ディスプレイのサイズが拡大して、高速充電にも対応した最新の「Apple Watch Series 7」。ひとつ前の世代の「Apple Watch Series 6」を愛用している筆者が、この最新モデルの良いところや物足りなく感じたところ、さらにはスケールアップを期待したいことなどを報告していきます。
Apple Watchの新旧ファンを開拓した最新モデル
10月15日の発売から1ヶ月の間、筆者のまわりでは前のモデルからApple Watch Series 7に買い換えた、あるいは初めてApple Watchを買ったという方々の報告が届きました。「Apple Watch Series 7のどこに惹かれたのですか?」と、聞ける方には理由を尋ねてみたところ、買い換えた方はやはり「ディスプレイが大きく、見やすくなること」を第1の理由に挙げていました。
アウトドアレジャーを趣味にする別の友人は、本体にIP6X等級の防塵性能が加わったことが、安心して買える決め手になったみたいです。
また、多くの方がApple Watch Series 7から高速充電対応になったことで、毎日のバッテリー管理が少し楽になるはずと期待したようです。就寝前後に気が付いたらバッテリーを素早くチャージできるので、睡眠トラッキング機能も使いやすくなりました。ちなみに筆者のまわりでは新色「グリーン」のApple Watch Series 7が人気です。
大型化したディスプレイはやはり便利、ただし質量で注意すべきポイントも
筆者も、新しいApple Watch Series 7では3つの点が特に気に入っています。ひとつは多くの注目が集まる「大きくなったディスプレイ」です。
Apple Watch Series 7はディスプレイ周囲の黒いベゼル(縁)の部分を減らして、画面の表示領域をApple Watch Series 6から約20%、Apple Watch Series 3から約50%以上も拡大しています。これにより、メールやLINEなど、文字量が多いアプリの情報を一目で把握しやすくなりました。最近はもっぱらメールをApple Watchでチェックする習慣も付いてしまいました。
そのぶん本体も大きく、重くなっています。筆者はこれまで44mmのステンレススチールケースのApple Watch Series 6を使っており、質量は47.1g。これに対して、Apple Watch Series 7は、45mmのステンレススチールケースのモデルを選ぶと、質量が51.5gにもなります。
日中はさほど気にならないのですが、Apple Watchを眠る間も身に着けて睡眠トラッキングに使うときにはやっぱり軽いモデルが良いと感じます。Apple Watch Series 7の場合は、アルミニウムケースのモデル、または小さい方のケースにサイズダウンを検討しても良いかもしれません。
耐久性が向上。新機能の高速充電も歓迎したい
ふたつめの気に入っているポイントは、Apple Watch史上で最も強いというApple Watch Series 7の風防ガラス。これは確かに耐久性に優れていると思います。意図的に風防ガラスを硬いものにぶつけてみたりはしていませんが、毎日身に着けていても細かいキズが付くことはなく、透過性が落ちることも今のところありません。
そして3つめの良いところは、付属するUSB Type-Cタイプの磁気充電ケーブルによって、チャージスピードが速くなったことです。Apple Watch Series 7を1日中しっかりと使って、電源残量が15%を切っている状態から、約45分でフル充電になります。
筆者はApple Watchを初代のモデルから使い続けているので、「ウォッチを毎日充電する習慣」がもう身に付いています。そのため、毎晩眠る前に1時間程度Apple Watchを充電することがあまり苦になりませんが、それでもやはりチャージが手早くできたらありがたいと思います。
なお、Apple Watch Series 7は画面表示を「常時オン」に選択してスタンバイ状態になっても、屋内ではApple Watch Series 6よりも約70%明るく見えるようになっています。また、ディスプレイが大きいということは当然電力をより多く消費することにもなります。
それでも、内蔵バッテリーによる最大駆動時間はApple Watch Series 6と同じ最大18時間としています。これは、Apple Watch Series 7に内蔵されている64ビットデュアルコアプロセッサ搭載のシステムチップ「S7 SiP」が、駆動時に消費する電力をより高度に最適化しているためです。バッテリー容量が減るスピードについてはApple Watch Series 7も以前のモデルとほぼ同じだと思います。
サイクリングの自動検知が毎日のワークアウトを楽しくしてくれる
続いてOSに目を向けてみましょう。watchOS 8の新機能については、以下のふたつを筆者は特に活用しています。
ひとつはワークアウトアプリに加わった「サイクリング」の自動検知です。筆者は自宅から駅を往復する手段として、あるいは体力作りのため自転車に乗ってよく移動しています。watchOS 5以降から、Apple Watchはウォーキングにランニング、スイミング、エリプティカルにローイングといった各種目を始めると、ワークアウトアプリが記録を付けるように促してくれます。ここに、サイクリングが含まれたことで、アクティビティアプリのワークアウトリングが達成しやすくなりました。これで毎日ワークアウトを続けるモチベーションにもなります。
また、ワークアウトの開始時だけでなく、終了時も自動検知してくれるので誤ったデータを積み上げてしまうことを未然に防げます。これには設定が必要ですが、Apple Watchで「設定」アプリを開き「ワークアウト」を選択し「ワークアウトの開始を通知」「ワークアウトの停止を通知」のそれぞれをオンにするだけと簡単です。
もうひとつは、「Apple Music」に続いて「Amazon Music」も、Apple Watchで直接音楽ストリーミングを受信して再生できるようになったことです。Apple Watchは「AirPods」のようなワイヤレスイヤホン、あるいはワイヤレスヘッドホンをペアリングして音楽を聴くことができます。さらに、GPS+CellularモデルであればiPhoneが近くになくても、Apple Watch単体で音楽のストリーミングを受信しながら身軽にランニングやウォーキングに出かけられます。
ただし、Amazon MusicはApple Watchによるオフライン再生には対応していません。Apple Musicのように配信楽曲をApple Watchのストレージにため込んで聴ければGPSモデルでも十分に活用ができそうですが、ここは少々残念です。
セルラー版Apple Watchの進化に要注目
Apple Watch Series 7は完成度の高いスマートウォッチです。しかし、その便利さが実感できるようになると、物足りなく感じられる部分もはっきりとしてきます。
ひとつは英語のアルファベット入力から先行対応した「QWERTYソフトウェアキーボード」の日本語対応がまだできていないことです。
ディスプレイが大きくなって、さらにGPS+Cellularモデルのように直接モバイルデータ通信ができるApple Watch Series 7であれば、メールやメッセージの返信もより込み入った内容をキーボードでタイピングしたくなるものです。ですが、QWERTYキーボードの日本語対応はなかなかの難関なのかもしれません。アップルにはぜひ早めの対応に向けて奮闘してもらいたいです。
そしてもうひとつはYouTubeのストリーミング再生ができないことです。さすがにウォッチの画面で動画を長時間見たいとは思いません。ただ、ランニングやウォーキングの最中にYouTubeのトーク系番組の音声だけを聞くことができたら便利そうです。ライバルであるグーグルのサービスとの深い連携が求められる機能であることは承知のうえで、アップルにはぜひ対応してほしいです。
または今後、グーグルのWear OS陣営のスマートウォッチでYouTubeの音声ストリーミングが“聴ける”モデルが発売されたらすぐに買いたいです。
これまで述べたように、メールの受信・返信や音楽ストリーミングもApple Watch単体で活用できるようになれば、もはや「ウェアラブルなiPhone」と変わりません。
これからはウォッチ単体で通信しながら積極的にコンテンツを利用できるGPS+CellularモデルがApple Watchの進化をリードするように思います。Apple Watchの購入を真剣に検討される方は、GPS+Cellularモデルを選んでおくと魅力的な機能をタイムリーに試して役にも立てられるのでおすすめです。
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