがこの産地の特徴です。
Domaine Marie & François Giraud(ドメーヌ・マリー&フランソワ・ジロー)
「Chateauneuf du Pape Tradition 2014(シャトーヌフ・デュ・パプ・トラディション 2014)」
7500円
輸入元=ヴァンクロス
最後に、「ラングドック」について解説します。