デジタル
2020/3/14 7:00

【西田宗千佳連載】次世代ゲーム機やゲーミングPCの「フレームレート」がテレビ選びを変える……かも

Vol.88-4

本連載では、ジャーナリスト・西田宗千佳氏がデジタル業界の最新動向をレポートする。今回のテーマは、「2020年のテレビ市場」。なかでも製品が登場しはじめた8Kテレビの動向と、各社の戦略を紐解く。

 

 

「4Kならまだしも8Kはまだ買えない」と考えている人は多いと思う。いまは4Kであれば放送もネット配信も規格面では落ち着いた状況で、「もうどの4Kテレビを買ってもいい」と思っている人もいそうだ。

 

だが、ちょっとそれは早計だ。特にゲームをする人は、テレビおよびディスプレイ選びについて、少し慎重になったほうがいい。ポイントは、今年の秋に「PlayStation 5」と「Xbox Series X」という、次の世代のゲーム機が用意されているという事実だ。

 

次の世代では、もちろんグラフィック性能が向上する。「次世代機は8Kに対応」という話になるのだが、まあ、それはある意味オマケのようなもの。8Kにも対応はするものの、次世代機の軸足は「フレームレートの向上」のほうにある。

 

現状、PS5やXbox Series Xの詳細なスペックは公開されていない。だが、過去の家庭用ゲーム機と違い、毎秒の描画コマ数として「毎秒60コマ(60fps、60Hz)」以上、特に120Hzのサポートが追加されるのは間違いないと見られている。

 

Xbox Series X

 

理由は、ゲーミングPCが先を走っているからだ。フレームレートが高いほど、FPSなどのゲームでは有利になるため、ゲーミングPCは、描画コマ数を120Hz・144Hz・240Hz・360Hzと増やしていく動きがある。その際、解像度は1920×1080ドット(1080p)で抑える場合が多く、単純な画質では劣る。ただ、「ゲームという体験」として考えた場合には、フレームレートをあげて、より滑らかな映像にすることはマイナスではない。実際、60Hzでは動きが速くて狙えなかった敵が、360Hzになって描画コマ数が増えた結果狙えるようになる……という効果が確認されている。

 

eスポーツの盛り上がりもあって、「高フレームレート」は「なぜゲーム機でなくゲーミングPCなのか」という理由の一つになっているのだ。なお同じゲーム機でも、Xbox One SとXbox One Xは、現世代でも120Hz出力に対応している。

 

次世代機が、どこまで高いフレームレートに対応するかはともかくとして、「60Hzまで」という制限が緩和される可能性は高い。テレビと接続するためのHDMIの規格も進化し、次世代機で採用されるであろう「HDMI2.1」の場合、1080pはもちろん、4K・5K・8Kでも120Hzへの対応が可能になる。

 

高フレームレートへの対応はテレビよりもPC用ディスプレイが先行している。ゲーム機でもそれらを利用することで高フレームレートを実現するという方法あるが、テレビについても、少なくとも1080p・120Hzでの表示に対応しているものを選んだほうがいいだろう。

 

そのあたりも含め、テレビの側でどこまで高度な規格に対応するのか、情報が少ない部分がある。だから、こと「次世代ゲーム機やゲーミングPCの性能をフルに生かす」なら、ハイエンドゲーミングPCを想定したPCディスプレイの導入も視野に入れるべきだし、同時に、「テレビがどこまでのフレームレートに対応するのか」にも注視しておく必要があるだろう。

 

 

 

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