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2019/4/15 20:30

7万円台の液タブ「Wacom Cintiq 16」をほぼパンピーな絵師が使ってみた【ナックルの挑戦状】

近年ではガジェット市場にはスマホやタブレットなど、ペン入力対応のデバイスがたくさんラインナップされていますが、ひと昔前はパソコン上でペン入力をしようと思ったらペンタブレット(通称:板タブ)を使うしかありませんでした。

↑ペンタブレット(板タブ)

 

板状のタブレットにペンで描くと離れた場所にあるパソコンのディスプレイに描画されるため、紙に描くのに比べて、どうにも違和感が残ってしまうのがペンタブレットでしたが、当時のプロ絵師は、このペン先と画面の距離感すら克服し、数々の名作を創り出したものです。デバイスのコストが安く済むため、現在でも多くの愛用者がいます。

 

やがて、画面に直接ペンをタッチして描き込める液晶タブレット(通称:液タブ)が登場します。液タブは、ペン先の軌跡に線や模様が描画されるため、紙やキャンバスに直接描いている感覚に極めて近い使用感が得られるようになりました。もちろん、ペンを押しつける強さ、つまり筆圧やペンの傾きなども検知し、繊細なタッチもデジタルで描画できるところまで進歩しています。

↑液晶タブレット(液タブ)

 

板タブには画面がついておらず、板状のセンサーを専用ペンでなぞり、線は前方にある画面に描画されるという「距離感」がどうしても素人にはハードルを高くしていました。その点、画面に直接描き込める液タブはペン先の軌跡に線が描画されるため、直感的で紙の感覚に近く、板タブに比べるとイメージを忠実に描写しやすいという利点があります。

 

しかし、これまでの液タブはとても高額で、素人がたやすく手を出せるような価格帯ではありませんでした。

 

プロ御用達の「Wacom(ワコム)」から手ごろな液タブ「Cintiq 16」登場

ところで、ペンタブレットや液晶タブレットの総本山ともいうべき、世界一のメーカーが日本にあることをご存じでしょうか。それが「Wacom(ワコム)」です。ワコムの製品は世界中のクリエイターからアツい支持を得ており、大ヒット映画やアニメなど、皆さんも間違いなくご存じであろう作品の制作に使用されています。また、クリエイティブな分野以外でもワコムの技術や製品は使用されており、例えばスタバのクレジットカード使用時にサインするパッドや、裁判所の証言台、テレビのクイズ番組の解答を書き込む機器などにもワコムのペン入力デバイスが採用されており、世界最高のペン入力メーカーといっても過言ではないと思われます。

 

個人的には、約20数年前にワコムのペンタブレット最廉価モデル「ArtPad II」を購入して以来ずっとワコムユーザーで、現在はこれまた10年くらい前に購入した板タブ「Intuos 4」を使用しております。さらに、些細なことですが、ワコムの本社が筆者の地元と同じ埼玉県にあるということで、勝手に親近感を感じています。

 

そのワコムが新たにリリースした液晶タブレット「Wacom Cintiq 16」は、上位機種からいくつかの機能を省略し、直販価格で7万円台で購入できるというアマチュア絵師にとって救世主のようなエントリーモデルの液タブなのです。

 

「Wacom Cintiq 16」は、同社のフラグシップシリーズ「Cintiq Pro」からいくつかの機能を省略し、価格を抑えたモデルとなっています。直販価格は約7万円強。ちなみに、「Wacom Cintiq Pro 16」の直販価格は約18万円強で、価格差は倍以上。Cintiq 16の主なスペックは、フルHD解像度を持つ15.6型のIPS液晶を搭載し、最大表示色は1677万色。最大輝度は210cd/m2。ペン入力は8192段階の筆圧と、±60レベルの傾きを検知できます。画面は15.6型ですが、太めのベゼル部分があるので本体サイズは422×285mmと少し大きめ。20型のモニターと同等ぐらいの大きさに感じます。

↑「Wacom Cintiq 16」直販価格7万3224円

 

最近ではiPadのようなタブレットやスマホにもペン入力対応デバイスが増えていることから、屋外に持ち出してスケッチしたり、どこでもサッと取り出して手書きメモを取るような使い方が浸透しています。しかし、Cintiq 16にはバッテリーが搭載されていないためポータブルでは利用できず、コンセントが必須となります。また、Cintiq単体では動作せず、必ずパソコンに接続する必要があります。あくまでもパソコンの周辺機器であり、ペン入力デバイスという位置づけなのです。どうしても、屋外へ持ち出してスケッチなどを楽しみたいという人は、バッテリーやパソコンの機能が全部入りのオールインワン液晶タブレット「Wacom MobileStudio Pro」を検討してみるのもいいかもしれません。

↑13インチモデルの「Wacom MobileStudio Pro 13」(直販価格19万9800円~)

 

入門機でも本格的なペンが付属。スリムタイプも用意

Cintiq 16に付属するペンは上位モデルであるCintiq Proにも採用されている「Wacom Pro Pen 2」。ワコムのタブレット向けペンとしては、フラッグシップに位置づけられるモデルです。つまり、世界中のプロが使用している描き味がそのまま味わえるということ。エントリーモデルながら本格的なペンが付属するのはワコムならではですね。

↑「Wacom Pro Pen 2」Cintiq Proにも付属するワコムペンタブのド定番なペンが標準で付属

 

↑筆者的にこの太めの握り心地が超絶好み

 

Wacom Pro Pen 2には、新たに「Wacom Pro Pen slim」がラインナップに加わりました。Pro Pen slimはその名の通り、少し細身のペン。直径は9.5mmで、一般的なボールペンやサインペンなどの太さが好み人にオススメ。ただし、Cintiq 16には付属せず別売りとなります。直販価格9720円。

↑Pro Pen 2(左)とPro Pen slim(右)

 

↑側面にはペンホルダーを装備。背面には折りたたみスタンドを備えています

 

16インチ機は「しまっておける」サイズ感

Cintiq 16は、「液晶タブレット」というだけあって15.6型の画面の上であれば、どこでもペンの入力を受け付けてくれます。この15.6型というのが広いのか狭いのかピンとこないと思いますので、GetNavi本誌を上に置いてみました。読み取り可能範囲は344.16×193.59mmです。

↑GetNavi本誌より少し広い画面サイズ

 

筆者が使ってみた感想としては、15.6型のサイズでも十分な広さだと感じました。これ以上大きくなると、本体が大きくなり、机上のスペースも広くとる必要があります。もし筆者がガチのプロ絵師で、毎日のように液タブで作業するなら、デスクの上を液タブが占有するのも仕方ないと思いますが、筆者の本業はライターなので、キーボードで原稿を描くことも考えると、不要な時はブックスタンドにでも立てかけて「しまっておける」サイズとして、15.6型はちょうど良いサイズだと感じます。

 

そして、ペンタブユーザーにはマストアイテムともいうべき「左手デバイス」。ペンを握らない方の手で握るカスタマイズ可能なコントローラーのことですが、現役のペンタブユーザーであれば、既にお気に入りの使い込まれた左手デバイスがあると思います。Cintiqシリーズにも純正の左手デバイスがラインナップされており、筆者はホイールが好きで愛用しています。これを使うと拡大などの操作がサッと行えるので、持っていない方は合わせて購入することをオススメします。

↑「ExpressKey Remote」直販価格1万3824円

 

↑ExpressKey Remoteは、専用のUSBレシーバーでワイヤレス接続します。つまり、Cintiq 16本体とあわせると、2つのUSB-Aコネクタを使用することになります

 

と、スペックを語ったところで、板タブや液タブなどのペンタブレットを使ったことがある人ならば、おおよその描き味の想像はつくと思いますが、使ったことのない人や昔のローエンドモデルしか触ったことない人は実際の描き味はわかりにくいと思います。そこで、後編では実際に筆者がイラストを描き、なんとマンガ賞にまで応募するという企画にチャレンジします。お楽しみに!

 

↑富士通のLIFEBOOKに接続してみました。Windowsとしてはモニターがもう1台追加されたマルチモニター環境と同等な扱い

 

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