90秒で作られたとは思えないリアルなおいしさ
発表会では試食体験もでき、そのなかから「九州 Tonkotsu」を味わってみました。麺は福岡・博多系を彷彿(ほうふつ)とさせる、加水率低めの細ストレートタイプ。スープも博多系のクリーミーで、パワフルなうまみがありながらくさみはない万人向けの豚骨白湯です。
イメージとしては、スーパーなどで売っている冷凍ラーメンを家で調理したかのような、できたての味わい。90秒で作られたとは思えないリアル感があり、そのクオリティは想像以上でした。
会場にはその他のラーメンも展示されていました。それぞれを比較してみると、スープはもちろん麺の形状やトッピングも各ラーメンの味わいに沿ったものが採用されていて、こだわりや実力の高さがうかがえます。
登壇者のなかには、ラーメン業界のカリスマである河原成美氏の姿も。河原氏は「一風堂」の創業者であり、同店運営の株式会社力の源ホールディングス代表取締役社長です。「一風堂」のラーメンは近日中に「ヨーカイエクスプレス」での商品化が決定しており、しかも日本における「ヨーカイエクスプレス」全体の味づくりにも関わっていくと言います。
「まずは『一風堂博多豚骨ラーメン』と『IPPUDO プラントベース(豚骨風)ラーメン』を商品化しました。ただ、ヨーカイさんとはほかのメニューもブラッシュアップしていきたいよねという話で、『一風堂』の名前は出ませんが当社がプロデュースをしていく方向で進んでいます」(河原氏)
プロデュースをしていくとはいえ、まだその話は動き出したばかり。「ヨーカイエクスプレス」のレギュラーメニューがリニューアルするのは、もう少し先だと河原氏は教えてくれました。
「ヨーカイさんが日本で提供しているメニューは、アメリカで出している味とは違い日本独自に作ったラーメンだと聞いています。麺やスープなども独自で調達、開発したものだと思いますが、今後は素材も含めてできるだけ当社が担い、いっそうおいしいラーメンを提供できるようにしたいですね」(河原氏)
「一風堂博多豚骨ラーメン」と「IPPUDO プラントベース(豚骨風)ラーメン」は、早くて今年の6月上旬の提供を予定していると河原氏。期待したいところですが、もう一点筆者が強く気になったのが、なぜ90秒という速さで提供できるのかということ。こちらは当日の登壇者のひとりだった、ソフトバンクロボティクス株式会社の柴田暁穂氏(エンジニアリング面からサポートを担当)に話を聞きました。
「90秒というスピードは、筐体内のクッキングテクノロジーはもちろん、冷凍の仕組み、容器の素材など、いくつかの組み合わせで実現されています。例えば調理には、電子レンジで用いられるようなマイクロ波ではなく、高度なスチーム調理を採用。また、ベースとなる料理の仕込みや冷凍方法も特別な手法で行われています」(柴田氏)
柴田氏は、「ヨーカイエクスプレス」の日本進出は国内スタートアップにもいい刺激になるはずと言います。事実、日本のフードテック事業者は盛り上がっていてテクノロジーもハイスピードで進化中。日本オリジナルの次世代自販機も、いつか登場するのではないかと期待を語ってくれました。
発表会のなかでは、高級フレンチの提供も実現可能という話題も出た「ヨーカイエクスプレス」。日本では今後5年で5000台の展開を目指すとのことで、これからも目が離せません!
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