今年3月に5Gサービスが開始されてから、およそ半年になります。これからどんどん5Gコンテンツが生み出されていくだろうという矢先に、新型コロナウイルスが流行。5Gよりも先に私たちの生活をがらっと変えてしまいました。しかし、テレワークやZoom飲みなど新しい生活様式が生まれたことも事実です。そして「リモート」というかたちは、エンタメにも広がりつつあります。
講談社は8月21日、池袋にある「Mixalive TOKYO」に関するオンライン発表会を開催。同施設がソフトバンクと協業し、5G通信を用いたライブエンターテインメント施設として本格始動することを発表しました。
“5G化”されたMixalive TOKYO
「Mixalive TOKYO(ミクサライブ東京)」は、池袋のサンシャイン60通り沿いにある複合施設。講談社がテレビ東京やキングレコード、ブシロード、ネルケプランニングなどさまざまな企業とパートナーを組み、紙だけでなく映像や音楽、演劇といったコンテンツに展開し、ライブエンターテインメントを発信しようとしています。
当初は3月19日にオープン予定だったものの、新型コロナウイルスの影響により延期になっていました。しかし、この状況をチャンスに変えるべく、新たに技術パートナーとして参画したのがソフトバンク。同社の5G技術を用いて、リアルでもリモートでも楽しめるハイブリッドシアターとして生まれ変わったのです。
Mixalive TOKYOにはショップのほかに、イベントにあわせて設備の異なる4つのホールとカフェがあります。これら全フロアが5Gに対応。また、ソフトバンクはVRカメラなど映像配信設備も提供するとのことで、Mixalive TOKYOの“5G化”をサポートします。
さらに、ソフトバンクが運営するコンテンツ配信サービス「5G LAB」でも、Mixalive TOKYOのコンテンツを配信する予定です。発表会に登壇したソフトバンクの寺尾洋幸常務執行役員は、アーティストや興行主に対する支援になるとともに、同社としても5Gで何ができるのか、さまざまなことを試していきたいと述べていました。
配信でもインタラクティブな体験を
発表会では、今後配信されるであろうコンテンツの実演を見ることができました。オープニングアクトとして登場したのは声優の浪川大輔さん。梶井基次郎の『桜の樹の下には』の朗読劇で、浪川さんの言葉にあわせてスクリーンに映像が流れたり、効果音が入ったりします。
また、VRアイドルグループのHop Step Sing!がライブを開催。おもしろいのが、手元のスマホとライブが連携していること。スマホで好きなメンバーをタップするとハートを送ることができ、ハートを集めたメンバーは衣装が変わります。
ライブのコール&レスポンスさながら、観客のアクションがアーティストやライブに影響するインタラクティブな仕組み。今後はステージから消えてスマホ画面に移動したり、衣装や演出方法を選べたりといった見せ方も考えているそうです。
リモートならではの価値を提供する
発表会で印象に残っているのが、ネルケプランニングの代表取締役会長でありTheater Mixa総合プロデューサーも務める松田 誠氏の「これまでも舞台配信は劇場を疑似体験する引き算でした」という言葉。
たしかにお笑いライブや音楽フェスでは、他会場でのライブビューイングや動画配信もおこなわれていますが、それらは現地に行かない(行けない)ときの代替案という意味合いも強いように思います。チケットを買えなかったから、会場が遠くて参加できないからライブ配信を利用する、というふうに。
しかし、これからは推しのメンバーだけを見たり、リアルタイムで演出が変わったりと、リモートならではの見せ方ができるはず、と松田氏は言います。
もちろん、ライブを生で見ることには、その場でしか味わえない迫力や興奮があります(私はサッカー観戦や音楽ライブに行くのが趣味なのでよくわかります)。でもリモートならではのライブ体験ができたら、配信は現地に行くことの代替案ではなくなるでしょう。
Mixalive TOKYOが目指すのは、“リアル”と“リモート”の両輪でエンターテインメントを届けるシアター。9月以降はライブ配信を多数予定しているとのこと。さっそく9月4日から進撃の巨人とコラボしたエンターテインメントレストランを開催予定です。
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