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2017/10/4 17:00

【インタビュー】S8シリーズとの違いは? 「Galaxy Note8」にまつわる疑問を解説

サムスン電子が8月に発表した「Galaxy Note8」は、「S Pen」を本体に内蔵するほか、「Galaxy S8/S8+」と同じく、18.5:9という縦長のディスプレイを搭載する先進的なモデル。9月15日より、各国で販売が開始されていますが、日本での取り扱いについてはいまだ明らかになっていません。

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今回は、韓国にあるサムスン電子本社にて、開発者にグループインタビューする機会を得ましたので、その様子を交えつつ、改めて概要を紹介しましょう。

 

Galaxy Note8を選ぶ層はS8/S8+とは異なる

Galaxy Note8を企画する段階では、Noteシリーズのユーザー特性を研究したといいます。つまり、どんな人が、どのような機能を使っているのか、どのようなスペックを求めているのか、といったことです。

↑サムスン電子 グローバル商品企画グループ Senior Professionalのソ・ジンさんがGalaxy Note8について説明してくれた
↑サムスン電子 グローバル商品企画グループ Senior Professionalのソ・ジンさんがGalaxy Note8について説明してくれた

 

結果的に、S8/S8+と同じく、「インフィニティディスプレイ」が採用されました。スペックとしては6.3型のクアッドHD、Super AMOLEDとなります。18.5:9という比率は、横画面で映画コンテンツを視聴するのに最適ですし、ゲームアプリを遊んでも臨場感が出ます。Noteシリーズとしてはもう少し横幅があっても良い気がしますが、片手に収まるサイズに調整した結果、現在のデザインに落ち着いたそうです。

↑Note8のデザインは、S8/S8+に比べて四隅がやや角張っている。グローバルでは「ミッドナイトブラック」「ディープシーブルー」「オーキッドグレイ」「メープルゴールド」の4色を展開
↑Note8のデザインは、S8/S8+に比べて四隅がやや角張っている。グローバルでは「ミッドナイトブラック」「ディープシーブルー」「オーキッドグレイ」「メープルゴールド」の4色を展開

 

画面サイズが近いこともあり、「S8+」との住みわけが難しくなるのではという質問も上がりました。これに対してソ・ジンさんは「S8+を選ぶユーザーと、Noteのユーザーが求めるものには差があると考えている。Note8は、プロダクティビティとクリエイティビティに重点を置いている」と述べています。

 

ソ・ジンさんいわく、マルチウィンドウの利用者が多いという調査を元に、Note8では「App Pair」という新機能を追加したとこのこと。エッジディスプレイに表示されるアイコンをタップすることで、頻繁に使用するアプリのセットをマルチウィンドウで同時に起動可能。ナビゲーションと音楽再生、YouTubeとブラウジングなど、それぞれの使い方に合わせてカスタマイズできる点も特徴です。

↑量販店に展示してあるNote8で、ゲームアプリを遊んでみた
↑量販店に展示してあるNote8で、ゲームアプリを遊んでみた

 

カラーについては、通常、社内や利用者へのリサーチを経て決定していて、Note8も同様の過程により4色で展開するに至ったといいます。ピンクなど、その他のカラーが追加される可能性については「地域によって、今後ニーズが出てくれば」とのことでした。

 

「S Pen」をもっと楽しんでもらうために

内蔵スタイラスペンの「S Pen」が備わっていることは、Noteシリーズならではメリット。ペン自体は筆圧が4096段階になり、防水や防塵に対応しています。

↑S Penが使えるのはNoteシリーズならでは
↑S Penが使えるのはNoteシリーズならでは

 

「Live Message」という機能を搭載したのは「S Penをあまり使っていない人にも日常的に使ってもらいたかった」からだとソ・ジンさんは言います。同機能では、S Penで描画した軌跡がGIFアニメーションになり、友達や知人にスタンプ替わりに送信可能。カメラで撮影した写真の上にメッセージを書き込むこともできます。

 

また、「Screen off Memo」機能も強化されました。これは本体からS Penを引き抜いて、スリープ画面でもメモを取れるというもの。Noteユーザーを対象にした調査でも使用率が高かったため、機能を強化しようと判断したそうです。Note8では、最大100ページまでのメモが可能。また、AOD(オールウェイズ・オン・ディスプレイ)機能でスリープ画面にメモを表示させられます。再編集にも対応できるようになっています。

 

翻訳機能も改良されました。以前は単語のみ翻訳できましたが、新たにセンテンスにも対応。文章内の貨幣の変換にも対応しています。

 

ソ・ジンさんによれば、「S Penの使い道として、絵を描くことも重要」であると考えているとのこと。確かに、韓国の店頭販売展示でもイラストやコラージュを作成する方法が推されていたように感じました。例えば、「PENUP」というアプリでは塗り絵を楽しめます。書き心地はとても滑らかで、ディスプレイ上にペン先を滑らせると、適度な摩擦を感じました。

 

デュアルカメラはトレンドを追いかけた形に

Note8では同社としては初となる背面デュアルカメラを搭載。2倍の光学レンズを利用したシームレスなデジタルズームに対応するほか、両方のレンズが高額手振れ補正をサポート。よりブレの少ないズーム撮影を可能にしました。

 

また、「Live Focus」という新機能も追加されています。被写体と背景を分離し、背景をぼかすことで、被写体を際立たせる機能です。ぼかし加減は撮影時および、撮影後の編集でも調整可能。

↑「Live Focus」機能
↑「Live Focus」機能

 

さらに、「Live Focus」機能で撮影すると背景を残せなくなるという欠点にも対策を施しました。「デュアルキャプチャー」機能をオンにしておけば、同時に広角レンズで撮影した画像も残すことが可能。つまり、画角の異なる2枚の写真を同時に撮影できるということになります。

 

しかし、デュアルカメラの搭載に関しては、サムスン電子は後発となりました。このタイミングで実装に踏み切った理由が気になるところ。

 

ソ・ジンさんからは、「GalaxyはS7からデュアルピクセルなどの革新的な技術を用いて、画質を改善してきた。しかし、ユーザーにズームやぼかし撮影のニーズがあると分かり、そこでNote8ではデュアルカメラを搭載した」という旨の返答を得ています。

 

どうやらバッテリーの心配はなさそうだ

サムスン電子では過去の反省も踏まえ、8段階のバッテリー安全性検査を実施するようになりました。その結果、「S8/S8+」も発売からしばらく経過していますし、「Note8」もグローバルで発売してから2週間ほど経過していますが、これといった問題は起きていません。いち早くバッテリー問題の教訓を得たことで、徹底した品質管理体制が整えられていると言えるでしょう。

 

果たして「DeX」は日本上陸なるか?

Note8もS8/S8+と同様に「Samsung DeX」に対応しています。これは「DeX Station」というドッグに端末をセットすると、ケーブルで接続したディスプレイにPC風の画面が表示されるという機能。キーボードやマウスを用いて、事務作業をしたり、ゲームアプリを楽しんだりできます。

↑「Samsung DeX」でディスプレイにPC風画面を表示
↑「Samsung DeX」でディスプレイにPC風画面を表示

 

S8/S8+は既に日本国内で販売されていることもあり、DeX Stationが今後日本で販売されるのかどうかも、気になるところです。ソ・ジンさんによれば、「現在はいろいろな角度で検討している段階。関西のGalaxy Studioの一部展示ではデモを行っており、反響を確認している」とのこと。筆者も実機を触ったことがありますが、とても魅力的な機能だと思うので、ぜひ日本でも販売して欲しいですね。

 

繰り返しとなりますが、Note8の国内での取り扱いは、未だに明らかになっていません。しかし、もし発売されればNoteシリーズとしてはNTTドコモが2014-2015冬春モデルとして販売した「Galaxy Note Edge SC-01G」以来。次期ラインナップとしても期待は高まります。