Apple Watchは様々な健康関連センサーを搭載しており、これまで多くの命を救ってきました。そうした応用方法のひとつとして、パーキンソン病のモニタリング(監視)アプリが米国食品医薬品局(FDA)に認可されたことが明らかとなりました。
もともとApple Watchによるパーキンソン病モニタリングは、2015年にResearchKit (医学研究者がデータを収集するためのソフトウェアフレームワーク)が発表された当時から、可能性が示された使い道のひとつでした。それが7年目にして、新たなステージに引き上げられた格好です。
ちなみにパーキンソン病とは運動障害の一種であり、日常生活での動きに影響をおよぼす可能性があるもの。慢性かつ進行性の疾患であり、時間の経過とともに症状が悪化していきます。一般的な症状としては振戦(リズミカルな震え)、筋肉のこわばりや硬直、動作の緩慢さ。また睡眠障害や便秘、不安、うつ、疲労などの非運動症状も現れます(以上、米国パーキンソン病協会の説明より)。
米国では100万人、世界では1000万人以上の患者がいるとの推定もあり。発症する人の多くは50歳を過ぎてからですが、若い人でも発症する場合があります。
さてReuters報道によると、米サンフランシスコを拠点とするスタートアップRune Labsは、Apple Watchを使ってパーキンソン病患者の振戦やその他の一般的な症状をモニタリングする許可をFDAから受けたとのことです。
Rune Labs社のアプリは、Apple Watch内蔵のモーションセンサーを利用するものです(現在は転倒検知などに使われています)。同社のCEOはApple Watchのデータを、脳信号を測定できるインプラントを含む他の機器からのデータと組み合わせる予定だと語っています。
現在、ほとんどの医師は患者を短時間のうちに診察して動作データを集める必要がありますが、パーキンソン病の症状は時間の経過とともに大きく変化するため理想的ではありません。その点Apple Watchを使えば、長時間に渡って観察できるようになるというわけです。
Apple Watchを使った研究としては、新型コロナウイルス感染の症状が現れる数日前に陽性が検出できるかもしれないといったものもありました 。家にいながら早めの対策や予防、ないし慢性病の観察も可能となることで、今後ますます「腕からの健康」が実現していくと期待したいところです。