今年の春は、スマホ料金はドーンと安くなります。大手3社が発表したオンライン専用の新料金プランが注目を集めていますが、これに対抗するべく、新興の楽天モバイルも大胆な値下げを発表しました。なんと1GBまでならタダで使えるという大胆なプランです。
楽天モバイルの新料金プランは、どんなケースでも最安なのか? 契約してから後悔しそうなことはないのか? 大手プランとじっくり比べてみました。
楽天モバイルの新プランは、20GB以下なら月額0円〜1980円
まずは、3社が3月に開始予定のオンライン専用プランと、楽天モバイルが4月1日から提供する新プランを比較してみましょう。
大手3社の20GBプランと楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」の比較
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NTTドコモ | KDDI | ソフトバンク | 楽天モバイル | |
プラン・ブランド名 | ahamo | povo | LINEMO | Rakuten UN-LIMIT VI |
月額料金 | 2700円 | 2480円 | 2480円 | 〜1GB:0円(2〜5回線目は980円) 〜3GB:980円 〜20GB:1980円 20GB〜:2980円 |
月間データ容量 | 20GB | 20GB | 20GB | 楽天回線:無制限 パートナー回線:5GB |
超過後の通信速度 | 最大1Mbps | 最大1Mbps | 最大1Mbps | 最大1Mbps(パートナー回線) |
データ追加 | 500円/1GB | 500円/1GB | 500円/1GB | 500円/1GB |
通話定額 | 5分かけ放題:無料 かけ放題:1000円 | 5分かけ放題:500円 かけ放題:1500円 | 5分かけ放題:500円 かけ放題:1500円 | 「Rakuten Link」アプリでの国内通話は無料 |
※3月1日のNTTドコモによるahamo値下げの報を受け、ahamoの月額料金を2700円に修正いたしました。以下の文言も適宜修正を加えております。
楽天モバイルは、現行の「Rakuten UN-LIMIT V」が月額2980円で楽天回線が使い放題でしたが、4月1日にアップデートされる「Rakuten UN-LIMIT VI」からは、使ったデータ量によって支払い額が変わる段階式に変わります。この改定により、20GB以下であれば、楽天モバイルが圧倒的に安くなります。ただし、楽天回線エリア外では、パートナー回線であるau回線につながることが多く、月に使えるのは5GBまで。これは従来通りです。
大手3社の新料金プランでは、auの「povo」とソフトバンクの「LINEMO」が月額2480円で、ドコモの「ahamo」より220円安くなっています。ただし、povoとLINEMOの料金には通話定額が含まれていません。1回5分以内の通話がかけ放題になるオプションを追加した場合は2980円になります。
大手3社と楽天モバイルのメリット・デメリットは真逆
各社のプランには、それぞれ下表のようなメリットとデメリットがあります。
各社プランのメリット&デメリット
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NTTドコモ | KDDI | ソフトバンク | 楽天モバイル | |
プラン・ブランド名 | ahamo | povo | LINEMO | Rakuten UN-LIMIT VI |
メリット | ・オンラインで手続きができる | ・店舗でもオンラインでも手続きが可能 ・独自のメールアドレスを提供予定(2021年夏頃) ・300万人は1年無料 | ||
・海外82の国・地域で、追加料金なしで利用可能 | ・5分以内かけ放題(500円)、24時間データ使い放題(200円)などのトッピングを提供 | ・LINEのトークや通話のデータ量がノーカウント | ||
デメリット | ・実店舗では申し込めない ・キャリアメールが使えない ・家族割引、固定回線とのセット割引などがない | ・自社回線エリアが狭い |
【誤植のお詫びと訂正】
記事初出時、楽天モバイルのメリット項目にて「・300万ひとは1年無料(残り800万人程度)」と記載しておりましたが、2月の取材時点で正しくは「残り80万人程度」でした。3月1日時点でまもなく300
ahamoは海外利用について発表済み。82の国・地域で特別な申し込みや追加料金なしで、そのまま使えて、データ量は国内と同じく20GBから消費されます。povoは必要なサービスを簡単に追加できる「トッピング」を提供。200円支払うだけで、24時間データが使い放題になるトッピングは、長時間テザリングを利用したい時や、「Netflix」の海外ドラマを一気に見たい時などに重宝しそうです。LINEMOは「LINE」のデータがノーカウントになるのがセールスポイント。さらに、通常は月額240円でLINEクリエイターズスタンプが使い放題になる「LINEスタンプ プレミアム」も無料で使えます。
大手3社の新プランはオンライン専用ですが、楽天モバイルはオンラインで実店舗でも手続きができることが利点。ただし、他社に比べるとサービスエリアが狭いという大きな欠点があります。データ無制限の楽天回線の人口カバー率は73.5%(2021年1月)で、3月末に80%、夏頃に96%に達する見通しです。一見、十分に思えるかもしれませんが、使いたい時に使いたい場所で使えないことは大きなストレスになるはず。また、楽天モバイルは、障害物に強いプラチナバンドを持っていません。建物内などで他社よりも繋がりにくい問題は、しばらくは改善されないでしょう。
楽天回線エリア外での利用が多い場合は要注意!
楽天回線エリアだけで使うのであれば、楽天モバイルが最安であることは言うまでもありません。しかし、楽天モバイルはパートナー回線につながった場合は、月に5GBまでしか使えません。超過すると通信速度が最大1Mbps程度に制限され、制限を解除するには、500円/1GBのデータを購入する必要があります。そこで、パートナー回線のデータ量を使い切って、データを追加購入した場合の支払い額を計算してみました。
楽天モバイルでデータを追加した場合の支払い額
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回線別のデータ量 | 支払い額(月額料金+データ追加料) |
楽天回線1〜3GB+パートナー回線6GB(1GB追加) | 980円+500円=1480円 |
楽天回線1〜3GB+パートナー回線7GB(2GB追加) | 980円+1000円=1980円 |
楽天回線1〜3GB+パートナー回線8GB(3GB追加) | 980円+1500円=2480円 |
楽天回線1〜3GB+パートナー回線9GB(4GB追加) | 980円+2000円=2980円 |
楽天回線1〜3GB+パートナー回線10GB(5GB追加) | 980円+2500円=3480円 |
楽天回線1〜3GB+パートナー回線11GB(6GB追加) | 980円+3000円=3980円 |
楽天回線3〜20GB+パートナー回線6GB(1GB追加) | 1980円+500円=2480円 |
楽天回線3〜20GB+パートナー回線7GB(2GB追加) | 1980円+1000円=2980円 |
楽天回線3〜20GB+パートナー回線8GB(3GB追加) | 1980円+1500円=3480円 |
楽天回線3〜20GB+パートナー回線9GB(4GB追加) | 1980円+2000円=3980円 |
楽天回線3〜20GB+パートナー回線10GB(5GB追加) | 1980円+2500円=4480円 |
楽天モバイルで月に使うデータが1〜3GBで月額980円の場合、パートナー回線のデータを4GB追加すると、ahamoなどと同額の2980円になります。5GBを追加すると大手3社の月額料金よりも高くなり、6GBを追加すると、大手プランの月額料金にかけ放題オプションを追加した場合と同額になります。
月に3〜20GBの月額1980円の場合は、2GBの追加で他社と並び、4GBの追加で、かけ放題オプションを追加した場合と同額になります。楽天モバイルを契約する際は、自分の行動範囲でほぼつながるのかどうかを事前に確かめるべきでしょう。
大手3社の使い放題プランも値下げされたが……
大手3社は、データ使い放題のプランも発表しています。ドコモの「5Gギガホ プレミア」は4月1日から、auの「使い放題MAX 5G」(4G向けプランも使い放題で同料金)とソフトバンクの「メリハリ無制限」(5G/4Gの共通プラン)は3月に開始予定。楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」も楽天回線エリアでは無制限でデータ通信を行えるプランです。まずは、これら4つのプランの概要を押さえておきましょう。
大手3社の5G向け使い放題プランと楽天モバイルの「Rakuten UN-LIMIT VI」の比較
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NTTドコモ | KDDI | ソフトバンク | 楽天モバイル | |
プラン・ブランド名 | 5Gギガホ プレミア | 使い放題MAX 5G | メリハリ無制限 | Rakuten UN-LIMIT VI |
月額料金(割引適用前) | 〜3GB:5150円 無制限:6650円 (定期契約なし) | 〜3GB:5080円 無制限:6580円 | 〜3GB:5080円 無制限:6580円 | 〜1GB:0円(2〜5回線目は980円) 〜3GB:980円 〜20GB:1980円 20GB〜:2980円 |
月間データ容量 | 無制限 | 無制限(テザリングなどは30GBまで) | 無制限(テザリングなどは30GBまで) | 楽天回線エリア:無制限 パートナー回線エリア:5GB |
家族利用割引 | 2人で利用:-500円 3人以上で利用:-1000円 | 2人で利用:-500円 3人以上で利用:-1000円 | 2人で利用:-600円 3人以上で利用:-1100円 | なし |
固定回線セット割引 | -1000円 | -1000円 | -1000円 | なし |
指定カード支払い割引 | -170円 | -100円 | なし | なし |
通話定額 | 5分かけ放題:700円 かけ放題:1700円 | 5分かけ放題:800円 かけ放題:1800円 | 5分かけ放題:800円 かけ放題:1800円 | 「Rakuten Link」アプリでの国内通話は無料 |
大手3社の料金はほぼ横並び。各種割引がフルに適用されると、3社いずれも月額4480円以下で使い放題が実現します。ただし、テザリング利用の上限を設定していないのはドコモだけ。auとソフトバンクはテザリングやデータシェアなどの合計は月に30GBまでという制限があります。楽天モバイルは、楽天回線であれば月額2980円で使い放題、テザリングも無制限。やはり、他社よりも圧倒的に安いです。
割引が適用されると、大手のお得感がグ〜ンと向上
ドコモの「5Gギガホ プレミア」で各種割引が適用され、通話定額に加入した場合の支払い額は下記の通り。これを楽天モバイルの料金と比べてみましょう。
「5Gギガホ プレミア」の割引適用後の料金
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通話定額非加入の場合 | +5分かけ放題 | +かけ放題 | |
1人で利用 | 5480円 | 6180円 | 7180円 |
2人で利用 | 4980円 | 5680円 | 6680円 |
3人以上で利用 | 4480円 | 5180円 | 6180円 |
楽天モバイルで20GB以上を使って、さらにパートナー回線の利用も5GBを超えて、データを追加購入した場合の支払い額を計算してみました。
楽天モバイルで20GB以上を使って、データを追加した場合の支払い額
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回線別のデータ量 | 支払い額(月額料金+データ追加料) |
楽天20GB以上+パートナー6GB(1GB追加) | 2980円+500円=3480円 |
楽天20GB以上+パートナー7GB(2GB追加) | 2980円+1000円=3980円 |
楽天20GB以上+パートナー8GB(3GB追加) | 2980円+1500円=4480円 |
楽天20GB以上+パートナー9GB(4GB追加) | 2980円+2000円=4980円 |
楽天20GB以上+パートナー10GB(5GB追加) | 2980円+2500円=5480円 |
楽天20GB以上+パートナー11GB(6GB追加) | 2980円+3000円=5980円 |
楽天20GB以上+パートナー12GB(7GB追加) | 2980円+3500円=6480円 |
楽天20GB以上+パートナー13GB(8GB追加) | 2980円+4000円=6980円 |
楽天20GB以上+パートナー14GB(9GB追加) | 2980円+4500円=7480円 |
楽天20GB以上+パートナー20GB(10GB追加) | 2980円+5000円=7980円 |
楽天20GB以上+パートナー21GB(11GB追加) | 2980円+5500円=8480円 |
このようにデータを1GB追加購入するごとに500円高くなります。ドコモの「5Gギガホ プレミア」の料金と比べてみましょう。「5Gギガホ プレミア」の各種割引適用前は6650円。つまり、パートナー回線の利用が12GB以下であれば、楽天モバイルのほうがお得です。なお、「5Gギガホ プレミア」に通話かけ放題を追加すると月額8350円になるので、楽天モバイルが得するゾーンがさらに広がります。
ただし、各種割引が最大限に適用される場合は、損得分岐点が変わります。「5Gギガホ プレミア」の最安料金は月額4480円。かけ放題サービスに加入しない場合は、楽天モバイルでパートナー回線を8GB使った場合(3GBを追加)と並びます。24時間かけ放題のオプションを付けた場合は、パートナー回線11GBまでは楽天モバイルが安く、12GB以上ならドコモのほうがお得です。
今回は比較対象には挙げませんでしたが、大手のサブブランドであるUQモバイルとワイモバイルも2月から新料金プランを提供しました。月に20GBも使わないという人は、それらのプランも選択肢に入れて、最適プランを検討してみてくださいね。