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2021/2/2 19:00

伝説のコーンポタージュ味仕掛け人に聞いた! 「ガリガリ君」40年の歴史

1981年の誕生以来、日本のアイス市場を席巻し続け、現在では年間4億本の販売を突破したアイス「ガリガリ君」。今ではほとんどのスーパー・コンビニで見かける身近なアイスですが、開発当初は並々ならぬ努力があり、販売以降も度重なるターニングポイントがあったようです。

 

40周年を迎える今年、あらためてその変遷を辿るべく販売元の赤城乳業に取材を依頼。応じてくれたのは赤城乳業開発マーケティング本部マーケティング部係長の岡本秀幸さん。

 

2012年にガリガリ君・リッチシリーズの一つとして登場した異色フレーバー、コーンポタージュ味の仕掛け人でもある岡本さんに、ガリガリ君の歴史を聞いてみました。

↑赤城乳業開発マーケティング本部マーケティング部係長、岡本秀幸さん。以前、新商品開発チームに属していた際に、異色フレーバー、コーンポタージュ味を開発。ヒット以前、社内では「あいつ何やってんだ」「変な奴」と思われるフシがあったとか

 

青空の下で、子どもたちが遊びながら食べられるものを

ーー今から40年前の1981年に誕生した「ガリガリ君」の歴史をお聞かせください。

 

岡本秀幸さん(以下、岡本) ガリガリ君の前身商品に、「赤城しぐれ」というものがありました。いわゆるカップ式のかき氷商品で当時の弊社の主力商品だったと聞いています。

 

ただ、オイルショックの際、各アイスメーカーが値上げするだろうという憶測があり、30円だった赤城しぐれを50円に値上げをしたんです。しかし、実際に値上げしたのは弊社だけで他社さんのほとんどが値上げをせず、そのせいで赤城しぐれの売り上げは大きく落ち込んでしまいました。

↑ガリガリ君の前身、赤城しぐれシリーズ。現在も販売されています

 

岡本 主力商品の売り上げが落ち込んだことで、会社自体もちょっと傾きかけたそうなのですが、そんな中、起死回生を図って開発をしたのがガリガリ君でした。

 

赤城しぐれをワンハンドに転じ、バーアイスにすることで、青空の下で、子どもたちが遊びながら食べられるものを目指したようですが、開発をスタートさせた1980年当初は、かき氷をただ型に流し込んで固めただけだったようです。これは氷が崩れやすい、溶けやすい、中のスティックから抜けやすいという問題がありました。

 

これをクリアさせるために新開発となったのが、外側にアイスキャンディーを巻き、内側のかき氷部分を覆うという2層構造です。このことで、前述の問題が解決し、1981年にガリガリ君として誕生したという経緯です。

 

ーー今ではかき氷アイスの代名詞的でもある「ガリガリ君」という商品名ですが、どのようにして決まったのですか?

 

岡本 ご想像通り、食べるときの「ガリガリ」という音をイメージしたものです。しかし、「単に『ガリガリ』だけだと寂しい」という意見が出て、当時の専務(現会長)が、「君付けにしてみてはどうか」と言い満場一致で決まりました。

 

当初はキャラクターの設定は考えていなかったようですが、「君」がついたことで「キャラクターも必要だ」となり、前述のコンセプト「青空の下で、子どもたちが遊びながら食べられる」に合わせて、ガキ大将をイメージしたキャラクターが同時に誕生したようです。

↑ガリガリ君・コーラ(1981年)に見る初代ガリガリ君。当たりバーを引いて喜ぶ様子が描かれています

 

【歴代のパッケージをギャラリー形式で紹介【その1】(画像をタップすると詳細が表示されます)】

 

ーー発売当初のキャラクターは、ものすごい焦っているような絵ですね(笑)。

 

岡本 当初のキャラクターは社内で絵が得意な社員が描いたそうなのですが、たしかに歯茎が出ていたり、汗をかいたりしていますね。このキャラクターはマイナーチェンジをしながら1999年まで続くことになりますが、お客さまからあまり良いイメージを持たれていない調査結果が出まして、2000年にキャラクターデザインを一新しました。合わせてテレビCMも実施して、現在のキャラクターが定着し、現在に至っています。

↑ガリガリ君・オレンジ(2000年)に見るガリガリ君。大幅リニューアルに合わせた3Dを用いて描かれたガリガリ君。以降、40周年を迎える今年まで、このガリガリ君が踏襲されることに

 

岡本 1981年の誕生から始まり、2000年にはシリーズ年間1億本を販売し、2012年から現在まで年間4億本を超えていることを考えると、キャラクターを変えたことの効果も強くあったのではないかと思います。

↑ガリガリ君・レモンスカッシュ(2021年)。シリーズ累計4億本を超えたのは味、フレーバーの楽しさだけでなくキャラクターによるところも大きかったそうです

 

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