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2022/10/23 11:15

国内クラフトジンの先駆け「季の美」とは?蒸溜所がある京都はバーシーンも盛り上がっていた

いま、ウイスキーと並んでアツい蒸溜酒といえばジンが挙げられます。なかでも昨今は、小規模の蒸溜所でつくられるクラフトジンが世界的に人気。その日本におけるパイオニアが「季の美 京都ドライジン」です。

 

↑「季の美 京都ドライジン」。700mlボトルで参考小売価格5500円

 

本稿では生産現場の京都を訪れ、蒸溜所やブランドストア、有名バーにおける取材を通して「季の美」の原材料や味わいなどの魅力をお伝えします。

 

クラフトジンが盛り上がっている理由

ジンをとりまくシーンがここまで盛り上がっている理由のひとつが自由度の高さ。熟成を必要とせず、国や地域にしばられることもないうえ、果実、スパイス、ハーブといった様々なボタニカルを使って多様な味わいを生み出せるお酒がジンというわけです。

 

特に大きなポイントは、ボタニカルが自由であるため、その土地ならではの恵みを生かせること。日本であれば和山椒やゆずなど。そして京都といえばお茶。「季の美」もそういった地元のボタニカルを積極的に使い、京都らしい優美な味わいに仕上げていることが特徴です。

↑ジンに欠かせないスパイス、ジュニパーベリー(右下)はマケドニア産ですが、ゆず(左上)、山椒(左下)、玉露(右上)は日本の京都産を使用

 

というわけでまずは、普段見学を受け付けていない生産拠点の京都蒸溜所へ。こちらは2014年、歴史ある京都のクラフトマンシップに感銘を受けて設立されました。場所は京都駅から南西に車で10分強の、京都市南区にあります。当初はもっと駅の近くに建てたかったそうですが蒸溜所は前例がなく、また高濃度のアルコールを扱う施設ということもあって行政の許可が下りず、いまの場所に建てられました。

↑現在のヘッドディスティラー・プロダクト マネージャーのリアム モリッシーさん。アイルランド出身で、以前はウイスキーの蒸溜に携わっていました

 

また酒づくりにかかせない水は、京都・伏見の銘酒「月の桂」で知られる増田徳兵衛商店のやわらかな仕込み水を使用。そして「季の美」といえば、ベースにライススピリッツを用いていることが大きな特徴です。

↑京都蒸溜所の心臓部といえる場所。ドイツ、クリスチャン・カール社製の精巧なポットスチル(単式蒸溜機)が2基並んでいます

 

ライススピリッツとは読んで字のごとく、お米由来のスピリッツ。多くのジン(ラムなども)はサトウキビやてんさいエキスの副産物である糖蜜「モラセス」をベースのスピリッツとしますが、「季の美」では比較的高価なライススピリッツを用いることで、ほのかに甘くまろやかな味わいを芯にもっています。

 

そしてボタニカルは、前述の素材を含む計11種を採用。これらは60種以上にも及ぶなかから評価し、最もふさわしいものとして厳選されたボタニカルです。

 

では11種のボタニカルは、それぞれどんな香味特徴をもっているのでしょうか。より具体的にその魅力を知るべく、次に訪れたのが「季の美House」。京都市内の中心エリア・河原町に2020年開業した施設で、「季の美」のセミナーなども開催されているブランドストアです。

↑「季の美House」。築100年以上の町家をリノベーションした2階建ての施設となっています

 

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