和食は出汁(だし)をとったりと準備が大変そうだし、味つけも繊細でむずかしそう……と感じるでしょうか? そもそも和食は、日本古来の日常食。気負わず、「ごはん」と「汁物」のシンプルな組み合わせで楽しむ、一汁一飯(いちじゅういっぱん)の魅力を見直してみましょう。
恵比寿で日本料理店「賛否両論」を営む、料理人の笠原将弘さんが提案する一汁一飯のレシピ『汁とめし』は、冷蔵庫の残り物など身近な食材で簡単につくれて、しかもおいしいと話題。今回は、笠原さん直伝の『汁とめし』レシピ3種を短期集中連載でお届けします。
最終回は、サッと炒めるだけの一品豪華主義、旨みと酸味のバランスがクセになる「たこしば漬け焼きめし」を解説いただきます。
たこの旨みと漬物の酸味が絶妙
「たこしば漬け焼きめし」のつくり方
しば漬けのチャーハンやたこめしからインスピレーションを得て考案されたレシピ。
「いままでの料理人としての経験や勘から、この組み合わせはおいしいだろうな」と、つくる前からピンときていたそう。
かむほどに口に広がるたこの旨みと、しば漬けのさっぱりとした酸味で、いくらでも箸が進みます。たこは炊き込むと固くなりがちなので、チャーハンのようにサッと炒めるのがおいしくできるコツだとか。
【材料(2人分)】
・あたたかいごはん……500g
・卵……2個
・ゆでだこの足……1本
・しば漬け……50g
・ねぎのみじん切り……1/4本分
・サラダ油……大さじ2
・塩、こしょう……各少々
・青じそのせん切り……5枚分
【作り方】
1.たこは薄切りにして一口大に切り、しば漬けはみじん切りにする。卵はときほぐす。
2.フライパンにサラダ油を中火で熱し、とき卵を流し入れて広げる。半熟のうちにごはんをのせ、へらで卵をからめながら細かく切るようにしてほぐして焼く。
3.たこ、しば漬けを加えて炒め合わせ、塩、こしょうを加えてさっとまぜる。ねぎを加えてさっといため合わせ、器に盛って青じそを散らす。
以上の「たこしば漬け焼きめし」レシピのベースとなるのが、卵とねぎと温かいごはんでつくる焼きめしです。笠原将弘さん著『汁とめし』には、ベースの焼きめしのつくり方や具をプラスしてアレンジを加えた焼きめしレシピがたくさん。そのほか、汁物レシピはもちろん、出汁の取り方やお米のおいしい炊き方も分かりやすく載っているので、ぜひチェックしてみてください。
笠原将弘『和食屋が教える、旨すぎる一汁一飯 汁とめし』(主婦の友社)
冷蔵庫の残り物で作れ、シンプルなのに満足できる___頑張らないでもしみじみとおいしい、笠原流・究極2品献立という提案の書。予約の取れない日本料理店「賛否両論」店主が、いま提案する献立こそ「汁とめし」なのです。食材の組み合わせや作りやすさを極めた、汁物とごはん物の厳選レシピ、計84品を収録。
Profile
料理人 / 笠原将弘
1972年、東京都生まれ。高校卒業後「正月屋吉兆」で9年間修業したのち、父の死をきっかけに武蔵小山にある実家の焼き鳥店「とり将」を継ぐ。2004年、東京・恵比寿に「賛否両論」をオープンし、予約のとれない人気店として話題になる。2013年には名古屋に直営店をオープン。テレビ番組のレギュラー出演をはじめ、雑誌連載、料理教室など幅広く活躍する。2023年6月にはYouTubeチャンネル『【賛否両論】笠原将弘の料理のほそ道』を開設。流暢な語り口で調理のコツを惜しみなく解説し、チャンネル登録者数は56万人超。
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