デジタル
2019/12/12 21:00

【ゼロから知れる5G】第9回/5G&IoT時代に欠かせない「エッジコンピューティング」の仕組みを解説

話題の「5G」をゼロから知っていく本連載。今回は「エッジコンピューティング」について解説します。エッジってどこのこと? と思うかもしれませんが、この技術こそ5G時代・IoT時代に必須の通信技術なんです。

 

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エッジとは「ユーザーに近い場所」

まずはエッジ(端)がどこを指しているのか、現在の主流である「クラウドコンピューティング」を例に解説します。

 

クラウドコンピューティングでは、大量のデータがインターネット上のクラウドサーバーに集約されます。たとえば、スマホからクラウド上のデータにアクセスしようとすると、<スマホ→基地局→通信事業者のネットワーク→クラウド>という流れで通信します。もちろん、あらゆる機器が通信を行うので、無数の矢印がクラウドに向かっているわけです。

 

このネットワークを全体で見たとき、中央にあるクラウドに対して、その周縁にスマホなどの機器が位置する構図になります。つまり、私たちが使っているデバイスこそがネットワークの「エッジ(端っこ)」。このエッジ部分でコンピューティング(データ処理)を行うので、エッジコンピューティングと呼ばれているのです。

 

具体的には、スマホやパソコンだけでなく、基地局や収容局(光回線や電話回線を収容する設備)のそばにサーバーを置き、そこでデータ処理を行います。ネットワークの端は、つまり「ユーザーに近い場所」と言い換えられますね。

 

 

IoT時代に必須の技術

次にエッジコンピューティングのメリットを見ていきましょう。メリットを知ると、IoT時代に欠かせない技術であることがわかるはずです。

 

・通信にかかる時間が短くなる

遠くにあるクラウドよりもデバイスに近い場所でデータ処理を行うため、通信の往復時間が短くなります。また、従来はクラウドに集中していたデータを各所のエッジサーバーで処理できるので、ネットワークの混雑回避にもつながります。したがって、高速・低遅延の通信が実現できるのです。

 

・クラウドへの負担を軽減できる

あらゆるモノがインターネットにつながるIoT時代では、膨大な量のデータを高速で処理しなければなりません。クラウドにデータが集中しすぎた場合、通信が遅くなるだけでなく、パンク状態に陥ってしまうリスクもあります。リアルタイム性が求められるデータはエッジ側で、そうでないものはクラウドで処理するというように分ければ、データ処理にかかる負荷を分散できます。負担が減れば、エッジサーバー、クラウドサーバーともに安定した通信が可能になります。

 

・セキュリティ面でのリスクを軽減できる

データが集約されるクラウドには、漏えいや外部からのハッキングといったリスクが伴います。しかしエッジコンピューティングでは、漏えいしたら困る情報はエッジ側で処理し、クラウドとは送受信しないという使い方が可能なため、情報のセキュリティを確保しながら通信することができます。

 

活用例としては、自動運転やスポーツ中継、オンラインゲームなど、「情報のリアルタイム性」が重要となる分野で期待できます。クラウドをエッジに置き換えるのではなく、両方を併用していくことがIoT時代の通信を支えていきそうです。「エッジコンピューティング」、ぜひ覚えておいてくださいね。

 

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