「週刊GetNavi」Vol.73-2
スマートスピーカーにディスプレイを付けた「スマートディスプレイ」を、現在、各社が先を争って開発している。もちろんこれには、アメリカと中国を中心に「スマートスピーカー市場が盛り上がっている」という背景がある。日本でのスマートスピーカー市場は、まだ盛り上がりに欠ける印象だが、アメリカにおいては、年間1000万台という数字が現実的なものになっており、「家庭に置かれていても珍しいものではない」レベルになっている。
一方で、スマートスピーカーが普及してくると、「スピーカーだけでは足りない」シーンも見えてきた。地図や動画を見せたり、写真を見せたりするといった用途だ。「それこそスマホやタブレットでいいのでは」と思いそうだが、これは「時代が巡った」という言い方もできる。
スマホやタブレット、それにPCは、いまでこそ「個人に1台が当たり前」というイメージになってきた。過去のイメージだと「タブレットやPCは家族に1台でもいいのでは」ということになるが、それでは結局いまひとつ使いづらい。ネット利用の多くはパーソナルなものだからだ。予算に余裕がある家庭ではスマホ・PC(もしくはタブレット)を家族それぞれに1台ずつ渡すが、そうでない家庭では、スマホだけが全員に1台ずつで、共有のPCやタブレットは「ない」ことも多い。
一方、ネットを活用したいシーンは多数ある。10年前と違い、今は、エンターテインメントの多くがネットからやってくるのが当たり前になった。わからないことがあったら、親や先生に聞いたり、辞書で探したりする前に「Google先生に聞く」ようにもなっている。
そうしたネットの力を、スマホを持っていない時でも使うのが「スマートスピーカー」の本質だ。ならば、ちょっとした情報を表示するディスプレイがあれば、もっと便利になる。スマホやタブレットと同じ価格では買い足す気になれないが、機能がシンプルであるなら、コストはもっと下げられる。タッチしながら長時間使うことを想定しないので、バッテリーを搭載しなくていいし、スマホと同じアプリが動いたり、高性能なカメラを搭載していたりする必要もない。
というわけで、タブレットのハードウエアをさらにシンプルにして、スマートスピーカーのマイクとスピーカーを組み込んだ製品として生まれたのが「スマートディスプレイ」ということになる。どれも価格は安く、1万5000円程度から2万8000円程度と、低価格タブレット並の価格帯に抑えられている。
スマートスピーカーは、便利さがわかってくると、別の部屋にも置きたくなる。そうやって買い足す人がいるために市場がすばやく広がっているのだが、その「買い足しの輪」のなかに、「リビングやベッドサイドに置くための機器」として考えられたのがスマートディスプレイ……ということだ。
では、スマートディスプレイは本質的にどのような変化をもたらすのか? その辺は次回のVol.73-3以降で解説したい。
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