「週刊GetNavi」Vol.52-4
Nintendo Switch最大の特徴は「Joy-Con」と名付けられたコントローラーだ。取り外しが可能で、据え置き型として使う時も、持ち運んで使う時も使える。モーションセンサー内蔵で、Wiiのように「振って」操作することもできる。任天堂がコントローラーを軸にするのは、現在の家庭用ゲーム機およびゲーム向けPCの市場が「コントローラー」を差別化要因として成功してきたことと、無関係ではない。
2013年以前、家庭用ゲーム機のビジネスは「もうすぐなくなるもの」と思われていた。スマートフォンに皆巻き取られ、ゲーム専用機の市場は成立しない、と思われていたからだ。だが結果的に、そうはならなかった。日本ではスマートフォン向けの方が活況だが、海外に目をやると、PlayStation 4が大ヒットしている。そこでポイントになったのが、「スマホではできない本格的なゲームを、使い慣れたコントローラーでできる」ことだった。当たり前のように思えるが、そのくらい、コントローラーによる正確さと即応性が生み出す快感が、ゲームには重要な要素だった、ということである。
任天堂は、最初のファミコンからWii、ゲームボーイまで、「サイズやコストにあったコントローラー」を標準で用意し、それが支持される形で成功してきた。Nintendo Switchの開発のなかで自らの足元を見直し、改めてコントローラーに軸足を置いたのだ。
そんななかで、筆者が「Nintendo Switchならでは」の要素として評価したいのが、2人プレイが容易なことである。Joy-Conは2つセットにし、本体の左右につけて使うのが基本だが、片方だけでもコントローラーになる。小さくなってしまうものの、片方を人に渡すことで、簡単に2人プレイが楽しめるのだ。
任天堂はファミコンの時代から、2人プレイが簡単に楽しめることを重視してきた。「家庭」という要素を考えると、一緒に楽しめる、という機能はやはり重要だろう。これがヒットの軸になる……とは筆者考えていない。しかし、Joy-Conの仕組みやNintendo Switchの位置付けを知ってもらうには有効で、象徴的な風景になるだろう。
そうした風景が広がり、「ゲームをコントローラーで遊ぶことが面白い」という意識が再度広がることが、Nintendo Switchのヒットにはかかせない要素である。特に、任天堂は日本で強い。日本の家庭用ゲーム機市場の復権こそが、 Nintendo Switchのヒットにとって最も重要な施策と言える。
●Vol.53-1は3月24日(金)発売の「ゲットナビ」5月号に掲載予定です。