コミュニケーションロボットや掃除ロボットなど、ロボットを目にする機会が増えてきました。今、注目を集めているマシンの1つは衣服の上を動く超小型ロボット。ファッションをよりスマートにする可能性があります。
2016年からロボットの共同プロジェクトを行っている米国マサチューセッツ工科大学とスタンフォード大学の研究者チームは、この夏、新しい小型ロボットの「Kino」を発表しました。初期バージョンは衣服の上をうろうろするだけのロボットでしたが、Kinoには新機能が搭載されています。開発にはイギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートのデザイナーが協力し、デザイン性も強化。Kinoという名前は、英語の「kinetic」(動的な)に由来しているそうです。
このロボットは、まるでジュエリーが生きているかのように衣服の上を動きます。ですが、付けている位置が変わったり、ネックレスやブローチのような形に変わったり、動きながら柄を加えたり、スカーフの位置を変えたりと、見た目が次々に変化していきます。Kinoは磁気を持つ車輪で動いているようで、これまでにない動的なオシャレを楽しめます。ファッショニスタも興味を引くでしょう。
プロジェクトチームのリーダーはKinoを「身に付けられるパーソナルアシスタント」と考えており、将来的には着用者の行動や好みを記憶し、それに合わせて動けるようにしたいと考えているようです。
Kinoはファッション以外にも様々な可能性を秘めています。例えば、Kinoにはスピーカーとマイク機能が内蔵されているので、電話がかかってきた時、声を拾いやすい位置に自動的に来て通話をすることができます。
また、天気を感知するセンサーも搭載されています。今回、プロジェクトチームは専用のレインコートを作り、フードの2箇所に引き紐とKinoをつなげ、晴れたらフードを脱がしてくれるという機能を加えました(フードを被せてくれる機能が開発されるかどうかは不明です)。
どちらの機能も自分の手を使わないので、カバンで両手がふさがっている時や、自転車に乗っている時などに重宝しそうです。実用化されれば、ロボットがもっと身近な存在になりそうですね。
とはいえ、Kinoはまだ開発段階であり、現在は一度の充電でバッテリーが45分しか持ちません。そのため、ワイヤレス充電機能なども検討されているそうです。
また、現在のサイズでは大き過ぎるため、プロジェクトチームはさらに小型化をする必要があるとも考えています。確かに今のままではKinoの存在が目立ち過ぎており、日常で使うには違和感があります。実用化するには、まだまだ課題が残されているようです。
そんなKinoについて海外の人々の間では賛否両論があります。「動くジュエリーなんて最高にクールよね」「自分では使わないけれど、テクノロジーの進化を見るのは面白い」「これを付けてパーティに行ったら注目されそうだわ」と期待する声がある一方、「まったく必要のないアイテム」「身体の上を動かれるだけでも嫌なのに、胸のまわりをうろうろされるのは最悪」といった否定的な意見も書き込まれています。
また「本物のデザイナーがこのテクノロジーをどう使うのか楽しみだわ」「これが未来のファッションの形なのね」との声もあり、近い将来、Kinoがファッションショーのランウェイに登場するかもしれません。
Kinoがファッションを変える日が来るのか、今後も目が離せません。