みなさんは、この秋にアップルが発売したiPhone 11シリーズを購入する計画はありますか。またはもう購入済みでしょうか。筆者は特に大きな6.5インチの有機EL系「Super Retina XDRディスプレイ」を搭載した、iPhone 11 Pro Maxの進化に感心しました。画質・音質がともに大きくパワーアップしていたからです。
動画コンテンツを視聴したときの没入感が、これまでに発売された6インチ台のiPhoneに比べて大幅に向上しています。今回はそのiPhone 11 Pro Maxによる高画質体験をフルに引き出すためのテクニックに的を絞って、硬派でストイックな活用術を紹介したいと思います。
【ルール1】スマホ向けのHDR動画を観てみよう
iPhone 11 Pro Maxは2018年に発売された同じ6.5インチのiPhone XS Maxと同じ有機EL系のディスプレイを採用していますが、そのスペックは一段とブラッシュアップされています。標準コントラスト比は約2倍の200万対1となって、映像の陰影にメリハリが付いたことや中間階調部も繊細に表現できるパフォーマンスを獲得しています。
最新のSuper Retina XDRディスプレイは映像内の最も明るいピーク輝度部の表現力も高くなっています。通常使用時は最大輝度を800nitsまでカバーしたことで、例えば屋外で写真を撮影する際のビュワーとして画面の見やすさを確保しています。iPhone XS Maxの最大輝度は625nitsまでだったので、スペック的にもしっかりと向上しているのですが、さらにHDR(ハイダイナミックレンジ)の技術を使って制作された動画コンテンツを再生すると最大輝度が1200nitsにまで拡張されます。
HDRとは、一段とリアリティに富んだ映像が楽しめるように従来のSDR(スタンダードダイナミックレンジ)よりも広い明暗の幅を再現するための表示技術です。コンテンツについては4Kテレビで楽しむためのテレビ放送やUltra HD Blu-rayのようなディスクに収録されたものへ徐々に普及していますが、iPhoneのようにモバイル端末で楽しめるコンテンツも様々な動画配信サービスが揃えてきました。
せっかくiPhone 11 Pro Maxを手に入れたところで、HDR対応の動画コンテンツを視聴してみないことには、最大輝度1200nitsまで対応するSuper Retina XDRディスプレイの実力が引き出せたことにはなりません。
HDRの表示技術の代表的なものにHDR10とDolby Visionがあり、iPhone 11シリーズは両方のコンテンツ再生に対応しています。アップルのiTunes Storeアプリから「検索」タブのキーワードに「HDR」と入力して探せば、iTunes Storeに揃うHDR対応コンテンツを簡単に見つけることができます。作品の詳細紹介のページに入るとカバーアートの下に「HDR」「Dolby Vision」のアイコンも表示されるので、こちらを頼りにしながら、気になるタイトルがHDR対応のものか調べるといいでしょう。
ちなみに、Super Retina XDRディスプレイの実力を最大限まで発揮させるコツを付け加えるとすれば、なるべくディスプレイの保護フィルムを貼らずに使った方が画質の面では有利です。とはいえ画面を傷つけてしまっては元も子もありません。クリアタイプで薄膜の保護フィルムを選ぶことによって画質の劣化を避けられる場合があります。
【ルール2】コンテンツへの没入感を損なわないための「ケース選び」も慎重に
iPhone 11 Pro Maxはフロント側のディスプレイ専有面積が広いフルディスプレイデザインのスマートフォンです。6.1インチのLiquid Retina HDディスプレイを搭載するiPhone 11と比較してみてもわずかにベゼル(額縁)が狭く、映画など画面に表示されたコンテンツにより深くのめり込める魅力があります。
この狭額縁デザインならではの優位性を余すところなく活かしながら、心地よい映像視聴を満喫するためにも、iPhone 11 Pro Maxには分厚く華美なケースを装着することはなるべく避けた方が良いと筆者は考えます。色についても映像への没入感を損なわないようにブラック系を選択するべきです。例えばアップル純正のiPhone 11 Pro Max用「シリコーンケース/ブラック」、または「レザーケース/ ブラック」がおすすめです。
あるいはiPhone 11 Pro Maxの美しい背面パネルの仕上げを日々愛でながら使いたい方は、アップル純正の「クリアケース」を選ぶ手もあります。サードパーティー製のアクセサリーにありがちな光沢感を高めたり、ラメなどの装飾を加えたクリアケースよりも、純正品はシンプル・イズ・ベストを追求したデザインとしているので、映像を視聴中にギラついて目にうるさい感じもありません。装着したままQi対応のワイヤレス充電器に置いてチャージができる手軽さも特筆できます。
iPhone 11 Pro Maxで真剣勝負の動画鑑賞を追求するのであれば、白いYシャツなどは避けて、なるべく黒っぽい服に身を包み、背景のうるさくない場所で見るようにしましょう。作品のシーンが暗転したときに、映像を見ている自分自身の真っ白なTシャツや、そこに描かれた他愛のないイラストがディスプレイに映り込むと、きっと興ざめしてしまうからです。
【ルール3】新機能「空間オーディオ」の真価を発揮させるため、正しくiPhoneを構える
iPhone 11シリーズには「空間オーディオ(Spatial audio playback)」と名付けられた、内蔵スピーカーで臨場感あふれるサウンドが楽しめる機能が新規に追加されました。本機能は新開発のステレオスピーカーユニットを搭載したことと、新チップのA13 Bionicに統合されている高性能なDSPの音声信号処理によって実現されています。
空間オーディオの実力をフルに発揮させるためには、iPhoneを横向きに構えてコンテンツを視聴するスタイルが正解です。iPhoneのステレオスピーカーはひとつが本体を縦に構えたときに通話時のスピーカーにもなる上部のフロント側に、もうひとつがボトムの側面に向けて配置されています。
iPhoneを両手にどのように構えるかによって、空間オーディオの効果を最大化できるか否かが決まります。というのも、誤ってスピーカーの開口部を手のひらや指で塞いでしまうと心地よい音による没入感が得られないからです。iPhoneを横向きに構えた状態で、できれば上下の位置に指を添えてグリップするようにしましょう。これで包まれるような臨場感と、センターの位置にキリッと定位する伸びやかなダイアローグ(セリフ)が楽しめるはずです。
空間オーディオは動画系コンテンツだけでなく、Apple MusicやSpotifyの音楽配信、ラジオなどあらゆる音もののコンテンツ再生に効果があります。
しかし、本体を手にホールドし続けて2時間近い映画を集中して見ることは難しいと思います。そこで卓上でも使えるようなコンパクトで脚の短いiPhoneホルダーを使ってみてはいかがでしょうか。Apple Storeで販売されているアイテムなら、例えばJobyの「GripTight PRO 2 GorillaPod」なども使いやすそうです。元はiPhoneで動画や静止画を撮影するために使う三脚が、これからはiPhoneによる動画鑑賞にも大活躍してくれそうです。
【ルール4】ワイヤレススピーカー&イヤホンにこだわれば、鑑賞環境は驚くほど変わる
iPhone 11 Pro Maxの高画質を楽しみながら、音はBluetoothスピーカーを併用して一段とリッチな視聴環境にアップグレードしたい場合は、せっかくなのでステレオ再生が可能な製品を選びたいものです。デスクトップ環境で再生するのであれば、できれば左右間の距離をある程度離すことによって一段と明瞭なステレオイメージが得られるセパレートタイプのスピーカーがおすすめです。手軽な価格で購入できるものであれば、例えばJBLの「FLIP 5」(9980円・税別)は1台のiPhoneに2台のスピーカーを同時に接続してステレオ再生が楽しめる「パーティーブースト機能」を搭載しています。
もうひとつ、イヤホンやヘッドホンをiPhone 11 Pro Maxに組み合わせて映像を鑑賞する機会も多くあると思います。コンテンツへの没入感を損なわないことを最優先にするのであれば、共に暮らす家族の賑やかな話し声もシャットアウトできるアクティブ・ノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドホンが有効だと思います。
ただし長時間視聴を楽しむ際にはヘッドバンド型だと側圧に疲れてしまうという方もいるでしょう。頭痛に悩まされるようでは元も子もありません。反対にAirPodsのように自然に外音を取り込める半密閉型のハウジング構造を採用するイヤホンの場合、外の音が漏れ聞こえてくることがストレスに感じられるかもしれません。間を取って密閉型のカナル型イヤホンを選ぶのがベストという考え方もあります。該当する製品には様々なものがありますので、店頭でデモ機などを試してみて、自身の耳にフィットするものを探してみてください。
新しいiPhone 11シリーズはすべてのモデルがマルチレンズ搭載になった充実のカメラ機能に注目が集まりがちですが、高いレベルで安定している画質と音質の出来映えも他のスマホを圧倒するほどに魅力的です。今回のレポートが多くのユーザーにとって、iPhone 11シリーズの実力を十二分に発揮できる環境を身の回りに整えて、ベストなコンテンツ再生をたっぷりと味わうための役に立てば本望です。
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