グルメ
2016/10/12 18:41

中華料理屋に「一番」が多いナゾを追え! 取材の結果、町中華の「いま」が見えてきた

一番、二番、三番、五十番……。なぜか中華料理店には、店名に「番」を付けた店が多い。これらの店を便宜上「番付中華」と称し、それらの店を巡って実際に食べ続けることを趣味とする人がいる。35歳独身・職業不詳のSさんだ。「番付中華」には、いったどれほどのバリエーションがあるのか、そして、「番付中華」とは何なのか? Sさんに話をうかがい、その背景を探っていこう。

 

【ガイドするのはこの人!】

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Sさん

35歳独身・職業不詳。47都道府県の蔵元の日本酒を飲むことに凝り始めたが、沖縄には蔵元がないと誤解して挫折。以来、違う趣味を持とうと、3年半にわたって「番付中華」巡りを行う。現在では、さらに首都名のついた飲食店巡りを行う日々を送る。

 

番付中華屋は「一番」が一番多い

――もともと、Sさんが「番付中華」に興味を持り、撮影・実食を始めたきっかけは何だったのですか?

 

Sさん 最初はたまたま住んでいた街に「中華十番」という店があってよく夕食を食べていたんです。でも、家に帰る頃には「中華十番」がもう閉店時間になっていることもあって。だから、飲みに行った街で食事をしようと思ったら、たまたま十条の駅前に、「中華一番」という店があって奇遇だなぁと。

 

――十番を避けたら、一番で食事することになった(笑)。

 

Sさん そういうことで、「他にも番号のついた中華料理店があるんじゃないか」と思って、探すようになったんです。

 

――番付中華はすごく多いですけど、ルーツは何なのでしょうか?

 

Sさん 全然わからないんです。調べたんですけど、全然わからない。

 

――あ、全然わからないんですね……。極めて残念です……(期待して読んでくださった方、申し訳ございません!)。以降では、気を取り直してSさんが見つけたお店を紹介してもらいましょう。さて、番付中華の中で、一番多いものは何でしょうか?

 

Sさん 自分の経験として言えることはやっぱり「一番」が一番多い。ネットで調べる限りでも、やっぱり「一番」が多いですね。それと番付中華の傾向として、やはりご夫婦でやっていたり、年配の方がやっていたりするお店が多いんです。最初にビールと餃子を頼んで、最後にラーメンや炒飯を頼むという、いわゆる町中華ですね。ただ、ここ数年は、こういった町中華はどんどん閉店していっています。

 

目視だけでなく実食するのがポリシー

――今はラーメンといえば、専門店が注目を浴びがちで、昔ながらの「町中華」は、あまり注目されないですね。

 

Sさん とんねるずの番組の「きたな美味い店」企画で紹介されるくらいですよね。ただ、自分は単に「番」の言葉が気になって始めているから、実は味や雰囲気は関係なくて。もちろん、おいしいに越したことはないんですが。さらに言えば、これはただの趣味だから、自分の仕事にはまったく役に立ってないし、仕事に反映させようという気持ちもないんです。

 

――Sさんは写真を撮るだけでなく、番付の中華さんに行った際は、必ず目視だけでなく、お店に入り実食することもご自身に課しているそうですが。

 

Sさん これはポリシーですね。やっぱりただコンプリートするためだけの写真では面白くないし、それだと他の人にも出来てしまうので。ちゃんと食べることによって、「自分しかその店を知り得ないんだ」という特別感が生まれるので。

 

――わかるような、わからないような(笑)。ただ、ネットで調べるだけと違ってリアリティはありますね。

 

Sさん 自分だけのコレクションをしたいという思いだけで、最初のルールはそうやって決めたんです。

 

「四番」の中華屋はやはりなかった

――ではさっそくですが、Sさんが撮影・実食された番付中華を、数字の若い順から紹介してください。

 

Sさん まず、「中華一番」。これはさっき言った十条にあったお店ですね。店内は狭くて、造花っぽい装飾が店内にあったりして。昔からの常連さんで成り立っているようなお店でした。炒飯もパラパラしていなくて、しっとりしているという。でも、飲んだあとだったので、そっちのほうがおいしく感じるんですよね。町中華の典型といったお店でしたが、残念なことに最近閉店しました。

↑撮影環境の都合で読みにくいが、確かに「一番」の文字が
↑読みにくいが、入口の看板には確かに「一番」の文字が

 

――そして、「二番」。

 

Sさん これは巣鴨にあったお店ですね。町中華ではあるんですけど、ちょっと本場っぽいメニュー構成なんですよ。実際、自分が食べたのも本格的な印象の担々麺で、おいしかった。でも、この店ももうないんです。ビルごとなくなってしまいました。

↑歴史を感じさせながらも、清潔な印象の「二番」
↑歴史を感じさせながらも、清潔な印象の「二番」

 

――続いて、「三番」。「うちは銅メダルでいいんだ」という、日本人的な控えめな感じがしますね。

 

Sさん ということなんですかね? でも、確かに番付中華屋さんの中では、「一番」の次に多いのが「三番」なんです。この「三番」は、阿佐ヶ谷駅の北口を出て、飲み屋街を入ったところのお店ですね。このお店もいわゆる普通の町中華でした。

↑「昔ながらの町中華」を体現するかのような「三番」
↑「昔ながらの町中華」を体現するかのような「三番」

 

――次は「四番」ですか?

 

Sさん いや、「四番」の名のつく店は自分もいまだに見たことがなくて、欠番ですね。

 

――マンションやホテルの階数のようですね(笑)。

 

Sさん そうなんです。「四」は「死」を連想させるから縁起が悪い、というごく普通の理由なんでしょうけど。次の「五番」も、実は非常に珍しいんです。これは荒川区と北区のちょうど間にある尾久駅の近くにあるお店ですね。本当に昔からやっていて、地元の人たちで賑わっているお店でした。出汁が薄めで、醤油自体の味が前面に出たラーメンでした。

↑質素な印象だが、冬場には特に体を暖めてくれそうな「五番」
↑質素な印象だが、店頭の黄色い看板に温もりを感じる「五番」

 

――続いて、「中華六番」。これもあまり見かけませんね……。

 

Sさん 「中華六番」は確かに少ないんですけど、いろいろと調べたあげく、新小岩にあると知って行ってみました。ここは中華に居酒屋の要素を加えたイメージで、おひたしもあれば、アジフライもありました。やはり地元の常連さんたちで賑わっていましたね。

↑番付的には控えめだが、太いゴシック体で店名を主張する「中華六番」
↑番付的には控えめだが、太いゴシック体で店名を主張する「中華六番」

 

次回もSさんの案内のもと、たくさんの「番付中華」を紹介する予定。お楽しみに!

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