デジタル
2015/5/1 19:38

Apple Watchに隠れたAppleの次世代戦略

「週刊GetNavi」Vol.30-1

150501-11
↑4月24日発売になった、AppleWatch

 

 

4月24日、Appleのスマートウオッチである「Apple Watch」が発売された。4月10日から予約を受け付けていた話題のアイテムだ。筆者は第一世代としては完成度の高い製品だと思っているし、いまスマートウオッチを選ぶならまず候補にすべきものだと考えているが、ヒットするか否か、懐疑的な人も多いようだ。「基本的にフィッティングしての販売」「スマートウオッチとしてはライバル製品よりも若干高価」という点、そしてそもそもスマートウオッチというジャンルが広まるのかという疑問もあり、発売後の状況に注目が集まっている。

 

Apple Watchがヒットするか否かとはまた別の軸として、この製品には、今後のIT機器を考えるうえで重要な要素が搭載されている。それが「振動と操作の連携」だ。Apple Watchには、微細な振動をコントロールし、人に伝える「Taptic Engine」という機構が内蔵されている。携帯電話やこれまでのスマートウオッチの「振動通知」は、わりと大げさかつおおざっぱなもので、「振動がわかるか、わからないか」が重視されていた。しかし「Taptic Engine」の場合には、「やさしく腕に触れる」「腕を強く押さえる」といった、微細なコントロールができる。これによって、着信したのが電話かメールか、ナビで次に曲がるべきは右か左か、といった情報を画面を確認せずに振動でわかるようにすることが可能だ。これは、「スマホをできるだけ取り出さない」「盤面を見ずに状態がわかる」ことを狙ったものであり、スマートウオッチのあり方として、かなり面白いものだ。

 

一方、「Taptic Engine」にはまた別の側面もある。

 

このところ、IT機器の操作は、画面を「タッチ」することで行ってきた。その滑らかさが快適さの元だったのだが、難点もある。「押し込む」動作がないことだ。例えば、高齢者はスマホが苦手だというが、理由は「タッチパネルが反応しているかよくわからない」から、という人がとても多い。慣れていないこと、指先の細かい動きが鈍くなっていることが理由だ。「物理キーボードのほうが入力しやすい」「ゲームパッドのほうがいい」と言われるのも、根本的には、「タッチ」だけでは体へのフィードバックが不足しているからである。

 

だが、Apple Watchでは「プレス」=押し込みという操作が用意された。まだまだ活用できる範囲は狭いが、硬いはずのガラス面で「押し込んだ」感じがする。実際の感知は、押し込んだという「垂直の動き」ではなく、センサーに触れている皮膚の面積(指を押しつけると、タッチよりは広い面積が当たる)や触れている時間の違いで「タッチ」と「プレス」の判別をしている。またこのとき、「Taptic Engine」で振動を与えることで「押し込んだ感」を演出している。

 

同様の機能は、同社の新MacBookでも採用された。タッチパッドの「クリック」「プレス」が、振動で再現されているのだ。トラックパッド面に物理ボタンはなく、押し込んでも動かないのに「押し込んだ感」がある。

 

Appleは「触感によって人にフィードバックする」ことを明確に重視した。それでより多彩で確実な操作を実現するためだ。

 

その結果はどうなるのか? そのあたりの予想は、Vol.30-2以降にて。

 

 

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