マイクロソフトのサブスクリプションサービス「Microsoft 365」は、文書作成のWordや表計算のエクセルなど、月額課金をすることであらゆるOfficeアプリを使えることが魅力となっています。が、英Financial Timesは、マイクロソフトがEUの規制当局とコミュニケーション・ツール「Teams」をOfficeと同梱しないことに合意したと報じています。
この決定は、マイクロソフトがEUの反トラスト法(日本でいう独占禁止法)に関する公的調査を避けようとするものだそうです。
さらに情報筋によると、最終的に顧客の企業は、Teamsをインストールした状態でもしていない状態でもOfficeを購入できるものの、「その方法に関する仕組みはまだ不明」とのことです。EU規制当局との協議はまだ続いており「取引は確実ではない」とも付け加えられています。
またマイクロソフトはFinancial Timesに対し「わが社は、大手テクノロジー企業としてEUでの責任を意識しています。委員会の調査に協力的に関与し続け、委員会の懸念に対処し、顧客のためになる現実的な解決策に前向きです」と述べています。
Teamsと競合するSlack(現在はSalesforceが所有)は、2020年にEU規制当局に苦情を申し立て、マイクロソフトがTeamsをOfficeとは別売りにするよう要請したことがあります。当時Slackの顧問弁護士は「EUには中立的な審判として、事実を調査し、法律を執行するよう求めている」と語っていました。
かつてマイクロソフトは、OSとウェブブラウザを抱き合わせ販売したことが反トラスト法に違反するとして、一度は分割すべしという判決を下されたこともあります(2001年に控訴審で撤回)。その後も問題が再燃し、2009年に欧州委員会と和解したものの、約束を守らなかったとして2013年に巨額の罰金を課されていました。
あれから10年、再びやっかいな問題に直面しているようです。Microsoft 365は1つの契約でほぼ全ての業務をまかなうことができ、ユーザーにとっては便利ではありますが、競合するソフトウェア企業にとっては脅威でしかないのかもしれません。
Source:Financial Times
via:Engadget