2016年3月よりスタートしているデジタルラジオ放送「Amanekチャンネル」は、デンソーが提供するカーナビ向けアプリ「NaviCon」と連携し、番組内で紹介したスポットの位置座標データをカーナビへ転送するサービスを3月3日より開始した。
Amanek チャンネルは、地上アナログテレビ放送終了後に空いたVHF-Low帯(99MHz~108MHz)を使った「V-Lowマルチメディア放送」である「i-dio」のなかのドライバー向けチャンネル。通信に流れる映像や音声などを含むあらゆるデータを送信でき、従来のラジオやテレビよりも多様な放送ができる特徴を持つ。
受信するには専用アプリをインストールしたスマホか、専用チューナーを介する2つの方法がある。専用チューナーの受信エリアは2017年2月時点で福岡・東京近郊・大阪・東海の4地域となっている。
同サービスではこれまでも様々なスポットの情報を放送してきたが、リスナーがそのスポットを訪れたいと思っても、放送された情報を元にスマホなどで検索するしか方法はなかった。新サービスでは、番組内でスポット情報を紹介するとともに、紹介したスポットの位置座標データを放送波に乗せて配信可能となり、放送で紹介されたスポットをカーナビの目的地としてダイレクトに設定することができるようになった。
これはデンソーがカーナビ向けアプリとして提供している「NaviCon」を利用するもので、受信データ一覧から紹介スポットを選び「NaviConに送る」をタップすると、それだけでカーナビ(NaviCon対応カーナビに限る)に位置座標データが転送され、目的地として簡単に設定できる。
使い方はとても簡単だ。「Amanekチャンネル」アプリ上で、受信中に表示されたクリップマークをタップして表示される番組情報内の“NaviConへ送る”をタップ。ここで位置座標データがカーナビへ送信されて自動的に目的地設定が終了する。今までのようにメニューから入っていくような面倒な操作は一切なし。これだけで番組で紹介されたスポットへ案内されるというわけだ。
番組の位置座標データは放送後であっても聞いていた「Amanekチャンネル」アプリ内に保存されているので、クルマから押した後でもスマホを通してゆっくり設定することも出来る。このサービス提供開始に合わせ、同チャンネルでは「道の駅」を紹介する番組をスタートさせ、連日美味しい名物や旬のオススメなどドライブに役立つ情報を届けていく予定だ。
また、今回のNaviCon連携に合わせてAmanekチャンネルアプリもアップデートを果たしている。iOSのコントロールセンター(Android版では通知エリア)へ対応し、クルマのハンドルスイッチやカーナビ画面での選局や音量調整ができるようになったのが最大のポイントだ。そのほか、車載機に対してはチャンネル名や曲名など放送内容の表示も可能になっている。
専用チップの開発も進んでおり、カーナビなどに内蔵されれば専用チューナーを別途用意せずに同放送が聴取できるようになる予定だ。
従来のラジオ放送を超えた新時代のデジタルラジオi-dioおよびAmanekチャンネルだが、聴取にはスマホや専用チューナーが必要だったり、チューナーで受信できるエリアが限られていたりと、現時点ではまだまだ課題も多い。しかし、放送波で多彩なデータを送れるメリットを生かせば、通信回線に依存しない災害時の情報伝達手段として活用することも可能だ。そのためにも、受信用チップが普及し、カーナビやオーディオ機器などに搭載されることが望まれる。