サムスン電子は8月11日、フォルダブルタイプのスマートフォン「Galaxy Z Fold3 5G」を世界に向けて発表しました。折りたたみスマホとしては初めての防水とSペンへの対応が目玉となっています。
同時に縦折り型スマホ「Galaxy Z Flip3 5G」と、スマートウォッチ「Galaxy Watch 4」、完全ワイヤレスイヤホンの「Galaxy Buds2」も発表。ここでは、Galaxy Z Fold3 5Gを取り上げます。
折りたたみスマホとしては世界初の防水対応
Galaxy Z Fold3 5Gは、手帳のように折りたたんで持ち運べるAndroidスマホ。本体外側と内側に2つの画面があり、開くとタブレットのような大画面で、閉じても縦長スマホとして使えるという製品です。
そのGalaxy Z Fold3 5Gの注目点は2つ。「防水」と「Sペン」です。
防水仕様への対応は折りたたみスマホとしては世界初。防水規格のIPX8相当をサポートします。
サムスン電子によると、折りたためるディスプレイでの防水仕様に対応するのは、一般的なスマホよりもハードルが高かったといいます。開いたときはもちろん、折りたたんだときも防水仕様を実現しつつ、ヒンジ部分には耐水設計を施すなど、工夫を凝らしたことで防水に対応しています。
ついに実現したSペン対応
Galaxy Z Fold3 5Gのもう一つのトピックがSペンへの対応です。Galaxy Noteシリーズで人気を博してきたスタイラスが使えるようになりました。
Sペンは手書き感覚でスマホに書き込めるスタイラス。メモを取ったり、書類やスケジュール帳に書き込んだり、イラストを描いたりといったさまざまな使い方が可能です。
Sペンにはペンタブレットで長い実績を持つワコムの技術を採用。今回のGalaxy Z Fold3 5Gでは、折りたたみディスプレイに初めて対応することになります。内側に折りたためるディスプレイは、画面中央に浅い凹みがある構造ですが、ワコムはこうしたディスプレイでも滑らかに手描きできるようにチューニングを施したとしています。
なお、Sペンが使えるのは内側の折りたためるディスプレイのみ。外側の縦長のディスプレイはSペン非対応となっています。また、Sペンを本体に格納することはできません。
Galaxy Z Fold3 5Gの発売にあわせて、サムスンは2種類のSペンを用意。一つが「S Pen Pro」で、これはGalaxyシリーズ共通のSペンとなっており、タブレットのGalaxy Tabや2in1PCのGalaxy Bookでも使えます。
もう一つはGalaxy Z Fold3 5G専用の「S Pen Fold Edition」で、こちらはBluetooth非搭載のSペン。全長132.1mmと持ち運んで使うのに便利な小型サイズで、別売のGalaxy Z Fold3 5G専用ケースと組み合わせて、一緒に持ち歩くことが可能です。
メインディスプレイはインカメラが埋め込まれた仕様に
Galaxyシリーズこだわりのディスプレイも健在です。メインディスプレイは正方形よりの7.6インチ(2208×1768ドット)。閉じたときのカバーディスプレイは縦長の6.2インチ(2260×816ドット)となっています。
ディスプレイの大きさや解像度は、前モデルのGalaxy Z Fold2と同じですが、メインディスプレイ、カバーディスプレイそれぞれに変更点があります。
メインディスプレイでは、「ディスプレイ下インカメラ」をGalaxyスマホで初めて採用しています。ディスプレイにカメラを埋め込み、インカメラを使うときだけディスプレイの一部が透明になるという仕組みで、普段はインカメラが目立たず、ディスプレイをフル画面で使うことが可能です。
また、メインディスプレイはもちろん、カバーディスプレイも、120Hz駆動の可変リフレッシュレートに対応となりました。120Hzの威力がわかりやすいのは、WebブラウザーやSNSアプリでスクロールしたときで、残像が少ないため、目への負担を軽減できます。
折りたたみ形状はよりスタイリッシュに見えるようブラッシュアップ
Galaxy Z Fold3 5Gでは折りたたみ機構が見直され、紙を折ったときのようにピッタリとたためるようになっています。前モデルでは、折りたたんだときに底面がやや厚くなりましたが、Galaxy Z Fold3 5Gでは、より並行に近い形で折りたためます。
折りたたんだときの横幅は67.1mmで、前モデルから0.9mmほど削減。より持ちやすい形状となっています。
また、本体の耐久性も高めたとしており、側面のフレームには新たに開発されたアルミニウム合金「Armor Aluminum」を採用。スマホで使われるアルミニウム素材としてはもっとも傷つきにくい素材で、落下時の傷への耐性が前モデルから10%向上したとしています。また、カバーディスプレイとカメラのレンズには米コーニングの強化ガラス「Gorilla Glass Victus」を採用。メインディスプレイには折り曲げられる極薄ガラスを使用し、ひっかき傷を自己修復するフィルムを新たに採用しています。
5つのカメラ搭載、メインカメラの解像度は前モデルと同じ12メガピクセル
Galaxy Z Fold3 5Gは、合計5つのカメラを搭載しています。背面のカバーディスプレイではない側に搭載されたメインカメラユニットは、超広角12メガピクセル、広角12メガピクセル、2倍望遠12メガピクセルというトリプルカメラ構成。カメラのスペックそのものは前モデルのGalaxy Z Fold2と共通です。
インカメラは外側のカバーディスプレイと、内側のメインディスプレイそれぞれに搭載。メインディスプレイ側は前述の通り、ディスプレイ下に埋め込まれたインカメラで、解像度は4メガピクセルと低めです。一方のカバーディスプレイ側は画面に穴を空けたようなパンチホール形状で、解像度は10メガピクセルとなっています。
大画面ならではの使い勝手も大幅改善、Webページの2画面並べて表示などが可能に
大画面ならではの使い勝手を向上するソフトウェア面での改善も実施されています。
Galaxy Z Fold3 5Gのメイン画面では、マルチタスク機能で3つのアプリを同時に起動することが可能。2つの縦長のアプリを並べて使うこともできます。
今回、このマルチタスク表示をより便利に使える機能が実装されました。たとえば、ブラウザーで「新しいウインドウを開く」を選んだとき、これまで見ていたページと新しく開いたリンク先のページを2つ並べて表示できるようになっています。
また、画面右側に呼び出せる「タスクバー」はアイコンが小さくなり、Windows PCのような形状に。たとえばゲーム中にメッセージが来たとき、メッセージアプリを開いてからすぐゲームに戻るといった操作が簡単にできるようになりました。
このほかにも、一部のアプリではメニュー項目を小さく表示して大画面を活かせるような変更も加えられています。Galaxyの純正アプリはもちろん、Microsoft OfficeやGmail、Netflix、Spotifyなど、さまざまなアプリが大画面向けに最適化されるとしています。
前モデルの主要機能は引継ぎつつも、機能・デザイン・使い勝手が追求されている
チップセットはクアルコム製のSnapdragon 888を搭載。5nmプロセスで設計された最新8コアCPUを内蔵しています。メモリーは12GBで、ストレージはUFS3.1規格で256GBまたは512GBを内蔵。バッテリー容量は4400mAhで、前モデルと比べると100mAh少なくなっています。また、5G通信をサポートします。
開いたときの大きさは縦67.1×横158.2×厚み6.4mmで、閉じたときは縦67.1×横158.2×16.0(ヒンジ部)~14.4mm(先端部)。重さは271gと、前モデルより11g軽くなりました。
オーディオではステレオスピーカーを内蔵し、サラウンド再生機能のDolby Atmosをサポートします。生体認証は本体側面に物理ボタン型の指紋センサーを装備。
前モデルのコンセプトや主要な機能はすべて引き継ぎつつ、新たにIPX8相当の防水とSペンへの対応が目玉となっているGalaxy Z Fold3 5G。防水対応を果たしながらも、より洗練されたデザインへと進化し、折りたたみスマホならではの使い勝手も追求されています。
海外向けのカラーバリエーションはPhantom Green、Phantom Black、Phantom Silverの3色。米国での価格は1799.99ドルからと、前モデルよりも200ドル安く設定されています。また、アパレルブランドのThom Browneとのコラボレーションモデルは今回も発売予定としています。
サムスン電子ジャパンによると、日本向けの展開は「11日23時時点で言及できることはありません」としています。前モデルのGalaxy Z Fold2はauの独占販売となり、限定モデルのThom Browne EditionはSIMフリー版として限定販売されました。今回のGalaxy Z Fold3 5Gの日本での発売にも期待したいところです。
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