いまから6年半前の2012年11月のこと。世の中はiPhone 5発売のビッグウェーブも一段落し、冬の空を迎えているころでした。筆者は始発電車で銀座アップルストアへと向かっていました。そう、その日は初代iPad miniの発売日。正直、それまでアップル製品関係の行列には並んだことがなかったので、例の「セレモニー的」なことも経験してみたいと、孤独に列の最後尾へ。
第1世代のiPad miniにはWi-Fiモデルしか設定がなく、単体での通信は不可能。しかも、Retinaディスプレイ非搭載モデルしかないためスペック的には魅力に欠けるモデルでした。しかし、当時筆者は10インチクラスのタブレット端末に疑問を持っており、逆に7~8インチクラスにドハマリしていた時期。この記念すべき小さいiPadを是が非でも手に入れたいと、初のビッグウェーブに乗ることにしたのです。
銀座アップルストア前に形成された行列をみると、最前列から数組の装備が明らかに違うことに気づきます。少なくとも1泊レベルではないことだけは確かでしょう。都心とはいえ11月末の寒空の下、パーフェクト装備で待機しています。しかし、iPhoneの発売とは違い、さほどの過熱ぶりはみせていない様子。発売解禁後も回線の契約がないぶん、セレモニーの後はスムーズに客がはけていったのが印象的でした。もちろん筆者も16GBの最安モデルをゲット。その足で編集部に向かいドヤった記憶があります。
それから6年以上の歳月が流れ、iPad miniも第5世代となりました。これまでの2~4世代にはLTEやRetinaディスプレイが搭載されるなど、革新的なスペック変更がありましたが、なぜか食指が動かずスルーしてきた筆者。その大きな理由のひとつに5.5インチディスプレイ(俗にいうPlus)の存在があったからです。「もう大きい画面はコレで良いのでは?」と思うようになり、わざわざスマホやガラケーに加えて7~8インチ端末を持ち歩く必要はないのではないかと思う時期がありました。
しかし、iPad mni4から今回の第5世代が発売されるまでの約3年半の間に、8インチ熱が再発し、最新モデルはまだかと待望していたことがやっと現実となったのです。
6年半ぶりに自腹購入したiPad mini
さて、だいぶ前置きが長くなりましたが、そんなワケで筆者も第5世代iPad miniを購入しました。
世間では、筐体に変化がない、第2世代Apple Pencilに非対応、いまだにLightning端子などなど批判もありますが、筆者的には納得できる範疇だと思います。唯一、気になるとすれば価格面。筆者が購入したのは、Wi-Fi+セルラーの64GBモデルが6万800円に加え、第1世代Apple Pencilが1万800円、それにAppleCare+の8400円を合わせて、税込で8万6400円。まぁなんとお高いことでしょう。せめてあと1万円ほど安ければ不満は少なかったと思いますが、この後、解説するiPad miniの実用性を考えれば致し方ない出費かと。使用目的によってはApple Pencilは省略してもいいと思います。
6年前と全く同じコックピットビュー
久しぶりに手にした最新モデルは、筆者が6年前に購入した初代iPad miniとまったく同じコックピットビューです。唯一、当時はTouch IDがなかったのでホームボタンに四角い図柄が描かれていたくらい。
カラーはスペースグレーと迷いましたが、筆者がいつも使用しているiPhone XとThinkPadがブラックなので今回はゴールドをチョイスしてみました。
絶妙なサイズ感が絶大な人気を誇る秘訣
さて、iPad mini最大の特徴といえば、その絶妙なサイズ感でしょう。本体重量は約300gで女性でも片手持ち可能な重量。上下が太いベゼルにウエハースされているため、画面を指で覆うことなくホールドできます。
しかし、画面を縦にした持ち方だと意外に重量バランスが悪く、上部の方が後ろにもたれかかってしまいます。かといって、両手で持つと手がふさがってしまいます。そこで、スマホの裏に貼り付けて指を通し落下防止に役立つスマホアクセサリの「バンカーリング」の出番となるワケですが、最近発売されたばかりのまさにiPad miniのために作られたようなモデルをご紹介します。その名もAAUXX社の「iRing Slide(アイリングスライド)」。
「iRing(アイリング)」は、バンカーリング黎明期から普及している有名なモデルで、リングが定位置で固定しやすくプラプラしないため、安定したホールド感が得られるというもの。筆者は手持ちのすべてのモバイル端末にiRingを装着しているくらい信頼しているアイテムです。
話をiRing Slideに戻しましょう。もともとiRingは高品質でなにも不満のない製品だったのですが、iPhoneがQi(無接点充電)に対応したことにより、iRingを装着したまま充電台に乗せても、リングの厚みのおかげで充電されない事象が発生するようになりました。そこで、充電する際にはリングをスライドさせてできるだけ充電台と近づけるというコンセプトの製品になります。
しかし、今回の第5世代iPad miniには無接点充電機能は非搭載。このスライド機能をiPad miniのサイズ感にアジャストさせて使うことにします。装着する位置は好みによりますが、筆者はこのように最下段部分に水平に装着。まずは一番左にリングをスライドさせると、ベゼルを指で押さえずともホールド可能!
リングのスライドは11か所に調節可能で「カチカチッ」と小気味良いおとでスライドしてくれます。スライドした後は、しっかり目に固定されるので、本体の重量でズレたりプラプラするようなことはありません。この安定性と剛性がiRingの素晴らしいところ。
次に、中央にリングをスライドさせて真下から指を挿し込みます。すると、横向き画面がラクラク持てるように。なんなら親指だけでスワイプやタップも可能。
動画や電子コミックなどは画面を横向きにすると見やすくなります。電子コミックは親指だけでページめくることができ、快適に読むことが可能に。
さらに、リングの位置を調整すれば、縦画面で自立させることが可能です。リングを中央にスライドさせて縦方向にセットすれば、やや不安定ながらも自立させることができるので、料理のレシピサイトを見ながらお酒のツマミをつくるなんてオツなこともできちゃいます。
常に携帯できるデバイスのありがたみ
さて、iRing Slideによって使い勝手が飛躍的になることは理解頂けたと思いますが、肝心の端末としての実力はどうか。画面は7.9インチの2048 x 1536高解像度。これにはまったく文句のつけようがなく、大満足の出来映え。CPUは「A12 Bionic」というiPhone XSと同じ性能のプロセッサでこれまた文句ナシ。3Dを多用したゲームアプリもサクサク動作してくれます。では、第5世代iPad miniのどこに不満があるのか。
よく耳にするのが、やはり初代から代わり映えのしないデザインと、Apple Pencilの第2世代がリリースされたいまになっても第1世代にしか対応しないというあたり。最新ガジェット大好きクラスターの皆さんのご指摘もわからなくないですが、そろそろ「次のiPad mini待てないぞ不満」が爆発しそうな人が大勢いたなかで、なんとか最新CPUでリリースしてくれただけでも御の字ではないかと思います。iPad miniのPro仕様は次回への期待として残しておきましょう。
で、第1世代のApple Pencilですがペアリングや充電の面倒くささはあるものの、イラストも問題なく描けることがわかりました。少なくとも筆者が自分の記事用にネタで描くレベルであれば、画面が小さいのとツルツルのグリップさえ対策すれば使えると感じた次第です。
そのほか、セルラーモデルということでOCNやBIGLOBEのカウントフリーSIMを挿し込んでお気に入りのノイキャンヘッドホンとペアリングして音楽を楽しんだり、ちょっとメンドイ長文のメッセージなどはQWERTY入力を両手でサクサクっと入力したりと、万能感が漂う優等生なiPad mini。
筆者はスマホや名刺、ペンやメモなど仕事用の7つ道具をポーチなどに入れて腰からぶら下げているのですが、iPad miniなら大抵の小型ポーチにスッポリとインしちゃいます。つまり「常時携行」が可能な端末ということ。iPad Proはカバンやリュックに入れるので、必要に応じないと持ち歩きませんが、iPad miniはスマホ並に「使わなくても常に身につけて歩ける」端末といえます。筆者などは「今日は飲みに行くだけ」という日でもポーチにいれて持ち歩いて、待ち合わせ時のメッセージのやりとりや、マップで店の位置確認などに大活躍しています。
今回の第5世代iPad miniですが、買って本当に良かったと思える1台となったのはいうまでもありません。ところで、アップルさん、iPad mini “Pro”はいつ出るのでしょうか?
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