新年の抱負で「今年こそはダイエット!」と決めたものの、年末年始で増えた体重を戻すのは至難の業。2月に入ってもう脱落、ダイエットを諦めかけているという方も多いのでは?
ここアメリカでは肥満が大問題。保険会社もあの手この手で健康促進につながるサービスを提供しています。そこで今回は、筆者が加入している保険会社を例に、運動を頑張りたくなるように設計されている健康アプリを紹介します。
健康に関するあらゆる取り組みを可視化してポイントに換算
筆者は家族で「Humana」という保険会社に加入しています。同社は「Go365」という健康アプリと提携しており、健康に関する取り組みをポイントとして貯めることが可能。例えば、歯科検診や眼科検診などの検診に行くと500ポイント、何も問題がなければさらに50ポイント、ジムへの入会で100ポイント付与されます。また、FitbitやApple watchなどのウェラブル端末と連携していて、日々の歩数100歩で1ポイントが加算されたり、睡眠時間や運動した時間など健康に関するあらゆる取り組みをポイントとして換算したりします。
ポイント数はアプリで常に確認できます。自分の日々の頑張りがポイントとしてたまっていくのが見えると嬉しくなるのが人間の心理。さらに、家族でポイントを合算できるので、休みの日には「ポイント稼ぎにみんなで散歩行こう」などということも増えました。
ポイントを貯めても、カタログブックや決められた商品だけではやる気も出ないもの。そこでGo365では、ポイントの使い道としていろいろな特典が選べるようになっていて、ためたポイントはギフト券やレストランやカフェの食事券、映画のチケット、慈善団体への寄付、Fitbitなどのウェアラブル端末などラインアップは様々です。
筆者がいつも選ぶのはAmazonで使えるギフト券。有効期限もなく、一度に使い切る必要もありません。夫婦でためたポイントは半年でアマゾンギフトカード約$75にもなりました。お小遣い感覚でちょっと得した気分になります。
本アプリでは他の加入者の取り組みやコメント、ポイント数を見ることも可能。他の人の頑張りを見て「自分もやらなきゃ!」と刺激を受けることもあります。
また、FitbitやApple watchで一日の歩数やカロリー、心拍数などから運動した時間を常に見ることができます。平日は仕事で歩き回ったり、休日は息子と公園に行ったりと自分の成果を常に確認できることが励みになりました。逆に目標歩数やカロリーを達成できないと損していると考えるようになり、ちょっとした時間でも室内で腹筋をしたりスクワットをしたりと、目標達成のために隙間時間にも体を動かす習慣がつきました。
Go365は「インセンティブ」を与えることで、ユーザーの行動を変えることに成功しています。運動して得たポイントをモノなどに交換できることが刺激となり、運動する意欲が向上。その一方、心理的なインセンティブも考慮されており、例えばアプリを通して他の加入者と励まし合うことができるなど、継続的に健康増進を行っていけるように設計されています。
さらに、本アプリにはもう一つ「プロスペクト理論」というものが適用されています。これは「人は利益を得るときは確実性を優先し、損失を被るときはリスクを負ってでも最大限に回避したい」という考え方で、簡単にいうと「得する以上に損をしたくない」ということです。ウェラブル端末で目標達成のためのゴールが常に可視化されているので、仮に疲れるなどのリスクがあったとしても、ユーザーは目標を達成できないことで生じる損失(例えば、ポイントが付与されない、消費カロリーがゼロ)を回避するために行動するわけです。
つまり、Go365はアメとムチを効果的に使ってユーザーのモチベーションを維持しているのですね。
このように、アメリカの保険会社にはスマホと行動経済学の理論を使って、お客様のやる気を継続させるための施策を行っているところがあります。ダイエットで成功したい方はぜひ類似の仕組みを見つけて、トライしてみてはいかがでしょうか。