「週刊GetNavi」Vol.69-1
各社スタンスの分かれた4Kチューナーへの対応
2018年のテレビ製品が出揃った。テレビの買い替えを考えている人は、「どれを選ぶべきか」で迷っているタイミングではないだろうか。
では、今年のテレビ市場は、どんなトレンドがあるのか? それは一言でいうと「コストパフォーマンスの良さ」となる。
テレビのトレンドは、「技術」と「製造」と「コンテンツ」の掛け合わせで変わる。今年は、「コンテンツ」に大きな動きがある。12月1日より、「新4K8K衛星放送」がスタートするのだ。これを見られるテレビ、というニーズは当然大きい。ただし、2018年の春から夏にかけての製品を眺めてみると、ここを争点にしてきたのは東芝だけだった。ほとんどのメーカーは、新4K8K衛星放送向けのチューナーを搭載せず、年末までに外付けチューナーを販売する形で対応する。内蔵製品が出るのもそのころだろう。
理由は、著作権保護ルールの決定に時間がかかり、チューナーの開発にかかれるタイミングが遅れたことにある。生産・開発のリスクを承知で先行する東芝と、そうでない他社という形で姿勢が分かれているのだ。
なら内蔵モデルを選んだほうが……と言いたいところだが、そこは個人の選択。確かに新4K放送は魅力的だが、地上波が4K化されるわけではない。全チャンネルが出揃うのは2020年で、有料放送系では新しいアンテナ設備が必要になる場合もある。いち早く視聴できることを選ぶか、様子見するかは判断が分かれるところだろう。
今期買うべきテレビはコスパに優れた「液晶」
むしろ、今期のテレビは「コストパフォーマンス」に注目してほしい。有機EL製品も含め、高画質モデルの価格がこなれてきているからだ。テレビに使われるディスプレイパネル技術は、昨年と今年で大きく世代が変わらない。一方、映像を表示するための加工技術は進化している。パネルの価格が落ち着き、表示技術が進化したことで、昨年のモデルに比べ、お買い得感のある製品が増えているのだ。逆にいえば、昨年一挙に登場してきた有機ELテレビのような「わかりやすい初物」はない、ということである。
確かに、来年・再来年まで待てば新世代のパネルが出てくるだろうし、そのころには新放送用のチューナーも内蔵されているだろう。ただ、そうした見通しに伴う買い控えはメーカー側も織り込み済み。そのため、今年は無理をせずに「コストと品質」の両立を目指した、比較的落ち着いた年になっているのだ。
なお、コストパフォーマンスを考えるならば、筆者は「液晶」に注目している。数年前なら非常に高価なハイエンドモデルに相当していた性能のものが、55型・20万円前後という価格帯に入ってきているからだ。ミドルクラスであれば実売で20万円を大きく切る。ハイエンドを買うほどの予算は用意できないが、4K+HDRという現世代の画質を体験したい人にとっては、非常にお買い得といえる。
では、各メーカーは自社のテレビのどこに注力しているのか? 東芝だけがチューナー内蔵に踏み切ったのはなぜか? 画質以外のポイントはどうなっているのか? そうした部分は次回のVol.69-2以降で触れることにしたい。
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