デジタル
2017/6/19 19:30

AIスピーカー市場は早くも戦国時代!? 中国企業が虎視眈々と狙うアマゾン「Echo」の座

アマゾンの「Echo」に代表されるAI音声アシスタント端末が今年は次々と登場している。この6月にはアップルがWWDCで「HomePod」を、また日本ではLINEが「Wave」を発表。話しかけるだけで生活をアシストしてくれるAIスピーカーは、2017年のIT業界の注目製品になろうとしている。

↑WWDCで発表されたアップル「HomePod」
↑WWDCで発表されたアップル「HomePod」

 

現時点ではアマゾンが他社を一歩も二歩もリードしているこの市場を、グーグルやアップルが追いかけ始めている。ところがお隣の中国ではすでに複数の企業がAI音声アシスタント端末を製品化、または開発中だ。6月に上海で開催されたCES ASIA 2017の会場でも、中国企業のインテリジェンスなスピーカーが多数出展されていた。今回は、CES ASIA 2017の会場で見つけたスマートスピーカーを一挙に紹介しよう。

 

デザインや機能も多種多用

「中国のアマゾン」とも言えるEC大手のジンドン(京東、JD.com)は「Dingdong」の名前でAIスピーカーをすでに販売している。Echo同様、Dingdongに語りかけることで今日の予定を確認したり、天気や交通情報を聞いたり、ストリーミングサービスの音楽を聞くことができる。またスマート家電のコントロールも可能だ。ジンドン自身がスマート家電事業を展開しており、中国国内外の家電をDingdong経由で操作できるのである。

↑ジンドンのDingdongはアマゾンEchoライクなAI音声アシスタント
↑ジンドンのDingdongはアマゾンEchoライクなAI音声アシスタント

 

実売価格は499元(約8100円)と安く、生活の中で手軽に音声アシスタントを利用できる。また家電コントロール機能などを抜いたベーシックモデルはわずか99元、約1600円と学生でも買える価格で提供される。小型なので自宅のみならず大学やアウトドアに持ち出して使うこともでき、「今週のヒット曲を聴きたい」など語り掛けるだけで操作が可能だ。ジンドンはこの低価格モデルの投入で市場を一気に拡大しようと考えている。

↑簡易モデルなど複数のバリエーションをすでに提供中
↑簡易モデルなど複数のバリエーションをすでに提供中

 

一方スタートアップ企業などもAI音声アシスタント端末市場への参入を始めている。出門問問(Chumenwenwen)は木目調でインテリアとも調和するAIスピーカー「TicHome」を開発中だ。同社はすでに中国のSNSサービスなどから利用できる音声検索アプリを提供中で、音声認識の研究に関しては他社を一歩リードしている。グーグルとの協業も行っており、グーグルアシスタントへの対応も期待できそうだ。

↑TicHomeはデザインにも力を入れたAIスピーカーを開発
↑TicHomeはデザインにも力を入れたAIスピーカーを開発

 

そして家電メーカーも今年に入ってから類似の製品を投入するようだ。ハイアールのAIスピーカーは同社のスマート家電のコントロールやWEB検索などに対応予定。CES ASIA 2017にはハイセンス(海信)、チャンホン(長虹)など中国の家電大手メーカーが出展しており、各社はスマートホーム製品を展示していた。ブースの担当者に話を聞くと、AI音声アシスタントはスマートホームのコントローラだけではなく、生活の中心になくてはならない製品になると考えており、各社とも開発を考えているとのことだった。

↑ハイアールのAIスピーカー。中国家電大手も参入を開始する
↑ハイアールのAIスピーカー。中国家電大手も参入を開始する

 

いかにもスピーカーといった形をしたこれらの製品に対し、Rokidの「Pebble」はだいぶ異なるデザインの製品だ。名前のとおり石のような形をしており、下半分がスピーカーとなっている。これも話しかけることでタクシー配車を頼んだりTVの好みの番組を放送したり、子供の勉強のアシスタントとして動作する。

↑まるで石のようなデザインのPebble
↑まるで石のようなデザインのPebble

 

またこのPebbleの上にライトを取り付けたようなスタイルの「Alien」は、ライト部分が簡易ディスプレイにもなっており、内蔵されたプロジェクターから640×480ピクセルの画面を投影できる。解像度は低いもののテキストによる天気予報や簡単な写真表示などが可能で、ライトの中に表示される様はいかにもエイリアン、といった印象だ。Pebbleは1399元(約2万2800円)と相応な価格だが、Alienは実験的な製品でもあるためか、5280元(約8万5900円)と高価な価格設定になっている。

↑Alienは上部のライト部分の内側にプロジェクターを内蔵する
↑Alienは上部のライト部分の内側にプロジェクターを内蔵する

 

検索事業の次を模索するバイドゥ

さてネット検索大手のバイドゥ(百度、Baidu)はスピーカー機能だけではなくディスプレイとカメラを取り付け、単体で情報閲覧も可能な「Little Fish」(分身魚)を出展していた。こちらは簡易ロボットともいえる製品で、音声指示に対して8インチディスプレイにニュースやWEBの検索結果などを表示できる。またカメラは利用者の顔を認識したり、ビデオ通話にも利用可能だ。

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↑カメラとディスプレイを搭載したLittle Fish

 

OSはAIアシスタント機能も持つバイドゥの「DuerOS」で、このOSは同社が取り組み中の自動運転自動車にも搭載される。バイドゥはOS開発をベースに検索の次の事業を模索しているのだ。このように中国では多種多様な企業が次々とAI音声アシスタント端末市場に参入を開始しており、いずれは中国語や英語だけではなく日本語にも対応した製品も登場し、日本で販売される時代がやってくるかもしれない。

↑バイドゥは独自OSの開発によりポスト検索事業を狙う
↑バイドゥは独自OSの開発によりポスト検索事業を狙う