2020年の春に商用サービスが開始される「5G」。2019年4月に周波数の割り当てが発表されてからは、各キャリアが5Gサービスにおけるビジョンや新料金プランを発表。さらに、5G通信を体験できるプレサービスもスタートしています。
この【ゼロから知れる5G】の連載でも、5G関連の用語やキャリアのねらいなどを紹介してきました。本稿では、筆者が取材・執筆するなかで知って驚いたこと、実感したことを振り返っていこうと思います。
5Gは社会を支える新技術
連載の第1回は、そもそも「5Gってなに?」というところから始まりました。筆者も新世代の通信技術であることは知っていましたが、執筆するまでは、何がどう変わるのかいまいちピンと来ておらず……。
感じたのは、5Gが新たな社会基盤の1つになりうるということ。通信が速くなって動画視聴やゲームプレイが快適になるのはもちろんですが、それは個人の生活の範囲を出ません。5Gは自動運転や遠隔医療といった「IoT社会」の基盤となる技術です。生活や社会を大きく変えられる5Gの可能性に驚いた第1回でした。
電波の道も混雑する! 「周波数帯」について
第2回では「周波数帯」について解説しました。周波数帯は電波の通り道で、この道の幅(=帯域幅)が広いほど多くのデータが行き交うことができます。
ときどきサッカー観戦でスタジアムに行くのですが、ハーフタイムになるとたくさんの人が一斉にスマホを見るので、全然つながらなくなります。多くの電波が行き交えば、それだけ道が混雑して通信が遅くなる、という説明は(我ながら)なるほど! と納得しました。
これが未来のスポーツ観戦
第4回では、ドコモが5Gプレサービスとして開催したラグビーワールドカップのライブビューイングを取材してきました。第1回で5Gで実現することを紹介したものの、まだ実感はできていませんでした。
しかし、このライブビューイングは未来のスポーツ観戦そのものでした。複数の視点を自由に切り替えられる「マルチアングル視聴」は、そのスポーツに詳しい人もそうでない人も試合にのめり込める新しい観戦方法です。観て楽しむだけでなく、その映像をトレーニングに活用するといった使い方もできるはず。マルチアングル視聴はいろんなスポーツ放送に導入してほしいです! ぜひお願いします。
一長一短の「サブ6帯」と「ミリ波帯」
周波数帯についてさらに掘り下げたのが第6回。5Gでは「サブ6帯」と「ミリ波帯」が使用されますが、恥ずかしながらこれらの周波数帯について詳しく知りませんでした。
しかし、サブ6帯は運用しやすいが帯域幅が広くない、ミリ波帯は広い帯域幅を確保できるが遠くまで届きにくいというそれぞれの特徴を知って、何においても一長一短なのだなと感じました。ただ、この2つの周波数帯を活用するのが5G。通信というものにぐっと興味を持つことができたのが、この第6回でした。
真の5G時代はまだ先
5Gについて取材や調べ物を続けていると、5G時代が目の前まで来ているように感じます。ただ、2020年春からまるっと5Gに変わるわけではないんですよね。まずは都市部やスタジアムなど人が集まる場所に5Gの設備が導入されていく予定です。
なので、いきなり5Gに変わって大丈夫? とか、スマホ買い換えないとダメなの? と思っている人は安心してください。まずは、5Gネットワークがあるところに行き、5G通信を体験する、というかたちになるはず。将来的には5G対応のスマホが発売されたり、5Gだからこそ楽しめるコンテンツが登場したりして、いつの間にか5Gが当たり前になるのだろうなと思います。
2020年はいよいよ5Gが始まります。5Gのスタートに向けて、用語解説や5Gサービスの取材などをどんどん続けていきたいと思います。