デジタル
Apple
2017/7/25 18:30

いま買うなら「iPad Pro」を選ぶべきか否か――iPad選びでチェックしたい5つのポイント

この6月に、多くの人が待ち望んだ新しいiPad Proが発売されました。64bitの「A10X Fusionチップ」を搭載し、もはやちょっとしたパソコンより高性能。特に10.5インチモデルは、コンパクトかつ大画面で、起動性も抜群です。“いままでは様子を見ていたけれど、今回はかなり気になっている”という人も多いのではないでしょうか?

 

【関連記事】

iPad Proがあればこれだけできる――出張でも使えるiPad Pro実践テクニック7選

 

本記事では、「そもそもiPad Proとは」という基本から、新モデルで改良された部分まで、5つの疑問に答える形で概要を紹介します。

 

 【Q1】iPad Proのサイズはどうなっている?

まず、iPad Proの従来のラインナップを復習しておきましょう。初代iPad Pro(12.9インチ)が発売されたのは、2015年の9月のこと。その後、2016年3月によりコンパクトな9.7インチモデルが登場しました(「インチ」は画面のサイズを表す単位。数字が小さいほど、小型のタブレットであることを意味します)。

 

そして、2017年6月に10.5インチモデルが登場。代わりに9.7インチモデルが廃止されました(※“Pro”ではない無印iPadは9.7インチです)。12.9インチモデルも中身をアップデートしてリニューアルしています。

↑新しいiPad Proは10.5インチと12.9インチの2モデル
↑新しいiPad Proは10.5インチと12.9インチの2モデル

 

つまり、Apple Storeで購入できる現時点でのラインナップは12.9インチモデル、10.5インチモデルの2つ。どちらもサイズ以外の性能については、基本的には同じです。

 

【Q2】9.7→10.5インチはどのくらい大きくなったの?

9.7から10.5インチモデルへの変化を見てみましょう。下の写真で分かるように、サイズの差は微々たるもの。幅4.6mm、高さ10.5mmのみ増加しました。

↑↑3サイズのiPad Proを比較。奥から12.9型(旧)、10.5型(新)、9.7型(旧)。12.9インチモデルの外形は、A4版の雑誌より一回り大きい程度
↑↑3サイズのiPad Proを比較。奥から12.9型(旧)、10.5型(新)、9.7型(旧)。12.9インチモデルの外形は、A4版の雑誌より一回り大きい程度

 

一方で前面のデザインは結構変わりました。ベゼル(枠の部分)がスリムになったことで、ディスプレイサイズが20%大きくなっています。

↑左から9.7型(旧)、10.5型(新)
↑左から9.7型(旧)、10.5型(新)

 

つまり、9.7インチモデルのコンパクトさを維持しつつより大画面を活用できるようになったわけです。

↑10.5インチモデルでも結構画面は大きい
↑10.5インチモデルでも画面は十分大きい

 

【Q3】“Pro”だと何が良いの?

新「iPad Pro」の代表的なメリットを確認しておきましょう。iPadシリーズには「iPad(9.7インチ)」や「iPad mini 4(7.9インチ)」もありますが、以下の特徴は当てはまりません。

↑iPad Pro専用のアクセサリーがある
↑iPad Pro専用のアクセサリーがある

 

まず、専用アクセサリーである「Apple Pencil」と「SmartKeyboard」が使えることが最大の違いです。こちらの詳細は後ほど説明しましょう。

 

頭脳となるチップには、最新の「A10X Fusion+組み込み型M10コプロセッサ」を搭載。写真、動画、3Dデータなどを扱う際、グラフィックスを速く処理できます。また、第2世代の指紋センサーを搭載しているので、画面ロック解除やアプリ購入認証も素早く実行可能。

 

ディスプレイは色域が広く(P3相当)なっています。画面の書き換え速度(リフレッシュレート)も速いため、残像感が少ないことも特徴。“紙のような白色”を再現する機能(True Toneディスプレイ)もサポートします。

 

スピーカーは本体の4隅についています。向きに関わらず上部2つが高音域を、下部2つが低音域を再生する仕組み。音量も非常に大きいので、映画や楽曲を大迫力で再生できます。

↑スピーカーの音質が非常によいので、「Apple Music」を契約すれば、どこでもBGMを再生できるオーディオ機器に早変わり
↑スピーカーの音質が非常によいので、「Apple Music」を契約すれば、どこでもBGMを再生できるオーディオ機器に早変わり

 

背面にはiPhone 7と同様の1200万画素カメラを搭載。F値1.8の明るいレンズで、光学手振れ補正にも対応します。オートフォーカスの方式や動画撮影の対応画質にも差があります。

↑iPad Proシリーズの背面カメラを比較。奥から12.9型(旧)、9.7型(旧)、10.5型(新)
↑iPad Proシリーズの背面カメラを比較。奥から12.9型(旧)、9.7型(旧)、10.5型(新)

 

通信面で注目したいのは、Apple SIMを内蔵していること。簡単な手続きで、プリペイド型の通信プランを利用できます。例えば、海外渡航時に通信環境を比較的簡単に確保できます。

 

【Q4】絵が苦手でもApple Pencilは買うべき?

「Apple Pencil」はペン型のデバイスです。付け根のマグネット式キャップを外すとLightningコネクタが現れるので、これをiPad Proに装着するとペアリング可能。この状態で充電もされます。

↑「Apple Pencil」の描き心地はまるでリアルな鉛筆。Apple Pencilのサンプリングレートは240Hz。つまりiPad Proと毎秒24万回も信号をやりとりしている
↑「Apple Pencil」の描き心地はまるでリアルな鉛筆。Apple Pencilのサンプリングレートは240Hz。つまりiPad Proと毎秒24万回も信号をやりとりしている

 

精細なタッチ操作が行えるので、イラストやデジタル絵画を描くのに最適。筆圧や、ディスプレイに対する角度を感知できるので、筆の強弱や、濃淡を綺麗に反映します。先述の通り、従来のiPad Proと比べて、ディスプレイの書き換え速度(リフレッシュレート)が60Hzから120Hzへと2倍になったこともトピックです。これにより、Apple Pencilの動きがより滑らかに画面上に反映されるようになっています。

 

一方、絵が苦手な場合も、様々なシーンで活躍します。例えば、メモアプリでは、手書きのメモを作成できます。また、「Adobe Photoshop Fix」のようなアプリを使えば、写真の細かい補正が可能。メールで送られてきた資料に対し、「マークアップ」機能を使って修正指示や注釈を書き込み、そのまま返信できます。

 

Apple Pencilの価格は1万1664円。絵を描く習慣がなくてもビジネスシーンで結構役立ちます。しかもiOS 11へのアップデートでは、Apple Pencilを用いたメモ機能などが強化される予定。買っておいて損はありません。

 

ちなみに、Apple Pencilを携帯するためのアクセサリーは豊富にあるので、外出先で活用したい人も問題なく使用できます。

↑サードパーティ製のApple Pencil携帯用アクセサリーも数多く販売されている
↑サードパーティ製のApple Pencil携帯用アクセサリーも数多く販売されている

 

【Q5】「Smart Keyboard」はJIS配列とUS配列どっちがおすすめ?

「Smar Keyboard」は、iPad Pro専用のキーボードカバーのこと。キーボードとして使用する際、ペアリング設定および充電は不要。持ち運び時にはディスプレイ面のカバーになります。なお、別途背面側の保護カバーを装着すると本体全面を保護できますが、こちらは別売となっています。

 

iPad Proの側面には「Smart Connector」と呼ばれる専用端子が付いています。ここに「Smar Keyboard」の端子を接続することでキーボードが利用可能に。マグネット式なので、位置を合わせるだけでカチャっとくっつきます。

 

キーボード部分にパームレスト(掌を置く部分)は存在せず、その分奥行が狭いので、いろんな場所に置けます。もちろん膝上も大丈夫です。ただし、画面の角度は調整できないので、見やすい角度に調整できるとは限りません。

 

Smar Keyboardには、従来の「US」配列に加えて、新たに「JIS」配列が加わりました。筆者のおすすめは後者です。その理由は、英数・かな変換がスムーズに行えるから。「スペース」キーの左右に配置された「英数」「かな」キーで、ダイレクトに選択できるのがメリットです。

↑10.5インチモデル用のJIS配列Smart Keyboard。価格は1万9224円~。手前にサイズ比較用の15cm定規を置いてある
↑10.5インチモデル用のJIS配列Smart Keyboard。価格は1万9224円~。手前にサイズ比較用の15cm定規を置いてある

 

 

↑JIS配列だと「英数」「かな」キーで目的の入力方式に素早く変換できる。一方、US配列では変換キーが一つしかなく、「英数・かな(デフォルトだと+絵文字)」を交互に選択することになるので、手間がかかる
↑JIS配列だと「英数」「かな」キーで目的の入力方式に素早く変換できる。一方、US配列では変換キーが一つしかなく、「英数・かな(デフォルトだと+絵文字)」を交互に選択することになるので、手間がかかる

 

筆者は「Notability」(1200円)というアプリを使って、録音しながらテキストでメモを取っています。録音完了後にテキスト部分を指定すると、入力時に録音していた音声をピンポイントで再生できるので、インタビュー取材や議事録の作成で便利です。

 

タイピングは若干表面をパタパタと叩くような感覚になりますが、ストロークが浅いわけではなく、打鍵感は充分にあります。MacBookのキーボードなどと比べると、長時間のタイピングで手が疲れやすいと言えますが、30分程度の会議で議事録を取る程度なら問題なく使えるでしょう。

 

注意点はバックライトがないこと。暗所でタイピングする機会が多い場合には、手元が見えなくなりがちです。ロジクールからSmart Connector対応でバックライト付きのキーボードが出ているので、場合によってはこちらを検討しても良いでしょう。

 

「携帯性」か、それとも「画面サイズ」か

iPad Proの価格は10.5インチモデルが7万5384円~(Wi-Fiモデル、64GB)、12.9インチモデルが9万3744円~(Wi-Fiモデル、64GB)となります。

↑毎日持ち運ぶ前提なら10.5インチモデルがおすすめ
↑毎日持ち運ぶ前提なら10.5インチモデルがおすすめ

 

10.5型の方が大分軽いので、持ち運びには適しています。一方、電子雑誌を原寸に近いサイズで読みたいなど、大画面を重視するなら12.9型を選ぶメリットも十分あります。どんな風に使いたいのかをじっくり考えて、サイズを検討してみてください。

 

【関連記事】

iPad Proがあればこれだけできる――出張でも使えるiPad Pro実践テクニック7選