「週刊GetNavi」Vol.43-3
タブレットは性能よりも消費電力の小ささが重要。消費電力が低ければ、それだけバッテリーの搭載量を減らせることになり、軽い製品を作りやすいからだ。そのため、プロセッサーとしては、スマホ由来のものが使われることが多い。iPadはiPhoneと同一アーキテクチャの「Aシリーズ」だし、Androidタブレットも、クアルコムなどのSoCが使われる。一方で、Windowsタブレットでは、これまではインテルの「Atom」シリーズが使われることが多かった。Atomはインテルのモバイル向けプロセッサーであり、ASUSの「ZenPhone2」など、いくつかのスマホでも使われていた。つまり、スマホ・タブレット・PCの境目は非常にあいまいな状態になりつつあった。
だが、今年4月にインテルが発表した方向転換により、この流れにも変化が生まれた。インテルはリストラの一環として、モバイル向けプロセッサーであるAtomシリーズの開発を終了することになったからだ。結果的に、スマホからはインテルのCPUを使うものが姿を消す。またタブレットについては、Atomではなく、同じく低消費電力にこだわった「Core M」、もしくは一般的にノートPCに使われる「Core iシリーズ」を使うことになるだろう。これらのプロセッサーはAtomよりずっとパワフルである。そしてもちろん、ほとんどのタブレットが使うARM系プロセッサーよりもパワフルだ。消費電力は下がっており、以前ほど不利ではなくなりつつある。
一方で、Atomの利点はパーツ単価が安かった、という点にもあった。Core MにしろCore iシリーズにしろ、単価はAtomだけでなく、ARM系プロセッサーよりも高くなる。結果的に、Windowsタブレットからは、2万円から4万円で買えるような「安価なもの」が失われ、キーボードとセットになり若干高めの「2-in-1」タイプのものが増えるだろう、と予測できる。すなわち「安いPC」として選ばれていたWindowsタブレットの居所はなくなる可能性が高い、ということでもある。
では、タブレット全体の単価はどうなるのだろうか? こちらも、「安いもの」を狙う人には残念なことだが、今後「少々高め」が主軸になっていく、と思われる。
それはなぜか? そして、タブレット市場全体がどうなるかは、次回のVol.43-4にて解説したい。
「Vol.43-4」は6月14日(火)公開予定です。
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